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37.降霊術士:シャリ

37.降霊術士:シャリ


降霊術とは、死者の魂を呼び寄せる術のことです。


シャリは降霊術のなかでも口寄せを得意としていました。

口寄せとは、己が身に亡者の霊魂を降ろして残念を語らせるのです。


愛する人を亡くして、悲嘆に暮れる残された人々。

その残された人々の未練を断ち切るために、シャリは口寄せをして、決別をさせていたと言います。


そんなシャリが事件に巻き込まれました。


鋼紀1301年のことでした。

「う、うう…」


首を絞められる。

わたしは首を絞められていた。


何時ものように口寄せをしたのだ。

悲しんでいる人を救ってあげようと、その人が惜しんでいる亡者の魂を、体に降ろしたのだ。


途端に、恐怖がわたしを襲った。

追体験するのは、目の前の男に絞殺された苦しみ。


わたしは、椅子から転げ落ちた。


「何度でも、殺してやる」


男が笑いながら、わたしの首を絞める。


「死、にた…く、ない……」


わたしは己が体にアレを降ろした。


禁忌の術。

決して降ろしてはいけないと、師に言い聞かせられていた術。



気付けば、男が死んでいた。


そして。


わたしは、男と唇を会わせて、そのけがれた魂を吸っていた。


いいや、吸っていたのはわたしじゃない。

正確には、わたしが体に宿してしまった悪魔が美味そうに喰らっていた。

事件があってからというもの、シャリは口寄せの依頼を断るようになります。


その代わりに自警団や騎士団が抱えている事件に協力するようになりました。

被害者本人の魂を降ろして、犯人の正体を口にさせるのです。


おかげで、事件は次々に解決しました。


しかし、ここでシャリの悪い噂がたちました。


シャリは悪魔に憑かれているというのです。

犯人の魂をすすっているというのです。


実際、シャリに捕らえられた犯罪者はことごとくが死んでいます。

この大全に彼女の名前が載っているのも、そういう理由でです。


鋼紀1305年。


シャリは聖教会で詰問を受けました。

結果は『白』です。


シャリは解放されました。


が。


その翌日。

自殺してしまうのです。


遺書があります。そこには、ただこう書いてありました。


『天国にいきたかった』


降霊術士は天国も地獄もないと公言していたのです。

何故なら、降霊できるのは死して49日以内の魂だけで、それより過去になると亡霊を呼び寄せることができないそうなのです。

なので『死ねば魂は消滅する』というのが降霊術士たちの定説だったのです。


ならば、シャリの遺書に書かれていたのは?


シャリほどの降霊術士が天国を信じていたという事実は、たいへんな混乱を降霊術士たちにもたらしました。


天国はあるのか?

だとしたら地獄もあるのではないか?


天使はいるのか?

悪魔も存在するのか?


いまだに答えはでていません。

暑いですね。

オリンピック、大丈夫ですかね?

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