表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/56

ep12 1人の訪問者

「大変? 何が?」

 くるくると丸まった薄目の茶髪をゆらしながら、リリが口を開く。

「今、キティ様が……!!」

「え!? キティって…… 隣国の」

「そう!!」

 リリが身を乗り出す。

「あの隣国の王女様の“キティ=シルバーローズ”様が!!」

 そこで息が切れたのか深呼吸をして、その後に大きく息を吸ったリリは扉の向こうを指さし、

「今、この基地に来てるんですの!!」

 と、興奮気味な声で言った。その後、あまりのことに一瞬みんなの時間が止まった。

 そして、一番最初にみんなの口から出た言葉はもちろん――

「ドォゥエエエーー?」

 ――奇声でできた悲鳴のような叫びだった。



 アリスが起きた頃。場所は、城の中の一室。近衛兵だけが入れるエリアにある部屋。

 そこの扉を、黒のパイロットスーツを着た男がくぐった。

「よう? 一匹、仕留め損ねたんだって? ケケ、お前らしくねぇなぁ?」

 男は何も言わず、ただ声をかけてきた男を一瞥してさっさと奥にある自室へと行ってしまった。

 声をかけた男はやれやれといった感じで肩をすくめた。そして、懲りずにずっと部屋の片隅にいた女に声をかける。

「アイツ、冷たいよなぁ? ルイ?」

「今のは、あなたが悪い。あの人は、ナルキッソスの生まれ変わりだって言ってたのはあなたでしょ、ヒート?」

 ルイと呼ばれた女は、パタンと読んでいた本を閉じ静かに言った。

 右目の目じりの下に青いハートのタトゥがある。その青いハートが、もともと少し悲しそうなきれいな青い目をさらに悲しそうに見せている。ルイはその青い目を外に向けて誰かの名前をつぶやいた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ