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堀越二郎

どうも皆さんオハコンバンニチハ、カトユーです。投稿が遅れてしまい、すみませんでした。


これからは二、三日に一話のペースで投稿させていただきます。

思いついたらすぐに行動する。それが自分の癖だ。今回も例に漏れず、堀越技師に会いに行くと決めたら、その日の晩に山本さんに相談した。

出来れば明日、堀越技師のもとへと向かいたいという内容を伝えると、二つ返事で了承してくれた。


翌朝、技術部に顔を出した後、急いで東京駅に向かい、最近運行開始となった特急燕に乗る。朝九時に発車した列車はひたすらに西へと向かい午後二時三十四分、定刻通りの時間に名古屋駅に着いた。

今度は南へと向かい、名古屋製作所に着く。入る時に守衛との一悶着あったが、山本さんに渡された封筒を渡すと、途端に態度が変わりペコペコとお辞儀してきた。機体設計などを行っている工作部に入ると、そこは周囲とは別世界だった。誰もが机上の設計図を前にウンウン唸っているだけで、鉛筆を走らせる音以外は何も無かった。

しばらくして、顔を上げた青年と目が合った。


「あの~、どちら様ですか?」


警戒心をあらわに聞かれた。勿論、自分は完全な部外者なので何て言っていいのかわからない。だから、


「海軍省から来たものだ。こちらに堀越技師はいるか?」


と用件だけを言った。さっきの青年は何なんだこいつ?と言いたげな目をしながら別の青年を指差した。

そこには、まるでそこだけ時間が止まったかのように微動だにせず、設計図とにらめっこしている男がいた。

先ほど話した青年が、彼の肩をトントンと軽く叩くとようやく自分の存在に気づき顔を上げた。


「······見かけない顔ですね。僕に用ですか?」


それだけを言うと、彼の顔は再び真っ白な設計図へと向く。


「気分転換に自分と話しませんか?」


そう言うと、彼は手を止めてこちらを向いた。


「そうですね。一旦休憩を挟んだ方が良いのかもしれませんね」


今度は、設計図へ振り返ることもなく部屋の外へと歩みを進めた。

堀越技師の後ろをついて行き、建物の外へと出る。まだ歩く。そうして、敷地の隅にぽつんとある大きな木の下で立ち止まった。


「ここでいいですかね」


木陰に腰を下ろし、ようやく二人で話せるようになった。


「自己紹介がまだでした。自分は海軍航空本部技術部付の豊島進(とよしま すすむ)です」


「やはり、軍人では無いんですね。あ、僕は堀越二郎です」


うん?軍人ではないことに気づいてる?


「あの、何で軍人ではないと思うんですか?」


「なに、君の格好は軍では少々浮いてしまうと思ったからね」


「はあ、そうでしたか······」


何とも言えない。服装も気にかけておけば良かった。


「で、豊島さんは何の用があったんですか?」


堀越技師が話を切り出してきた。


「第一は、あなたに会ってみたかった。ですかね」


「そうでしたか。こんな僕に会いたいなんて言う物好きもいるんですね」


「いやいや、堀越技師は凄い人だと思いますよ。あと、もうひとつは日本の航空機産業についてです」


後半は少しトーンを落として話してみる。

堀越技師は自分の問いに対して無言のままだ。


「では聞き方を変えます。今の日本の航空機産業は世界と比べてどうですか?」


彼はつい最近まで欧米の最新の航空機技術を見てきたはずだ。だからこそ、この現状をどう思っているのかを聞いてみたかったのだ。

質問をしてからの返答は、とても早かった。


「全然ダメ。飛行機が出来てから三十年近く経つが、日本はずっと欧米の背中を追いかけているだけだ。現に未だに国産航空機用エンジンの開発及び生産が行われていない。これは致命的な事なんだ。だから、出来るだけ早期に純国産戦闘機を作る必要があるんだ」


と熱弁を振るってくれた。確かに、艦上戦闘機においては来年に中島飛行機が開発するNY改戦まで待たなければならないのだ。故に彼は新型艦戦の設計に心血を注いでいるのだろう。

そのあとも二人で、これからの航空機開発について語り合った。気づけば太陽は水平線ギリギリのところにあった。


「では、自分はこれで」


「豊島さん、また話をしましょうね」


「そう遠くないうちにね」


こんな風な会話をして別れた。


······さて、今夜の宿はどうしようか?

うーん、最後はしょっちゃったかな?


前書きでもありますがこれからは投稿ペースが少しゆっくりになります。

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