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36.病んデレの弟:エアン

ほのぼのエピソード

36.病んデレの弟:エアン


それはそれは美しい姉弟だったと言います。


それぞれだけでも見惚れる程でしたが、2人揃うと常人では立ち寄れないほどのオーラめいた雰囲気を醸していたそうです。


姉のレピと弟のエアンは、とても仲良しでした。


赤ン坊のエアンを、幼いレピは実の子のように可愛がり。

弟のエアンは、そんなレピに実の母親よりも懐きました。


それは長じても変わらず、13歳の年頃になってさえ弟のエアンと同じベッドで寝ようとするレピを説得するのに、両親はほとほと手を焼いたそうです。


このように仲睦まじい姉弟でしたが、時が過ぎれば、別れなければならなくなります。


15歳になった姉のレピに続々と縁談が舞い込むようになったのです。

なるほど、なるほど。


今回、姉さんに縁談を申し込んだのはこの連中か。


僕は、山のように積まれた釣書つりがきと似顔絵を見て思った。


うん、こいつら死刑。


僕から姉さんをろうとするなら、たとえ王様だって死刑だ。


「というかさ」


パパとママも悪い。

なんで、姉さんをお嫁にやろうとするのか?


「わけわからないよ」


毎度毎度、何10人も死刑にしないといけない、僕の手間も考えて欲しい。


とまで考えて


「あ、そうだ!」


閃いた。


パパとママがいるから縁談が来るんじゃないのか?


だったら、パパとママを死刑にしちゃおう!


そうしたら、姉さんに縁談が来ることがなくなるはずだ!


「我ながら、ナイスなアイデア」


僕は、さっそく包丁を手にした。


「う~ん」


今回は押し込み強盗のせいにしよ、と。

な~んてクスクス笑っている弟エアンの微笑ましい様子を、わたくし、レピは天井裏から覗き見てニマニマしていた。


わたくしを愛するあまりに、おおぜいの人を死刑にして、遂にはお父様とお母様までも手にかけちゃうなんて…。


「ああ~ん、エアンの重い愛が嬉しい!」


こうなるように育てた甲斐がありましたわ!

鋼紀1088年。


エアンが数々の殺人罪で捕らわれました。


この時のエアンの年齢は、なんと10歳でした。


10歳という年齢もあって、エアンは終身刑となります。

これは当時にあっては珍しい措置でした。

問答無用で死刑が常套じょうとうな時代なのです。


おそらく、エアンの天使のような容姿が関係したのでしょう。


エアンは監獄島へ送られることとなりました。


その途上でのことです。


輸送車が襲われて、エアンはさらわれたのです。


この後のエアンの行方はようとして知れません。


また、姉のレピも傷心から姿を消してしまいました。


ただ。

ただ、噂があります。


レピとエアンが仲良く暮らしているのを見かけたという人がいるのです。


殺人鬼の弟と?

仲良く?


あり得ない噂話です。

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