47.孝行の姫:アイーリャ
久々に書いたら、書き方忘れてました。
なんか違う感じがする。
アイーリャは、ずっとずっと道具でした。
同情を引くために腹の中に仕込まれて。
産まれれば、流れたと偽られて、人知れず幼児にまで育てられました。
幼児まで育てたのは、アイーリャを産み落とした貴き女の傅き女でした。
赤ン坊に哀れを催したから?
はん!
そんなハズがありません。
何時の日にか、金を揺すり取るために密かに引き取っていたのです。
道具でした。
アイーリャは、正真正銘の道具でした。
やがて、アイーリャは貴き女のもとに戻ります。
女の産み落とした子供が死んだのです。
今や女は、ただの内妻ではなしに、令夫人としての地位を得ていました。
けれども子が死んでしまったことで立場が揺らいでいたのです。
そこで必要となったのが、かつて捨てたはずの赤ン坊。
アイーリャでした。
アイーリャは道具として、母親の手元に戻ったのです。
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誰もわたしを見ない。
わかるんだ。
見てはいるけど、見てないって。
母様も。
御屋形様も。
「きいいいいいいい!」
その日もわたしはイライラとして侍女を殴っていた。
たまたま。
本当に、たまたまだった。
殴った侍女が、たたらを踏んで転んで、床に頭を
ごちん!
と打ったのだ。
それで侍女は死んだ。
あっけないほど簡単に命がなくなった。
わたしは震えた。
人を殺したのだ!
許されることじゃない!
「あらま。もうお痛はしちゃ駄目よ」
母様はそう言っただけだった。
いいんだ。
そう思った。
わたしは、人を、殺しても、許されるんだ。
それまでイライラしていたのが吹き飛んで、心が晴れやかになった。
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鋼紀668年
世に孝行の姫として名高く知られるアイーリャ。
彼女は齢11歳にして嫁されます。
相手は敵国の殿様で、御年50歳。
同盟するために必要だったのです。
時は乱世。
血で血を洗う戦国の世です。
アイーリャは問答無用で送り出されました。
そうして嫁いだその晩のことです。
アイーリャは床で夫を殺しました。
殿様を失った敵国は上を下への大騒ぎ。
その混乱のまま、待ってたかのように備えていたアイーリャの国に攻め滅ぼされるのです。
アイーリャは見事に祖国のための道具として働いたのです。
後の人は、このアイーリャの身命を賭した献身を称えました。
ですが。
アイーリャの国の伝記には実に面白い記述があるのです。
救助の兵士が駆け付けた時、姫はまだ息があった。
「どうして? わたしは、人を殺しても許されるんじゃなかったの?」
そう疑問を口にして死んだと書き残されています。
また。
アイーリャは嫁ぐまでの3年間で14人の侍女を殺しているとの記述もあるのです。
果たしてアイーリャは、今なお残るような孝行の姫だったのでしょうか?
痛いことされたから、苛ついて殺した。
そしたら大勢乗り込んできて、殺された。
あれ? わたしは他人を殺してもOKなんじゃなかったの?
疑問に思いながら殺されちゃったアイーリャなのです。




