第31話 コトカ村の生存者
アレクシスさんから連絡はないがファンドラ王都のジャック卿を訪ねて魔法具店を紹介して貰う。
「魔法具店が、何か必要なのか?」と応接室に通されジャック卿に聞かれるとアレクシスさんも入室して来た。
「強化魔法のマジックアイテムを購入したいのですが、いい店を紹介して貰えますか?」
「強化魔法か、マジックアイテムとなると通常の魔法よりも効果が落ちるぞ?良いのか?」
「どの程度でしょうか?」
「魔法師が強化魔法を掛けると1.2倍程度だが、マジックアイテムとなると1.1倍の効果しか期待できないけどいいのか?」
マールやアネットに強化魔法を掛けて貰うとアーマーの性能は96レベル相当になるがマジックアイテムだと88レベル、今は82レベルなので90レベル相当か、コンバットアーマーは他のアイテムと違いレベルが十代はレベルⅱ、二十代はレベルⅲの物へ交換するのではなく、最初のアーマーしか与えられないので自分のレベルに応じて強化されて行くから強化魔法の恩恵は強く表れる。
これが武器になるとアイテムレベルがⅰ毎に0.2倍強くなるのでアーマーよりは恩恵が少ない。因みにスペシャルアイテムの装備スロットはレベル50で1つ目が解放されレベル70で2つ目が解放された。レベル90では?
「1.1倍でも強化魔法のマジックアイテムを購入したいのですが」
「ではこの後に紹介しよう。話は変わるが少し頼みがある」
「何でしょうか?」
ジャック卿がアレクシスさんを見て、アレクシスさんが話し始めた。
「お願いは2つあるのですが、1つ目はネイビスファー共和国の首都ドラケンスにも転送装置をお願いしたいのです。2つ目は年に2回程、異世界研究者の報告会を開きたいのですが、これにはマサキさんやヒロシさんにも出席して頂きたいのですが。今までは手紙の遣り取りで個別に連絡を取っていましたが効率が悪いですし、貴重な文献も見せ合う事は不可能でした。いえ、不可能ではないですが危険な旅に持って行く事はありませんでしたが転送装置なら、他の研究者が持っている文献も拝見する事が出来ます。お願い出来ませんでしょうか?」
「いつまでに設置すればいいですか?」
「それはわしから話そう、報告会は8月中頃を考えておる。研究者のローラン・ベレンキとベツィー・エカートに確認を取ってわしの屋敷で行おうと思っておる。後は陛下とオレーナ・レプニン公爵も参加予定だ。設置の日程だが10日後はどうだ?わしもドラケンスに付き合うぞ」
10日後の予定は・・・何もない「10日後でお願いします」
ファンドラ王都からドラケンスまで130ファルと聞いたので出発時間を逆算するが650~780kmか道なりの距離で直線距離じゃないから700km程度と考え約3時間、10日後の夜中の2時に出発予定にした。
ジャック卿とアレクシスさんの3人で紹介して貰える魔法具店に行くと店ではなく工房だった!伯爵の紹介と言う事もあり俺の要望を取り入れて作って貰える事となったので標準的な強化魔法のマジックアイテムに付いて聞いてみた。
魔石の大きさで使用回数が決まり、指輪サイズで数回の強化魔法が使え、ネックレスサイズの物だと十数回使用出来る。考えた末に100円ライター程度の円柱形の大きさにして貰い使用回数は30回以上、2つを明日までに作成して貰う。
装備強化については目処が付いた。これで危険な場所にマールやアネットを連れて行かずに済む。しかし1.1倍と1.2倍では当然1.2倍の方がいい、この世界の最高レベルがいくつかは知らないが強敵が現れた時には?・・・逃げよう。フレイヤさんの話では古代龍が異世界に付いて何か知っているが強そうなのでしばらく保留。
アレクシスさんを自宅まで送り届け、店から戻って来た子供達に報酬を渡すとバンパイアロードのフレイヤについて質問攻めになった。
言葉を話すが魔物なのか?襲って来ないのか?血を吸われてどうだったか?明後日はどうするのか?領主様に報告しないのか?冒険者で団結して倒さないのか?本当に伝説のバンパイアロードなのか?バンパイアロードならどうするのか?など話が重複して来たのでジュースを飲ませて落ち着かせる。
「フレイヤさんとは友好的に付き合って行きます。ギルドにも領主にも国にも報告はしない。襲って来たら俺と浩史で倒します。血を吸われても変化はありません。で後は、明後日は俺1人で行って来るので、みんなは浩史と一緒に行動して、話は以上です。これは決定事項で変更はしません」
「マサキさん!あいつ達は僕達の村を襲った奴等に似ています」とマールから言われた。
「もしそれが事実なら殺す。けど、似ているって目が赤いバンパイアだったの?しかもフレイヤさんは森から出れないぞ?」
「目は赤くなかったと思います。バンパイアかどうかは判りません。でも配下の者達も森から出れないのですか?」
「それは判らない。フレイヤさんに聞いてみる」
「本当の事を言いますか?」
「プライドが高そうだから人に嘘まで付いて保身はしないと思うけど?」
「そうですか?」
「それよりもマール、ロン、アネットの村を襲ったのは盗賊じゃないの?」
「多分盗賊じゃないと思います。全員が暗闇に紛れて黒い服装でしたバンパイアの様に」
「それだけでは・・・、村の名前と場所は分かる?」とモニターを操作しながら聞いてみる。
「名前はコトカ村です。場所はイーシャー村の川を上流に行った隣村です」
イーシャー村?「あっ!イーシャー村ね!他の子供達の村?」
「そうです」
マップをイーシャー村に合わせて川の上流にスクロールさせると村の跡地が見つかったのでコトカ村と登録して、グロスター上空の衛星でサーモグラフィーにして様子を見ると数名が動いている。
「誰か居るな」
高感度カメラに切り替えると大人が1人と子供が2人の3人が壊れかけた石造の家を補修して生活している?
「ただいまー。地下30階までのマッピング終了!!」と変なテンションで浩史が帰って来た。
「マサキさん!空飛ぶヘリでコトカ村まで乗せて下さい!」とアネットが言って来た。
「浩史、今からアネット達の村に行くぞ」
「別にいいけど、何かあった?」
「ヘリで説明する」
ヘリポートからヘリに乗ってコトカ村に向かいながら浩史に事情を説明してコトカ村に急ぐが、後ろを見ると子供達はいつでも戦える装備をしている。必要なのか?
村の近くにヘリを着陸させて歩いて向かうと家の1つから明かりが漏れているので近づき声を掛ける。
「すみません!マサキと言いますが!この村の方ですか!?」
「誰なの!」と緊張した女性の声がする。
「グロスターで店をしている者です。マール、ロン、アネットの身内か知り合いを探しています。知っていま「ロンが居るの!?」」とドアが勢いよく開いて、武装した人狼が出て来た。
「姉ちゃん!」とロンも駆け寄って来て抱き着いた。
「だれ?」と手を繋いだ人虎の子供2人も奥の部屋から出て来た。
「デボラ、みんなを中に入れて、もし魔物が入って来たら倒して、他のみんなもいい?浩史行くぞ」
レーダーに魔物を8体捉え浩史と倒しに向かう。
「兄貴1人でよろしく」といつの間にか人虎2人を抱っこしている。
「・・・穴位掘れよ」
「兄貴適当に掘っといて。ロン、兄貴が倒したら燃やして」
「はい、終わったら呼んで下さい」
まあ、8体なら1人で十分なのでそのまま魔物の方に歩いて行くと後ろでドアが閉まる・・・。しばらくドアを見ていたが気を取り直して魔物を倒しに行くと村の柵を破壊して壊れた鎧を着たオークが入って来た。
壊れた柵の隙間から入って来るので俺から見ると重なっているので、いい的だ。アサルトライフルをフルオートで1マガジン撃ち切ると全滅したので、1人で討伐部位を切り取り家の近くまで運んで少し穴を掘り放り投げる。
「ロン!終わった!」
ドアが開いてみんなが喋りながら出て来た。楽しそうだ。まあ、みんなが楽しいならいいけどね。
「兄貴終わった?」
「終わった。ロンよろしく」
「はい、姉ちゃんも手伝って」
短い杖を受け取りながら「これを1人で?しかも早い!何者なの?」
「マサキさんとヒロシさんは物凄く強いんだ!ダンジョンも手加減して50階を普通に歩いてるよ」
「ロンの姉のイリアです。ヒロシさんにはお礼を言いましたが、ロンを助けて貰ってありがとうございました」
「こっちも助けて貰っているから気にしないで」
「兄貴、イリアさんとコリーナとユルクもホームで暮らす事になった」
「分かった」まあ、そうだろうね。コリーナとユルクは人虎だし
「先程もヒロシさんから『ロン達と暮らさないか』と言われましたが・・・、コリーナとユルクだけロン達と一緒に居させて貰えませんか?」
「それはいいけど、イリアはどうするの?」
「私はここで他の村人が来るのを待ちたい。他にも必ず逃げ延びた人達がいるから!」
イリアは何やら思い詰めてる?それと人虎の子供を預かって誰が面倒をみるのだろうか?めんどくさい事ばっかりだ!
「では、毎日グロスターからここに来て待ったら?俺達の装備なら一瞬でグロスターからコトカ村まで来れるから、どう?」
「姉ちゃん!マサキさんの言ってる事はホントだよ!今日もデボラとアネットは王都まで行って帰って来たんだから!」
明らかに信じていないので試しにやって見せる事にした。イリア達が使っていた家に転送装置を設置して俺がホームに戻り登録してブレスレットを持って戻り、3人に嵌めて貰ってロンと一緒にホームに帰って、そのまま鳳龍店に転送する。
「ここは?」
「グロスターだよ」とロンが嬉しそうにイリアに話す。
「そんな・・・、だってさっきはコトカ村に居たいのに?」
「だから言ったじゃん!グロスターまで直ぐだって」
コリーナとユルクは何をしているのか今一理解出来ていないが楽しそうに街を見ている。虎は可愛い。どうしても人として見られない。喋る虎なのでアニメみたいで可愛い。多分浩史も同じ気持ちなんだろうが知られたら揉めそうなので注意しないといけない。
「納得してくれた?」
「はい、本当の様ですが嘘みたいです」
「じゃあ、もう一度コトカ村に行って今日はホームに泊まって、明日話し合いをしよう」
ホームに戻ってロンとイリア達は多目的ルームで待って貰って、浩史に他の子供達と戻って来る様に通信し、5号室をゲストルームに変更した。ロンが部屋の使い方を説明している間にベッドを購入して設置した。一応、水とバナナも冷蔵庫に入れておく。
明日は子供達にイリア達を護衛させ俺と浩史でコトカ村の転送装置を設置した家を補修する事になった。




