ep10 5人目の意味
「……ス ……リス ……アリス!」
「ん…… ここは」
「良かった。ありがとう。アリスのおかげで助かった。あの幻獣も住処に戻せたよ」
目がまだぼやけていて、表情までははっきりとわからないがナインのようだ。
「まさか、近衛兵まで出てくるとは……。お前も災難だったな、ナイン」
「何いってんの。そういうあんただって、ここついた瞬間ハッチ開けて『後は頼む』とか言ってぶっ倒れたくせに」
「う……、うるさいっ! 大体お前だって」
ガチャっと扉の開く音で、話は途切れた。
「あ、何やってんだ? お前ら、またけんかか? ……まぁ、いいか。ツバサ、朱雀に故障は見当たらなかったぞ」
「ああ、そうか」
ツバサは驚きと安堵の表情を同時にうかべた。
「ん? 何かあったのか?」
「いや、別に。多分、俺の気のせ」
「声だとさ。朱雀が、勝手に技を発動させたとか」
間髪いれずに、エイドが訳を説明した。
「声か……。オレも、聞いたけど」
「!! ま、まま、マジで? お前も?」
「う、うん。技を発動させる方法を教えてくれたけど」
何だったんだろう、あれは。声になる前に、喉でその言葉は消えていった。
「5人目……」
「ん?」
「あ、いや。なんでもない……」
思わず声に出してしまった。あの、黒い奴。最強の近衛兵に言われた、5人目とはいったい何を指した言葉だったのだろうか。レジスタンスの5人目という意味だったのだろうか。
「……」
「どうした? アリス?」
「いや、オレもレジスタンスなんだよな~、って思ってさ?」
「だよなぁ。オレも実感なかったもん、最初は」
ツバサはうなずきながら言い、ポケットから出したタバコの箱のビニールをはがし始めた。
途中で書き方が変わった気がします。ええ、かなり。こんな書き方だっけって思いましたから。