ep27 3人の出撃
「そ、それって盗んだってこと!?」
「まぁ、そうなるね。どっちにしろ、レジスタンスやってりゃ捕まるしね。同じことだよ」
エイドは笑いつつ言っているが、なかなかすごいことを言っているように思う。
その時、「幻獣が出た」とアナウンスが流れた。「いつもタイミングよく流れるような気がする」と思いつつ、アリスは機械たちを見上げた。
「修理したばっかりなのにもう出撃かぁ……」
よく見ると、細かい傷等が目立つ。が、なぜかリリの乗る玄武だけ傷がない。見えないわけではなく、本当に傷がないのだ。
「アリス! 出撃するよ!」
声をかけられ、考える間もなくメテオへと乗り込む。
乗り込み、起動準備を完了させる。今回はキメラだ。そう、最初に乗ったときと同じ状態だ。ただひとつ違うのは、操作システムが直感的なものに変わったことだ。ヘルメットもない。
「え……と、ログイン!」
エイドに教えてもらったとおり、音声認識で起動する。ディスプレイ類はないが、視界が変わり、同じ高さに青龍や玄武が見える。
「すごい……」
手を握ったり等、細かい動きが容易にできる。それだけ確認すると、軽くジャンプするような感覚で出撃した。
『どうだ、アリス? 感覚的には』
エイドからの通信だ。本当に話しかけられているような感じで聞こえる。
「……うん。すごくいいよ。なんか、メテオになったみたいな気がする」
笑い混じりで、そう返した。
見回すと、エイドのほかにリリもいるようだった。黒い機体が光を受けて輝いている。
ただ、幻獣は見当たらない。同じく、親衛隊たちも見当たらない。
『どこにいるんでしょう? この辺りにいるはずなのですが……』
リリの透き通るようなか細い声とかぶるかのように、“何か”の叫び声のようなものが響き渡った。