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異世界でのFPS攻略  作者: ムク
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第34話 昔の異世界人

「フレイヤさん、明後日仕立て職人を連れて来ますのでバンパイアロードの事は内緒にして下さい。下僕も部屋から出さないで下さいよ」

「その職人の腕は確かなのか?」

「一着仕立てて様子を見ます。駄目なら次を探しますが、育てる気はないですか?お金も時間もあるので気長に色々作らせてみては?」

「それで上達するのか?」

「上達はします。やる気があれば作れば作るほど」

「やる気はどうやって維持するのだ?」

「お金、褒める、仲よくする。この位しか思いつきませんが、3つでやる気の維持は出来ると思います」

「お金はマサキが宝物庫から用意しろ、褒めるのは下手だったらどうするのだ?」

「下手でも下手なりに褒める所はあります。縫い方が丁寧とか、針の使い方が上手いなどです」

「そんな事を褒めなければならないのか…、私に出来るのか…」

「頑張って貰って、最後の仲良くするは友達の様に接すればいいです」

「人の世界は大変だな…」

「人に限らず育てるのは大変ですよ。それに立て続けに何人も雇う事になるとフレイヤさんの秘密もバレてしまう可能性が大きくなります」

「私は正体を明かしても問題ないが?」

「人は団結してフレイヤさんを倒そうとします。初めに森を焼き払うでしょう。次は大人数で攻めて来ますし、毒の使用も考えられます。私も表ってはフレイヤさんに協力は出来ません、極秘に協力はしますがどうしても限度は出来てしまいます」

「この森は気に入っているから焼き払うのは許さん!」

「森を焼き払ったら元に戻すのに時間が掛かりますし、極力穏便に済ますためには雇う人は1人か2人にしたい所です」

「襲って来るなら皆殺しにすれば良い」

「そうしたら隣国の兵士達も団結して26時間の波状攻撃です。それに友人を1人でも作って下さい、私が異世界に帰ったら誰も来なくなりますよ」

「友人を作ると言っても相手は人で、私はバンパイアだ。無理ではないか?」

「私は人ですか、しばらくは通わせて貰いますよ」

「マサキは例外ではないか?」

「人は優しくされていると、その人を嫌いになれない。それを利用して下さい」

「マサキは人の味方ではないのか?」

「人でもバンパイアでも私達に良くして貰った方の味方です」

「やはりマサキは変わっている」

「まあ、異世界人だからこの世界の人とは考え方が違います。それよりも仕立て職人の件お願いします」

「お金、褒める、仲よくするか?出来る限り努力しよう」

「それでは2日後に連れて来ますので」

 これで仕立て屋の件が上手く行けば、しばらくはフレイヤさんも大人しくしているだろう。この隙に本の記録を進める事にする。


 ジャック卿が所持している異世界の文献を見せて貰う為に、ジャック卿の屋敷まで行き応接室に通して貰いジャック卿を待つ。

「待たせたな、紹介したい人が居る」と後ろに立つ貴族が目を輝かせて俺を見ている。

 異世界好きの国王陛下か公爵だと思うが見た目はエルフの青年、エルフだから年齢は判らない。

「初めまして松岡正樹と言います」

「ジャックから話は聞いている。余がカーロイ・マルテロ・ヴィシュネヴァー国王だ。マサキが異世界人と聞いているが、見た目は人間と変わらぬな。余もヘリと呼ばれる空を飛ぶ鉄に乗りたいのだがどうだ?」

「ヴィシュネヴァー国王陛下とお呼びして宜しいでしょうか?」

「そう硬くならずに、王宮以外では好きに呼べ」

 これ以上どう呼べと?さん付けでいいのか?

「陛下と呼ばせて貰います。ヘリは夜ならいつでも乗れますが、夜に城を抜け出せますか?」

「夜か、大丈夫だ。ジャック手配を頼む」

「はい、手配しておきます。ご都合の宜しい時ですと明後日がよろしいかと」

「マサキ、明後日でどうだ?」

「では、明後日の夜23時にジャック卿の屋敷に伺います」

「それで頼む、ジャックもその様に手配を」

 ヘリ観覧の日程は決まったのでジャック卿の異世界文献を見せて貰う為に書庫へ移動して文献の説明を受けたが余り大した内容ではなかった。


 昔の学者が異世界の空想を書いた本、召喚魔法に対する思いを書いた本、ヒンディー語かアラビア語の様な文字の本などが大半で有力は情報は少なかったが、1冊だけ具体的に異世界の描写が書かれ帰還魔法の事を研究していたと思われる本があった。

「こちらの本を書いた方は、どなたかご存知ですか?」

「それを書いたのはオレーナの祖父だ、余も持っている」

「まだご健在ですか?」

「数年前に亡くなった。国王として葬儀に参加したので覚えている」

「それは残念です。この異世界の描写は私の世界に似ています」

 実際はそっくりそのまま日本の事が書かれている。但し、俺が読んだ本の中の日本、数十年前の日本を書いた本だ。二度目の東京オリンピックの開催や新幹線がリニアに代わり自動車は自動走行が可能となった事などが書かれていた。

 中学の時に授業で読んだ本なので正確には覚えていないが、覚えている限り日本の事が書かれていた。当然オレーナさんの祖父は日本人か日本に詳しい外国人、この世界では異世界人となる。

 オレーナさんの祖父は亡くなったと言う事は、両親は生きている。会ってみるか?日本の事を知っているのか不明だし本人じゃないと詳細は解らないと思うけど、一応聞いてみるか?

「オレーナさんに一度会わせて貰えませんか?」

「公爵は呼べば直ぐ来るぞ、今日も予定が無ければ来たいと悔しがっていた」とジャック卿が楽しそうに話すと陛下も笑っている。

 オレーナさんが異世界研究の公爵だった様だ。

「屋敷にはいらっしゃるのですか?」

「来客があると言っておったので屋敷に居るぞ、余が行けば来客どころではないし来客も遠慮するだろう。今からどうだ?」

 陛下も行くのか?こんな所で遊んでいて、この国は大丈夫か?


 馬車で屋敷に向かうと、屋敷の門が開き屋敷に到着して執事が出迎えてくれた。ジャック卿が先頭で次が陛下、最後は俺の順番で降りたが陛下の顔を執事が確認すると直ぐにメイドに話し掛けてメイドが駆けて行った。オレーナ卿を呼びに行った様だ。

「これは国王陛下、お越し頂き光栄です」と息を切らして話すオレーナ卿。

「硬くならずとも良い、今日は友人のマサキを連れて来た。マサキ、オレーナ・レプニン公爵だ」

「松岡正樹です。宜しくお願いします」

「オレーナ・レプニン公爵です。ジャック伯爵からお話は聞いています。私でお役に立てる事がありましたら言って下さい」

「ありがとうございます。正樹とお呼び下さい」

「では私はオレーナと呼んで下さい」

「オレーナ卿とお呼びさせて頂きます」

 定番の挨拶が終わった所で応接室に通して貰って、先客の対応をしにオレーナ卿が席を外している間に、メイドが持って来た冷えた水で喉を潤しながら待ち、全員揃ったので本題を切り出す。

「お亡くなりになった祖父は異世界人ですか?」

「「「えっ!!」」」とみんなが驚いていた。

「ジャック卿から異世界に付いてオレーナ卿の祖父が書いた文献を見せて頂きました。内容が昔の日本が具体的に書かれていたので、実際に見ているか元となる本があると思うのですが、後は誰かの話をそのまま本にした。オレーナ卿、あの文献の元となる本はありますか?」

「私の記憶にはないです」

「では、異世界の方に心当たりは?」

「ありません」

「ご両親に一度聞いて貰っても宜しいですか?それと御爺様の大事にしていた物がありましたら見せて貰えますか?」

「両親に確認して、祖父の私物を持って来ますので、しばらくお待ち下さい」

オレーナ卿が部屋を出て行くと陛下が「ヤマトが異世界人とは信じられんな」

「ヤマトとは誰ですか?」と念の為に確認をしておく。

「先程から話に上がっているオレーナの祖父だ」

 日本人決定!間違いないでしょ、当て字じゃない普通の漢字なら『大和』だ。

「日本の名前で多い物が大和です。これは昔の日本の呼び名、戦艦の名など色々使われています」

「マサキや異世界人は魔法が使えんと聞いているが、ヤマトは使えたぞ?」

 そう言えばファンドラ国は魔法が使えないと爵位が貰えない、貴族なら全員が魔法を使える。陛下の話からも大和さんは魔法が使えた?俺の様にゲーム設定をそのまま引き継いでいる?21世紀の初めにバーチャルシステムは無かったと思うけど?

「私の世界では魔法が使える者を見た事がありません。しかし魔法を使うと言う発想がないので実際に全員が魔力を持っていないとは言い切れません。この世界に来て学んだら使える者も居るかもしれません。因みに私と弟は魔力ゼロです。」

「魔法の発想がないと?」

「異世界は科学が基本となり科学で説明出来ない事はないと思われています。それで魔法は科学で解明されていませんので魔法を信じている人は子供だけです」

「科学とはそれほど凄い物なのか?」

「私が使っている装備は全て科学力によって作り出した物です。魔法も凄いですが、科学も凄いです」


 そこでオレーナ卿が木箱を抱えて戻って来た。

「お待たせしました。両親は先先代の出身地に付いては教えて貰ってないそうです。こちらが残っている私物になります」

「そうですか、子供にも出身地を話していませんか、では木箱を拝見させて貰います」

 子供に出身を話さないか?今更聞けないのでこの件はこれ以上調べても進まないと思い、木箱に意識を向けると携帯電話を発見!

 昔の折り畳み式携帯電話を眺める。当然壊れているかバッテリーが空で電源は入らない。データを調べるのには充電するか直接電圧を掛けるしかないがコネクタを見ると見た事もない形状だった。何処に5Vを接続すればいいのか調べようがないので分解してバッテリーをそがそうと携帯電話を見ると裏のパネルが外せそうだ。

「この物を少し分解してもいいですか?」

「これが何かご存知ですか?」

「色々出来ますが、会話、調べもの、記録など出来ます」

「分解するのは構いませんが元に戻せますか?」

 元に戻す事は出来ると思うが初めて見る携帯なので確かではない。それよりもデータを調べてどうするのか?いや調べる必要があるのか?どうせこの世界に召喚されて数日しかバッテリーが持たないので大したデータはないと思われる。ただ一点何処に召喚されたか知りたい。今ホームを設置している前の草原が重要かどうか、大和さんもあの草原に現れたのなら、あの草原が重要になると思うし、別の場所なら重要性は下がる。

 だけど帰還魔法の儀式があるならあの草原でやるし、ホームを他の場所に移す事もないから大和さんが何処に召喚されたかはそれ程重要かとも思う。

「壊れる可能性があるので止めておきますが、この電話は異世界の物です」

「では先先代は異世界人ですか?」

「その可能性が大変高いと思われます」

「そうするとオレーナも異世界人の血が流れている事になるぞ」

「ジャック待て、それよりヤマトが異世界人だぞ!余もジャックもヤマトに誘われて異世界研究を始めたのだ!言い出した本人が異世界研究の対象だったとは」

「大和さんも必死で元の世界に戻る方法を探していたんですね。結局帰れなかったけれど」

 その後も3人から異世界に付いて色々な質問をされ、明後日の夜に陛下とオレーナ卿、ジャック卿をヘリに乗せる為、ジャック卿の屋敷を訪ねる事を念入りに約束させられた。

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