ep35 5つの守護神
「さて、次は麒麟の番だな」
――うむ。我らは元は生物だった。しかし、この国が危機に陥る未来を見た奴がいてな。そやつの提案で、我らは魂のみを造らせた器に定着させ、危機を救う為に眠りについた。
我らの器を造ったのは、5つの民だ。
月日は流れ、我々は器を造った民の子孫と出会い、この国の危機を知った。しかし、身体は永年の眠りで既に朽ちかけていた。今はエイドによる改修で持ちこたえてはおるがな。
これが我々、守護神についてだ。
「器を造った民の子孫って……?」
麒麟の言葉の中に出てきた名詞に、アリスは首をかしげた。
――エイド、ナイン、リリ、ツバサ…… そしてアリス、お主だ。偶然にも操縦者全員が器を造った民の子孫なのだ。……いや、偶然ではないのかもしれぬな。
アリスは麒麟が遠くを見据えながら言ったように感じた。
「ん……?」
ルファの声がして、そちらを振り向いた。すると、ルファが光を放っていた。
「ルファ!?」
「もうそろそろ時間みたいだな。また会えなくなるが、オレはずっとそばに居る。何があっても、アリスを守る。巻き込んでしまって申し訳ない」
ルファは視線を高くあげた。そして、目を静かに閉じた。
「またいつか会おう。絶対に、な?」
そういい残して、ルファは強い光に包まれた。光はどんどん強くなっていき、目を開けていられないほどの強さになると一気に光が消えた。光と同時にルファも消えたようだった。
「ルファ、初めて名前…… 呼んでくれた」
――……明日も早いだろう。眠っておいたほうがいい。……御休み、アリス
ルファが消えた驚きは、聞き覚えのあるセリフにかき消された。前にも聞こえたような気がした、麒麟からの御休みに。