拝謁2
どうにか空中分解を防いでいるカトユーです。そこら中でミシミシいってる気がするけど。
今回は少し短めです。
「ここからが本題なのだが······。これからの日本はどうなる?」
やはり天皇陛下にも尋ねられるか。正直、この話をすると嫌な気持ちになる。
「事実だけを話します。あまり、いい話ではないですよ」
そう前置きしてから昭和の終わりまでをありのまま伝えた。満州事変から日中戦争。その後の太平洋戦争。もちろん、終戦までの経過も詳しく話したし、陛下からもいくつか質問があったのでその都度補足しておいた。戦後の高度経済成長やバブル景気まで。自分の知っていることはあらかた話した。
話を聞いている陛下は、時に怒りに震え時には涙を流していた。
「様々な事があったんですね」
そう言って、陛下は窓の外を見た。空は青く、どこまでも澄んでいる。陛下の目は何を見ているのだろうか。
やがて、視線を自分の方に戻すと
「君は······。君は歴史を変えることは出来るのかね?」
どこか願うような声だった。だからこそ、自分の答えは最初から決まっている。
「もちろん、そのために今にいるんですよ」
よかった。そんな風な言葉が聞こえたような気がした。
その後は陛下の趣味の話とか他愛ないことを話した。
随分と時間がたったようで、日が頂点を過ぎていた。時計を見た陛下はそろそろかなと呟くと
「今日来てくれてありがとう。お陰で色々な話を聞かせてもらえた」
そう言って、深くお辞儀をした。自分は慌てて、陛下に声をかけた
「いやいや!礼なんていいですよ!」
なんとか陛下の礼をやめさせた。ふう、びっくりした。
「とりあえず、今日は本当にありがとう。君がこんなにいい人だとは思わなかったよ。未来人じゃなければ、侍従に欲しいくらいだよ」
なんかめっちゃ評価がいいんだけど!?
「また、暇があればいつでも来るといい。喜んで歓迎するよ」
「はい。それではまた」
ふう。緊張した。
でも、天皇陛下は好感触だったから今後が上手くなりそうだ。
(後にかかれた昭和天皇史には、一月十日。天皇陛下のご機嫌よくいつもより饒舌なり。侍従長曰く、「面白き物あり」と。この文章の物という部分には不自然な修正があり、学者の間では多くの議論が交わされる事となる)
その後は海軍省からの迎えの車に乗り、技術部へと帰った。そこには迎えとして、山本さんが待っていた。
「ようやく帰ってきたか」
いつもと変わらない話し方で、自分はどこか実家のような安心感を感じた。
「はい、疲れましたよ」
心からそう思った。慣れないことの連続で少し疲れてきたのかもしれないな。
山本さんと雑談をしたあとは、早めに帰らせて貰った。理由は自分が思う以上に疲れていたからだ。外で少し立ち話しただけなのに、足が震えていた。山本さんに支えられて車に乗り込み、山本さんの家へと帰った。家へ入ると、ふらふらと布団へ潜りこみ、そこで意識を手放した。
ちゃっちゃと戦争まで話を進めた方がいいんですかね?
そこんとこも感想とかで言ってもらえるとありがたいです。
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