19,再び交えた爪と剣(悪戯好きの下級悪魔)
はい。
誘われたんでやります
この部屋に沈黙が訪れる。
睨み合い出方を伺うフェルトとビザル。
その刹那ビザルの背後に竜巻が巻き起こる。
「何!?」
すぐさまバリア体勢に入るが、少し遅い。
「くらいやがれ!風神ランクまでいったかまいたちだ!」
凄まじい音と共に見えない刃が次々と
ビザルを切り刻んでゆく。
しかし、弱点はバリアで護られ
右手を切り離す。
「トラップとして設置していたがトラップでこれなら
上出来じゃないか。」
「キキキ,弱者の癖に生意気だなぁ~。
右手の一本なんぞハンデにもならないよ~キキキ」
嘲笑うように余裕を見せてくるビザル。
切られた後は、酷くグロく見てられない
レベルであった。
「さてと、ここからは俺の剣を使い
一対一で手合わせしてやんよ。」
ふと呟き、思いっきり息を吸う。
覚悟を決め、頭が痛くなるほど
叫ぶ。
「ジェスト!!
魔王とクリスを、連れて遠くまで
逃げろ!」
この指示を、ちゃんと聞くジェストではないと
うすうす分かっていたが、致し方ない。
こいつに対しては、みんなで挑んだら
間違いなく死者がでる。
もう、俺の力で仲間を失うのはごめんだからな。
「馬鹿な!そんなことをしたら死ぬのは
貴様だぞ!分かって言ってるのか!」
怒気を含んだジェストの声に
自信満々に答える。
「別にやられるつもりはねぇーよ。
それとな!俺の邪魔になるから
逃げろっつってんだよ!」
笑顔で振り返り手を翳す。
正直、こいつには勝てる気がしない。
だが負ける気もしねぇー。
「お前が逃げないなら強制的だ。
『転移』!」
掛け声と共にジェストがどこかに
転移される。
「キキキ、本当に良かったのかな?
これでさらに勝率は、下がっちゃったけどキキキ」
いまだに、にやにやしながら
問いかけてくる。
「律儀に待っててくれてありがとよ!
これで、良かったかどうかは分からねえ。
だが、後悔はしてない。」
なるべく強気で言い返すフェルト。
ビザルを睨みつけ、食い殺すように
斬りかかる。
瞬間的に反応され爪と剣がぶつかり合う。
凄まじい金属音と鈍い音が鳴り響く。
ぶつかった反動で、すぐさま攻撃を受けきれない。
「・・・・っち!」
一回でも捕まればおしまいだ。
「チャーンス!」
反動で動けないのをいいことに
吸い込まれるような風を感じた。
ビザルが息を吸い込み思いっきり吐く。
「キキキッ。無属性のブレスだ喰らいな。」
闇のようにどす黒いブレスは、フェルトに向かってゆき
直撃した。
「ぐはっ!」
凄まじい威力に吐血する。
一発のブレスで服は破け、
傷後がたくさん出来ている。
「キキキッ!。もうおしまいかな。キキキッ」
余裕の笑みで問いかけてくる。
フラフラしながら立ち上がり睨みつける。
「なわけあるかよ。やっぱりお前には、普通にやっても
勝てねぇ。」
もう一度剣を構え直して、威嚇するように
叫ぶ。
「お前の、知らねぇ俺を見せてやるよ!!。」
轟いた声と同時に魔力がとてつもなく高まる!
いくらなんでも適当過ぎない?




