26.ハーレムを築いた伊達男:ハァズ
まず。
胸糞注意です!
26.ハーレムを築いた伊達男:ハァズ
ハァズは近隣でも有名な伊達男でした。
甘いマスクにダンディーな髭をたくわえて、何時だって清潔な身形をしていました。
物腰は柔らかく、女性に優しく接しました。
その姿には、どんな女たちもトキメいたのです。
鋼紀1583年のことです。
ハァズは田舎に追いやられます。
何をやったということはありません。
ハァズは長男でした。しかし、妾の産んだ子でした。
正妻の産んだ次男が成長するにしたがって、邪魔になったハァズは、辺鄙な田舎に邸宅を与えられて逼塞を余儀なくされたのです。
しばらくの間、ハァズは大人しくしていました。
朝は遅くまで寝て、昼は楽器をつまびき、夜になれば晩酌をして寝る。
そんな生活をしていました。
しかし半年後。
ハァズは旅していた隊商を襲って、女たちを手に入れるのです。
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大嵐だった。
雷が大木におちて、その下を走っていた隊商が巻き込まれた。
僕が現場に到着した時には、大惨事だった。
それでも生きている人間を助け出して、僕は数人の男女を屋敷へと連れ帰ったのだ。
「主人は…?」
軽傷だった女の人が目を覚ました。
僕はその女性を連れて、たった1人生きていた男性のもとへと向かった。
そして、女の人が。
隠し持っていたフォークで男性の首を刺したのだ。
男性は死んだ。
女の人が嬉しそうに言う。
「こいつは死んで当然の男だったんです!」
それからだ。
僕の生活は、女たちに支配されるようになった。
そう。女、たち、だ。
目を覚ました女たちは、売られた女たちだった。
彼女たちは、孤児だった。生きるために、貧しい村で無料で身をひさぐようなことを強要されて、とうとう幾ばくかのお金と交換に隊商に売られたのだった。
女たちは一様に、同じような環境でいた同類以外の女を嫌い、ただただ男を憎んでいた。
とはいえ僕は別だ。
僕は彼女たちを助けた。
それに、僕は男性としての機能が不能なのだ。
父親の正妻に虐められていたせいだ。
そんな僕を、彼女たちは殺さなかった。
代わりに寄生先として選んだのだ。
隊商が屋敷の前を通る。
彼女たちが茶を振る舞う。
そうして殺す。
殺して、金目の物を奪い、同類の女たちを増やす。
僕は、血に濡れて笑い合う女たちを、震えながら見ているしかなかった。
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鋼紀1602年。
実家に戻るようハァズに連絡が来ます。
次期当主と目されていたハァズの弟が病死してしまったのです。
ハァズは嬉々として田舎を出たとされています。
しかし、ここで問題が起こります。
ハァズの出て行った屋敷には、68人もの女たちが残されていたのです。
彼女たちは訴えました。
わたしたちはハァズにかどわかされたのです。
互いに監視することを強要されて、逃げることはできませんでした。
と。
そして。ハァズが隊商をもてなし、毒をもって殺害していたことも明るみになります。
ハァズは捕まりました。
醜聞をおそれた実家によって、すぐさま死刑になりました。
結局、ハァズはハーレムの手綱を握っていたと誤解したまま田舎を離れてしまったのでしょう。
主人を殺された女が、そんな殺人鬼に心を許すはずもないというのに。
その後。
女たちはハァズの実家から詫び金をもらって、幸せに暮らしたとされています。




