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3.自称勇者:ニャオキ

3.自称勇者:ニャオキ


帝国ランチャスが周辺国に戦火を振りまいていた頃のことです。


ニャオキは帝国の精兵として最前線で戦っていました。

その活躍は凄まじく、いわゆる帝国動乱の中期からの10年間を活躍して、まさしく一騎当千だったと記録されています。


また、ニャオキは自らを異界から召喚された勇者であると称していましたが、帝国はこれを黙認しておりました。

勇者とは荒唐無稽な話ですが、それを頭ごなしに否定できないほど、戦場で血にまみれるニャオキの威勢は目覚ましかったのです。

実際のところ、現代でもニャオキを勇者として祀る地方が残っているぐらいです。


しかし、ニャオキは堕ちてしまいます。


鋼紀1583年。

帝国を治めていた帝王ジャオハン2世が急死したことにより、帝国は後継を巡って争い、崩壊を始めます。


ニャオキは王女殿下の派閥に与してしましたが、ある日、王女と取り巻きの全てを殺してしまいます。


そこから自称勇者は3日3晩の間、帝都の貴族を殺し始めるのです。

くそ、くそ! くそが!


涙が止まらない、嗚咽が止まらない。


騙されていたんだ、ずっと。

10年も我慢したのに、戦争が終われば元の世界に返してくれるという言葉を信じて、戦場を巡ったのに。


全部!

何もかもが嘘だった!


あのクソッタレナ王女は、俺を返す術なんて最初からなかったとほざきやがった。


『このままワタクシが至上の冠をいただけば、ニャオキを近衛の長にしてあげる。だから、もう元の世界に返る必要もないじゃない』


笑いながら…言いやがった!


取り巻きどももニコヤカに笑っていた。

メイドも、執事も、衛兵も。

どいつもこいつも。


ああ、そうかい。み~~~~~んな知ってやがったんだな。


そう思った瞬間、俺は切れた。


剣を抜き放ち、王女の首を落としていた。


何が起こったのか分からずにフリーズしてる他の連中を斬り突き蹴り殴り殺す。


帰れないなら…帰せないなら……。

こいつら、帝国の貴族どもを皆殺しにしてやる!


もう2度と俺みたいに召喚される奴がでないよう、術を知っている貴族を殺しつくしてやる!

ニャオキは1人で帝国を潰しました。


女王派の貴族ばかりか、対立していた王弟派の貴族をも残らず、ほんとうに一人として生かすことなく殺してしまったのです。

老いも若いも関係なく、女も子供もひとしく、命を奪いました。


ニャオキが奪った命は実に2300人とされています。


このニャオキの狂乱によって、侵略されつつあった周辺国は息を吹き返しました。

鋼紀1585年。

帝国は滅亡します。


重税にあえいでいた市民は歓呼したと記録されています。

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