34.最後のドラゴンライダー:メメナウ
34.最後のドラゴンライダー:メメナウ
その昔。
連峰を有する国家に、ドラゴンライダーという騎士がいたそうです。
夏なお雪を冠するような峻厳な山に群れるレッサードラゴンの卵を孵し、親代わりとなって育てた者をレッサードラゴンの背に乗せて、自由自在に空を駆けるというのです。
馬よりも速く。
矢も届かない高空を飛び。
空中から炎のブレスを吐いて、地にうごめく敵を焼き払う。
まさしくドラゴンライダーは一騎当千でした。
しかしながら、今や伝説。
ドラゴンライダーは、姿を消しています。
それというのも、おおきく3つの理由があります。
ひとつに、レッサードラゴンの巣から卵を持ち帰るのが困難だったからです。
最初期は奴隷落ちした集団を卵を盗むのに使っていたそうですが、卵を盗むたびに集団の3分の2が食われたと言います。しかし、人間とはしぶといもの。奴隷の集団は長い年月をかけて盗卵を生業とする村を形成するに至るのですが、それでも数年に1回の盗卵で男衆は半ば以上が帰らなかったそうです。
それほどに危険だったのです。
ふたつに、ドラゴンに騎乗するには類まれな身体能力と併せて、己を恃む強固な精神力が必須とされたのです。
身体能力は高速で空を駆けるレッサードラゴンから振り落とされないために。精神力は、感応能力が強いレッサードラゴンと触れ合うことで、そのレッサードラゴンに人間としての意識を取り込まれないようにです。
そうして、みっつ。
これが最大の理由なのですが。
ある時、ある日。
ドラゴンライダーが、盗卵を生業としていた村を襲ったのです。
それこそがメメナウでした。
メメナウは村を襲うばかりか、城に待機していたレッサードラゴンを残らず屠ったのです。
この事件が決定的でした。
以来、ドラゴンライダーが歴史に現れることは2度となかったのです。
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ライダーは強い精神力を保持しなければ、ドラゴンに意識を乗っ取られてしまう。
実際、過去には何十人と意識をもっていかれた例がある。
だが。
それなら。
人が、ドラゴンの意識を乗っ取ることも可能なのではないだろうか?
俺はそう考えた。
幼い頃からの夢。
ドラゴンになりたい。
ドラゴンに乗りたい、じゃない。
俺は、全ての生物を圧するほどに強く美しいドラゴンになりたかったのだ。
そうして、俺は。
遂に、騎竜の意識を乗っ取ることに成功したのだ。
『王ヨ』
声がする。
『我等ガ王ヨ』
同胞の声が届く。
『我等ヲ真ノ竜ヘト導キタマヘ』
俺は……我は、懐かしき巣へと羽ばたいたのだ。
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メメナウは騎竜たるレッサードラゴンに意識を乗っ取られたのだとされました。
しかし、それだと説明のつかないこともあるのです。
意識を乗っ取られたドラゴンライダーは、竜と人間の意識がないまぜとなった混乱から、己の体を喰らって絶命するのが、過去の例だったのです。
ですが、メメナウのレッサードラゴンは生きながらえました。
そればかりか、レッサーを脱皮して、炎竜としてレッサードラゴンの群れに今もなお君臨しているのだと言います。
もっとも、誰が言いだしのか定かではない話です。
もしも、です。
もしも、メメナウのレッサードラゴンが炎竜に変化していたとして。
レッサードラゴンが、龍に進化するには人間が必要だと知っていたのだと仮定して。
人間は、レッサードラゴンを使役しているつもりが、実は逆に使われていたのかも知れません。
あれ?
殺人鬼じゃない・・・?
でも! いっぱい殺したから!




