ep37 1つの招待
音の発信源はエイドがいじっていた機械だった。しかし、エイド自身があり得ないとでもいうような表情をしていた。
「まだ、スピーカーの配線繋いでないんだけど……?」
恐る恐る机の上に機械を置いて、距離をとる。
『やあ。ハロハロ、ボンジュー? いきなり失礼するよ』
「な、なんですの?」
(この声……)
リリやツバサもそっと席を立ち上がった。立ち上がっていないのは、眉間にシワを寄せたナインだけだ。ナインの顔色を見て、エイドも目を細めた。
『親衛隊のものです。今日は抵抗軍の皆さんをパーティーのお誘いに、ね』
「何が目的だ? どうやってスピーカーを?」
『質問は1つづつにして欲しいな、No.08ぃ?』
やれやれとでも思っているような言い方だった。
“No.08”という単語が出た瞬間、エイドとナインの顔つきが豹変した。
『スピーカーは外からジャック電波でちょいちょいっとね。目的は…… 聡明なNo.09なら解るんじゃないか?』
「やっぱりあなたね!!」「テメェかぁ! ファースト!!」
ナインとエイドが声を荒らげた。
『おお、怖い怖い。さっさと用事を終わらせて、退散しますか』
クククと笑い声が微かに聞こえた。
『パーティー会場はそうだな…… 中央の祠でどうだ?』
「……あんたはなんで、なんでまだ軍なんかにいるのよ……!」
『了解してもらえたってことでいいです? 待ってますからね、そちらのロボットたちを持ってきていただけるのを』
ブツンと途切れる音が響いた。
「“ナンバーゼロハチ”なんて懐かしいな…… ファーストめ」
エイドのつぶやきには、憎しみのような哀愁のようなそんな感情が入り交じっていた。