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第047話 ギンヌンガ・ガップ 下層

 ◇◇◇ ギンヌンガ・ガップ 下層 ◇◇◇


 湿った岩肌には多数の(こけ)が生え、これまで以上に薄暗くなる洞窟内。魔石の(あか)りが頼りになり、各々が光の魔石を手に取って行動している。相変わらずトロッコ用の線路が引かれており、いくつかの分かれ道でも迷うことなく進むことができる。

 中層よりも広く、緩やかな坂道が続いていた。時々出現するゴブリンやダークバットといった低級の魔物を蹴散らしながら進むと、青く透き通った神秘的な湖が姿を見せた。

 その地底湖は、ここがダンジョンであるということを忘れさせるほど神秘的で、青く()んだ水で満たされていた。水自体も輝きを持つのか、地底湖周辺は相当な明るさを持っていた。かなり深い湖で、いくつか横穴があるように見える。


「こりゃあ、凄い景色だな」


「綺麗ですね。でも落ちると大変なので、近づかないようにしましょう」


 地底湖を囲むように湾曲(わんきょく)した道を進んでいく。水といえば、ミーミル大聖堂で巨大な魚に襲われた経験があったので、湖から突如飛び出して来ないかと余計な心配をしてしまう。

 そんな心配事も杞憂(きゆう)に終わり、再び薄暗い通路へと入っていく。

 敵自体の強さはこれまでとさほど変わらず、数が増えたという程度だ。エルノアもハンマーで応戦し、一体ずつ丁寧に処理していく。

 戦闘に若干の物足りなさを感じるが、護衛の依頼中に(さば)ききれない量の魔物が現れても困る。エルノアにとっても、丁度良い相手のようだ。


 しばらく進むと、ダークバットではなくレッサーデーモンが多く登場するようになった。さらにゴブリンメイジも登場し、魔法による遠距離攻撃が加わる。魔法を詠唱させる前に仕留(しと)めることが重要になり、少しばかり忙しくなるが、それでもまだ余裕はあった。次から次へと雑魚敵を倒し、魔水晶を回収しつつ先へ進む。

 それ以降も質よりも数という感じで、トロール十数体にゴブリンリーダーも三体ほど出現していた。敵の連携攻撃に物怖(ものお)じすることもなく、速さを生かして敵を翻弄(ほんろう)し、危なげなく撃破していく。


 敵の大群を殲滅(せんめつ)しつつ線路を辿って行くと、トロッコが多数置いてある部屋に着いた。この周辺が、素材を掘り出す場所なんだろうか。


「ご苦労じゃったな。ここまで魔物が多いとは思わんかったが、それ以上にお前さん方の強さには驚いたわい」


 ガラールが伸びた顎髭(あごひげ)を触りながら、機嫌良さそうに話しかけてくる。どうやら、ここが終点のようだ。


「ここまでの護衛で、仕事は完了ですか?」


「そうじゃの。このダンジョンは特殊じゃから、一度魔物を倒せばすぐには()いてこないんじゃよ。ここに来るのは久しぶりじゃったから、あれだけの魔物が住み着いておったようじゃ」


 確かに、道中はこれまでのダンジョンのように空間から飛び出てくることはなかった。いずれも、元々うろついていた魔物ばかりだった。


「ワシらはここの近くで鉱石や魔石を掘る作業があるんで、お前さん方はもう帰っていいぞ。依頼達成の報告は、今日か明日中にでも済ませておくから、しばらくしてから受付にいっちょくれ」


「了解です、ありがとう。それじゃ、俺たちは先に戻ります。気を付けて」


「ああ、ご苦労じゃった。また機会があったら頼むぞい」


 腰を曲げて握手をし、無事に依頼達成となった。報酬を受け取るのは、二、三日後になりそうだ。


「言い忘れておった。途中、光の届かぬ黒い穴があっても絶対に入らぬことじゃ。二度と戻れなくなるからの」


 それだけ言うと、トロッコを運び出していたドワーフたちを連れて奥のほうへ向かって行った。


「よし、俺たちも戻るとするか。途中、鉱石と魔石を入手しながら帰ろう。エルの鞄にまだ荷物入るよな?」


「はい、魔水晶だけで半分に満たないくらいですから、まだまだ入れられます」


「集めた鉱石と魔石で合成に挑戦してもらうから、たっぷり持って帰らないとな」


 ここまで来るときに、素材がありそうな場所にはエルノアが既に目を付けていた。時間の短縮と護衛を優先していたので掘ったりはしなかったが、思っていたより早く終わったので回収しても時間は大丈夫だろう。


「こういうところで宝石が取れたりしないのか?」


「宝石は珍しいので、壁の表面に出てくることは(まれ)です」


 バックパックにしまってあったマトックを取り出し、壁を掘り進める。俺も槍の石突(いしづき)で、堀るのを手伝う。


「ダンジョンの壁に埋まった魔石が、どんどん力を取り込んでいたのが宝石です。そのまま大きくなるのが普通の魔石ですが、小さいまま力を蓄えることで宝石となるのです。魔石をいくつも集めれば作ることも可能なので、駆け出しの冒険者は小さいものを集めて商業ギルドに買い取ってもらうことも多いですよ」


「へえ、それは初心者にとっちゃ便利だな。序盤は、弱い魔物を倒すのも怖いだろうしな」


 金策としては微妙だが、安全面を考えると序盤には良いだろう。壁を掘ればすぐに回収できるし、待てばまた壁から出てくるというのだから便利だ。


「ここにあるのは鉄ばかりか?」


「そうでもないようです。帰ってから確認しないと断定はできませんが、銀や金、(はがね)など色々混じっていそうです」


 場所によって取れるものが違う。ここは、火の魔石より水の魔石のほうが多いようだし、魔石にも偏りがあるみたいだ。


 それからは魔物も出現せず、ひたすら壁を掘って鉱石と魔石を採掘していった。エルノアのバックパックが満タンになる頃、下層のゲートへ到着した。


「下層だけで十分集められたな。帝都へ戻るとするか」


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