ep45 1柱の化身
「エイド、玄武って……?」
『1言で言うと、亀に蛇が巻き付いた聖獣だよ。北を守護する神って言われてる』
「あれが麒麟の仲間……」
『アリス?』
「あ、ううん。何でもない」
通信を落とし、アリスは1人つぶやく。
「四聖獣か……」
ヒート機が赤さを増す。高熱が出ているのか、景色が歪んで見える。そんな高温になっているということは――
「――あっ」
リリの鎖が、まるで意志があるかのように(・・・・・・・・・・)しゅるりと拘束を緩める。
『ケケケ。やっぱり、その鎖、蛇を意味してたんだね』
シャラリと揺れた鎖は玄武の横で、鎌首をもたげた蛇のような形になった。
『亀の甲羅を持つ本体と、自由自在に動く蛇か。めんどくさいなぁ……。ま、オレが勝つけどね。ケケケ』
ヒート機の色が元に戻る。
『オレの機体、熱に強い特殊な金属なんだよね。オーバーヒートが得意でさ。熱に弱いんだったら、勝ち目はないよ? ケケケケケ!』
ヒートの妙に響く笑い声がこだまする。
「勝ち目がなくても、私たちは負けられないのです。絶対に!」
リリの声と共に鎖がヒートへと襲いかかる。
『勝ち目ないっていったよね?』
再び赤くなったヒート機に近づくことができず、鎖はその身を融かされ落ちていく。ゆっくりとヒート機は歩みを進め、玄武に近づく。
ヒート機が玄武を羽交い締めにし、自由を奪う。熱を帯びた機体に、玄武の装甲は形を変え始める。
『さぁ、あんたの負けだ。認めな? ケケケッ!』