一九三一年に来た理由
今回はタイムスリップ?した理由です。
神話上の神を登場させてます。話の都合上、かなり改変された人物像になっています。ご了承下さい。
人によっては気持ち悪い、グロいと思う内容があるかもしれません。
正直、前世の記憶はほとんどない。ただ、ぼんやりと浮かんでくるのは毎日会社へ通う、三十過ぎのサラリーマンの男だった。趣味は多岐にわたっていて、アニメやらゲーム、ミリタリー、鉄道、歴史、釣り。興味があれば、何でもやっていたのであろう。しかし、彼は常に一人だった。結婚もしていないし、恋人もいない。友人も数える程しかいない。
そんな代わり映えのしない、モノクロの世界で生きていた。それぐらいしか分からないし、興味もない。
だが、死んだ時からの記憶ははっきりと残っている。その日は、いつも通りの営業で会社の車を運転していた。高速道路を走っていたときに、逆走してきたトラックと正面衝突したとこまでの記憶はある。おそらく事故で死んだ。
そのあとは、三途の川を渡ったわけではなく、何もない真っ白な空間にいた。体のような実体のあるものではなく、ただ魂がそこにあるような感じだ。
「そこの主。話を聞いてくれぬか?」
突然、声がした。男なのか女なのかわからない、中性的な声。当然、自分と同じように声の主は見えない。
「何だ?」
警戒しつつ返事をしてみた。それからたっぷり十秒程の間があって、言葉が返ってきた。
「吾はイザナギ。日本を創った者だ」
「私はイザナミです」
「うおっ」
神話上の神様が目の前にいたことにびっくりしたし、もう一人いたことにもっとびっくりした。
「あ、あの。話ってな、何ですか?」
我ながらビビり過ぎて情けない話し方になってしまった。
「単刀直入に言おう。歴史を変えてくれ」
・・・は?何言ってるんだ?
「えーと、どういうことですか?」
「そのままの意味だ。我としてはあの大東亜戦争、だったか?あの戦いで日本がぼろぼろになるのが見ていられなかったのだ。じゃが、我らは人間達に干渉することが出来ず、悔いておったのだ。そんな時、そなたの魂がちょうど使えそうだったので、呼び出してみたのだ」
ふーん。七十年も後悔してたのか。
「でも、しっかりと復興したので大丈夫じゃないですか?」
「確かに復興した。されど、日本が戦争に負け、多大なる犠牲を出した事実は変わらない。我はそこが気に入らないのだ」
完全に個人の意見じゃねえか······
あと、イザナミもウンウンと頷かないで否定してください。
「この話、断れば?」
勿論、歴史を変える。その事に興味はあるが、それほど関わろうとは思わなかった。
「そうだな。蛆虫を体中に這わせてみたり、四肢を剥いでもよいかもしれない。そのあと、焼けば我は満足するな」
「私は、精神的に追い詰めて差し上げるのが良いと思います」
何で二人とも腹黒い笑みを浮かべてるの?あと、イザナミは蛆虫という単語に過剰に反応しすぎですよ。
「戯れ言です」
良かった。二人の後ろに般若が見えてたもん。
「我もしても、何もせずにそなたが事を進めてくれるとは思わない。そなたを不死身にしてやろう。とりあえず、一九五二年の四月二十八日までにしておく。それまで、たゆみない努力をせよ」
一九五二年四月、か。今までの歴史なら日本国との平和条約(サンフランシスコ平和条約)の効力が発生するまでだな。意外と長いな。
「ちなみに何年にとばされますか?」
「一九三一年だ。そこから変えてもらう」
はあ。満州事変を止めるためか?
「さて、そろそろ別れだ。いざさらば」
イザナギは何かを気にするような素振りを見せながら、別れの言葉を口にした。
そんなイザナギの様子を不思議に思いながら、自分はどこかへとばされた。
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???「これで満足か?」
イザナギ「ああ······(しっかりやってくれよ)」
これで、歴史改変が始められます!
これまでの話は、これからのための繋ぎだと思ってください。
あと、いい忘れてましたが海軍メインで書かせて頂きます。(島国だから仕方ないね)
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