ep40 2人の本気
〈分かってますね、リョイ。白虎はブースターを破壊しないように〉
《分かってる。祠にあったっていうブースターを奪えばいいんでしょ?》
仲間専用の回線で、ファーストがリョイへと声をかけた。
ファーストが抵抗軍を呼び寄せたのは単なるレジスタンス狩りのためではない。祠にあった幻獣たちのパーツを取り返すための強行突破策である。
一介の私設軍と一国の鎮圧軍。暴動が起きてないので鎮圧軍として動いたことはないが、普通に考えてレジスタンスと軍の武力差は大きいが――。
(――祠にあったあのパーツの能力は武力差を埋めるほど強いと言うことか)
軍とレジスタンスの武力は互角と言ってもいい。数回交戦したが、お互いに引き分け続きだからだ。
(……さすがに、そろそろワンダーのご機嫌を治さなければ。権力濫用し始めてからじゃ遅いしな。ったく、俺等を良いように使いやがって……!)
ファーストは出来るだけ|感情(憎しみ)を押し殺した声で、リョイに言葉をかける。
〈ワンダー様のご機嫌をこれ以上損ねないように。頼みましたよ〉
《了解合点してます》
それを言うなら合点了解だろう、と思いながらファーストは回線を落とした。
『そろそろ本領発揮してもいいかな?』
白虎の攻撃をすべてさばきながら、リョイは言った。
牽制がてらの軽いパンチばかりだったが、ナインは避けられ続け、少しいらだちを覚え始めていた。
『いくよ』
リョイの機体はバックステップを決めると、すかさずチャクラムを構える。そのまま流れるようにチャクラムを回転させる。
――そのチャクラムが、金属の指先から離脱した。