十五年戦争
どうもカトユーです。
今回は説明回みたいなものです。
「大日本帝国は、無くなります」
「そうか」
山本さんは、感情の感じられない声でそう言った。勿論、表情からも何も感じられない。
「自分が来たことによって歴史が変わるかもしれないです。それを踏まえた上でお話します。
まず、今年中に満州事変と呼ばれる関東軍による武力紛争が始まります」
「陸軍がそんなことをするのか?」
「はい。中国東北部を五ヶ月で占領します」
「速いな」
五十六さんもこれには驚いたようで、目を見開いていた。
「しかし、満州事変自体は成功しますがその後の世界情勢に悪影響を与えます」
「そうか。その後はどうなるんだ?」
「満州には日本の傀儡政権となる満州国が建国されますが、世界からは認められませんでした」
「ふむ。陸軍も大変だな」
「そうですね。その後、満州国は関東軍の支配下におかれます」
「中央ではないのか?」
「はい。関東軍の独断専行に政府は引きずられていきます」
「なんということだ」
呆れたように山本さんは言った。
「満州事変のあとの日本はどうなるんだ?」
「軍部の影響力が強くなり、軍国主義に走ります。また、国際社会からの孤立を深めます。その後、ファシズムを掲げるドイツ、イタリアと三国同盟を結びます。そして、一九三七年に中華民国との戦争が始まります」
「ついに戦争か」
「はい。泥沼の戦争です」
「泥沼?」
「開戦当初は破竹の勢いで進軍しますが、中華民国も必死の抵抗をみせます。それにより数年経っても大陸の沿岸部しか占領できないです。また、その間に日米との関係が悪化します」
「やはり、アメリカか」
「また、その頃になると、ドイツがポーランドに侵攻し第二次世界大戦が勃発します」
「第二次世界大戦は起こるのか······」
「日本も終わりの見えない日中戦争を戦いつつ、アメリカ、イギリス等に宣戦布告します」
「アメリカに宣戦布告するのか······」
「結果から言えば日本の敗北です。緒戦は連戦連勝しましたが」
「どれくらいの間、有利に進められたんだ?」
「半年ですね」
「一年ももたなかったのか······」
山本さんは、呆れたように呟いた。確かに、大国アメリカが相手だとしてももう少し粘れたのかもしれない。
「しかし、半年経って何があったんだ?」
山本さんはそこが疑問だったらしい。半年で攻守が入れ替わるなら何かしらの転機がないとダメだからな。空母機動部隊のことは伏せて話をしようか。
「帝国海軍の主力艦隊がミッドウェーでやられます」
「主力艦隊······。それは空母か戦艦のどちらだ?」
す、鋭い!既に、空母の有用性を見出だしてるのか!?
「く、空母です······」
「やはりそうか」
まるで、ずっとそう考えていたかのような呟きだった。
「山本さんは、艦隊の主力は空母だと考えておられるのですか?」
「ああ、勿論だ。空母なら戦艦よりはるかに長い射程距離があるからな。それに、空母の方が戦艦より足が速い。それを鉄砲屋は分からんのか······。おっと、つい愚痴が出てしまったな」
航空主兵論、か。
「話を戻すと、帝国海軍の空母部隊が開戦半年でやられるわけだな?」
「はい」
「うーむ、対米戦でそれは痛いな」
「と言いますと?」
「いや、こちらの話だ。空母部隊がやられた後の戦局はどうなる?」
「米軍による反抗作戦が開始し、ジリジリと戦線が後退していきます」
「中部太平洋か?」
「はい」
「反抗作戦が始まるのはいつからだ?」
「ミッドウェー海戦の後、二ヶ月経った頃です」
「いくらなんでも早くないか?」
「いいえ、ミッドウェー海戦から二ヶ月です」
「それでは艦隊の再建も整わないではないか······」
「その後、制海権も制空権も失い、フィリピンまで後退します」
「そこまで後退したら本土も危なくなるのではないか?」
「そうです。中部太平洋の島々を奪還されて以降毎日のように本土を空襲され、焼け野原となります」
「国民の戦意は大丈夫なのか?」
「大本営が嘘の報道及び箝口令がしかれ、国民には真実が知らされませんでした」
「なんということか、それでは戦争が止められないではないか!」
「山本さんの言う通り、戦争を止めれずアリューシャン方面、沖縄、硫黄島での敗北により、本土決戦の可能性が出てきました」
「本土を攻められたらどうしようもないではないか」
「各地での敗北に加え、ソ連軍の参戦やアメリカの新型爆弾による攻撃があり、ついに一九四五年八月十五日大日本帝国は米英支蘇に無条件降伏しました」
「八年に及ぶ長期戦······。なんだか夢の話みたいだ」
「そうですね。でも、この話はこれから現実に起こることなんです」
「そうだな。どのみち今の中央は米国と戦争をするつもりだ。今の話はだいぶ参考になった。ありがとう」
「いえ、自分も歴史を変えるために来たのですから」
「そうか」
二人が黙り、部屋には正月の賑やかな喧騒が聞こえてきた。しばらくして、山本さんはところで、と言って話を切り出してきた。
「私が見たところ、君にはそれなりの学があるようだ。どうだ、うちの技術部に来ないか?いや、是非とも来てもらいたい」
そう言って、海軍航空本部技術部へのお誘いがきた。今は九〇式艦上戦闘機の開発をしているぐらいか。航空機の開発か、やってみたいな。それに、中島飛行機や川西航空機、三菱航空機にも関われる!それに、零戦や烈風の開発チャンスも!是非とも参加したい。
「勿論、加わらせていただきます」
「そうか。良かった。三が日が終わったら、皆に紹介したいな」
そう言う山本さんの笑顔は見ていて眩しいくらいだった。
歴史を要約するの大変…
年表形式の方が分かりやすかったかもしれないです。
日をまたいで書いているので、繋がりがおかしかったりここ違うよみたいなこともあるかもしれません。そういう時はどんどん指摘してください。自分も勉強になります。
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