ep47 1つの衝撃
――どうする? あやつは敵を破壊し尽くすまで執念で動くと思うだが
麒麟がその言葉をアリスへと伝えた。
さすが蛇とでも言うべきか。執念が強いらしく、武器が無いはずなのに敵へと近づいていく。
「なんだろ…… エイドの時と似て……る?」
アリスの目には、今のこの玄武とこの前の青龍の姿がダブって見えた。まとっている雰囲気と言うか、オーラと言うか、口では表せない何かが同じであることを感じ取ったからだ。
――……我らは、お前たちの中に入ることが出来るのだ
「は!?」
麒麟の声の後ろで、何か音がしている。声が直で脳にとどいてるせいか、何のどんな音なのか上手く認識できない。何かのぶつかる音だろうか。
――1時的に意識を乗っとることが出来ると言った方が分かりやすいだろうか? 何故かは私にも分からぬ。ただ、こうやって会話できるのもそのおかげなのだ
予想だにしない、麒麟の言葉。
「そんな…… そんなことが」
『何がどうかしたって?』
いつのまにか回線がオンになっていたのか、ツバサから声がかかる。
「あ、いや。何でもない。何でもないんだ……」
半ば自分に言い聞かせるような雰囲気で、アリスは返答する。明らかに、動揺している。
――そんなことより……
麒麟の声により、目の前の状況に意識が戻る。
凹む赤色。腕がない不自由さを感じさせない黒色。
『クケッ、なんなんだよ! お前はぁっ!?』
『許せぬのじゃ。妾が負けるなど、許されえぬのじゃ』
シャラリ――。
切り離された腕から伸びる蛇から音がした。