ep19 2つの通信
(何か策でもあるのかな?)
急に動きを止めたメテオに対し、リョイも機体の動きを止めていた。次の一撃で決める。そう思って。
(コックピットを外して……。無理かな。メインコンピューターを狙えば、アリスを傷付けないで済むかな)
弓を引き絞り、力を溜める。矢が光り始めた頃に、メテオにも動きがあった。メテオの周りに、放電された電気が渦巻いている。
「何をするかは知らないけど、コレで終わらせる!」
照準を合わせようとしたところで、放電された電気が規則的に動いていることに気づいた。
『避けろ! リョイ!』
通信で聞こえてきたのは、ジョーカーの声。
「お兄ちゃ……!」
メテオから放たれたサンダーストームが、リョイの目の前に飛び込んできたジョーカーが乗っている一般兵用の機体に直撃した。兄を救おうと、照準をあわせてないまま矢を放った。ジョーカーをサブコックピットに乗せて、メテオを見た。
「あ……」
照準を合わせてなかった矢は、メテオを貫いていた。それも、コックピットがあると思われるところを。
「ああ……!」
――汝の覚悟は、そんなものか!?
……うるさい。頭に響く……。
――帰るのであろう、彼らの元へ
……そうだ、オレは――
「倒して帰ると、誓った!」
刺さった矢を引き抜き、敵に投げ返す。が、避けられた。
「ま、当たるとも思ってないしな。……絶対に、倒す。倒して、みんなの元へ」
放電量を上げる。通信でエイドに伝える。
「修理できなかったら、ごめん」と。