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39.世界的な建築家:アララ・ジュニア

39.世界的な建築家:アララ・ジュニア


ドーラ・テララ、ドーラ・アララ、ドーラ・アララ・ジュニア。


比類なき建築家として3代にわたって名を残すドーラの家族ですが、特にアララ・ジュニアは水際立っていました。


世界でも有名な観光スポットである『聖ニムカの墓廟ぼびょう』の他にも『アーチス港湾都市』や『ラ・チャーシの宮殿』などといった現代にも残る素晴らしい建築物群をつくりあげているのです。


これはアララ・ジュニアが長い寿命をもつハーフ・エルフであることも関係しているでしょうが、なによりも彼に祖父と父から受け継いだ才能があったからこそです。


そんなアララ・ジュニアも若年のころに大きな挫折を経験していました。


鋼紀1220年に起きた大地震によって、80年近くの歳月をかけてつくりあげた『大ドラガ聖堂』が完膚なきまでに崩れてしまったのです。

大ドラガ聖堂が崩れた。


オヤジとジイサマを巻き添えにして。


崩れてしまった。


あんなに壮麗だったのに、今ではただの瓦礫がれきだ。


たった1回の大地震。


それで、オヤジの作り上げたものも。

ジイサマの積み上げたものも。


ぜんぶが、おしゃかだった。


ゾッとした。


だったら、俺がこれから先、建築するものも同じなのか?

簡単に崩れ去ってしまうのか?


俺は無力感にさいなまれた。

どうせ無くなってしまうのだからと、建築する活力がわかなくなってしまった。


そんな時だ。


聖ニムカの墓廟ぼびょうの依頼があった。


僧侶たちは俺の悩みを聞いて言った。


「でしたら、良い方法があります」

鋼紀1801年。


聖ニムカの墓廟ぼびょうの修復作業中に柱の土台から人骨が発見されます。


人柱でした。


人柱とは、建築物の基礎に人間を生き埋めにすることで神への供物として捧げ、建物に神の加護をもらおうという儀式です。


大騒ぎになりました。


急遽、魔法使いが集められて聖ニムカの墓廟ぼびょうの柱という柱を透視確認がなされました。


結果は。


全ての柱に、人骨がある。


という事実がもたらされます。


その数は248。


ここでアララ・ジュニアにスポットが当たりました。

当然、僧侶たちがそのような悪事に加担するはずがないからです。


『アーチス港湾都市』や『ラ・チャーシの宮殿』も調査され、やはりというべきでしょう、人柱になった人骨が確認されたのです。


その総数は1005。


アララ・ジュニアは自分の手掛けた建築物の全てにイケニエを供えていたのです。


しかしながら、人柱となった人骨は今もそのまま柱や土台のなかにあります。


柱や土台を壊して人骨を回収するには、莫大なお金がかかるからです。

それに、アララ・ジュニアの手掛けた建築物は、その全てが観光客を呼ぶスポットなのです。

工事をして、観光客を締め出すなんてことができるはずもありません。


鋼紀1810年の現在。


魔術学者たちは人柱の効能の是非について議論をたたかわせています。


なんせ、鋼紀1200年代から1300年代につくられて、現代でも残っている建物は、アララ・ジュニアの手によるものしかないからです。


これがアララ・ジュニアの設計による成果なのか、それとも人柱による効能なのか?


もしも人柱の効果だったとしたら。


アララ・ジュニアはおそろしいタイムカプセルを自らの建築物に潜めていたことになるでしょう。


何故なら、急速にきな臭くなりつつある大陸では要塞の建造がそこらじゅうで始まっているからです。


このままでいくと。


戦争が起きる前に、大量の人間が消えることになるかも知れません。

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