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異世界でのFPS攻略  作者: ムク
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第22話 領主代理

「今日の夕方にはグロスターに到着予定だけど雰囲気最悪。兄貴どうするの?」

「別に何もしないけど」

「悪い噂が流れるかも?」

「その程度は許容範囲」

「何かする時に足を引っ張られるかも」

「それはその時考える」

「出来るだけ揉め事は避けた方がいいでしょ」

「その方がいいのは確かだけど、相手に寄るな。無理に我慢する気はない」

「程々にね」

 そんな事よりこの後の事を考える。

 明後日の外交大臣との面会を成功させて、俺達にちょっかいを出す奴等の牽制に利用したい。他国の使者に対しての脅迫・無理強いは容易に出来なくなると思う。後は王国が献上品をもっと寄越せと言って来るかどうかだ。大した要求もしていないので紙を倍にでもすれば納得はしてもらえると思うが。

 それでも納得しないなら魔法が進んでいるファンドラ国に場所を移せば済む。店は閉店して子供達を連れて行けば問題なし。

 王都の店はデボラで登録したので問題ないはず。

 この大陸の地図もグロスターからかなりの範囲を作成済み。


 ここで思い出した。

 端末の残高、約1100億G、浩史にこの国と隣接する国を監視したいと話した事を思い出して、偵察通信衛星を確認すると21基が衛星軌道に配置されていた。

 お金の事を言いたくはないが、後から浩史と話しをしようと思って忘れていた。

「浩史、衛星は後何基必要?」

「どうだろう?ナミル王国と隣接してるのは、カーマン帝国、ファンドラ国、ネイビスファー共和国、マガスカ連合国の4ヵ国だから、国全体を監視するか、ナミル王国との国境までを監視するかによる。国境100kmまでなら多分終わってるよ。国境の目印がないから正確には解らないけど」

「1基は海岸線に沿って移動させてこの大陸の大きさを知りたい」

「それはいいけど、1基抜くとナミル王国で通信出来ない場所が出来るけどいいの?」

 それは良くない。もう1基作るのか?作りたくない。

「マガスカ連合の国境の衛星を移動させて」

「分かった」


 浩史がさっきから悩んでいる?考えている?

「思い出した!」

「何を?」

「ファンドラ国の東に小国が多くあるけど、その内の幾つかの王が元はファンドラ国の貴族なんだって」

「そうなんだ」

「だから魔法研究してないかな?」

「小国を1つ1つ確認するのは大変だから最後だな」

「有力な魔法使いがいるかも、少ししたらファンドラ国に行かない?」

「ファンドラ国には行くけど、何か別の目的があるの?」

「ファンドラ国は魔法が発展してるだけあってマジックアイテムも豊富みたいなんだ」

「俺達に必要か?」

「その中に魔法を封印した水晶があって投げつけると魔法が解放される。俺達でも魔法が使える!」

「持ってる時に水晶が割れたらどうなるの?」

「知らない。割れるとしても欲しい」

 要らない、安全装置も組み込まれてない武器は必要ない。

「ファンドラ国はその内に」

「もう1つ噂話があるけど、確認出来たら教えるよ。これを聞いたら兄貴も行きたいって言いだすと思うよ」と話しながらニヤついていた。

 少し気になるが放っておく。


「明後日は浩史も王都に行く?」

「王都には行ったからもういいや」

「じゃあ子供達のレベル上げでもしてて」

「明後日は鳳龍店の営業日でしょ。子供達は店番だよ」

「店か、来月から王都も開店させないと」

「暇だから、ダンジョンを1階から探索してマップピングしておく」

 敵を無視して走ったら数階はマッピング出来そうだ。

「気を付けて」

 夕方になって前方にグロスターの街が見えて来た。

 いやー長かった!色々あって疲れた。早くホームで寛ぎたい。

 門の前で停車してカーティスの所に集まる。

 全員の依頼書にカーティスがサインをして「明日の昼までには冒険者ギルドに依頼達成の報告と報酬を支払っておきますので昼過ぎからの精算をお願いします。ありがとうございました」

 解散となったので浩史と一緒に離れた場所でハンヴィーを戻す。

「トレーラーはみんなの前で戻したのに何で?」

「苛ついて居たから、意味はない」

 歩いて鳳龍店に戻る。


 朝、多目的ルームに行くと子供達が居たのでギルドの階級を聞いてみると全員がF級に上がっていた。

 子供達を褒めて送り出す。

 今日は昼まで自由に過ごして昼過ぎに冒険者ギルドで依頼達成の精算をする予定だ。午前中にアレクシスさんを訪ねて王都での大臣との会談について報告をしに行こうと思っている。ついでに鍛冶屋のファビオに酒を持って挨拶に行く。

 等と考えているとマールが戻って来た。

「執事がマサキさんに話があると鳳龍店を訪ねて来ています。今は店に入らない様にデボラが対応してますが」

「用件は聞いた?」

「用件は直接お話しすると教えてくれません」

「すぐ行くよ」

 何だろう?砂糖でも欲しいのか?

 鳳龍店の前で執事とデボラ達が話しをしている。

「俺がマサキだが、そちらは?」

「私はグラン・ノルベール子爵家で執事をしております。グラ子爵様がマサキ様と少しお話がしたいと申しておりますので今からご案内致します」強制?

「今日は都合が悪いので今度にして頂けませんか?」

「子爵様のお招きを断ると?」怒って来た。

「断ると不味いですか?」

「今後の事を考えればお解りでしょう」

「分かりました」

 まだデボラ達が待って居たので送り出し、馬車に乗せられて屋敷まで連れて行かれる。

 馬車に乗っている間に浩史に無線連絡してアレクシスさんに大臣との会談の内容とファビオに酒を持っててと話しておく。


 屋敷に到着して応接室に通され、しばらくして子爵がやって来た。

「ノルベール子爵家のグランだ、お前がマサキか?」

「はい、松岡正樹です」

「ナミル王国出身ではないな?」

「日本国の出身です」

「二ホン国?まあいい。それよりもお前はバイロン商店に対して要らぬ噂を流そうとしていると聞く。どうなのだ」

「バイロン商店の雇い人が私の所有物を奪おうと強盗を目論みました。当然、関係者や然るべき方に話をさせて頂きます」

「この件は私が対応する。お前からの報告は無用だ!いいな!」

「どの様な対応になりますか?」

「お前には関係のない事。解ったのか?」

「話したらどうなるのでしょうか?」

「不敬罪で奴隷に落とす」

 もう少しでこの国での地盤を築けたのに、ただでさえ異世界に来てストレスが溜まっているのに、子爵を殺すと流石にこの国には居られないよな。

「選択肢はないですね。私は日本国の使者としてこの国に来たのですが、ここまでですね。本国へは友好関係は無理だと説明しておきます。クロード外交大臣への説明はそちらでお願いします。それではもう宜しいですか?」

「どういう事だ!クロード大臣と話!?友好関係!?」

「クロード外交大臣とお会いし友好国として話を進めていましたが、今より私の権限でナミル王国は敵国と指定しますので話し合いは無効です」

「待って!何故、商人風情が使者なんだ!」

「何を待つのですか?日本国の大公を脅しておいて?」

「馬鹿な!大公が商人や冒険者の真似事などするか!」

「その辺の事情はクロード大臣にお聞き下さい。そろそろ帰らせて貰います」

「入って来い!」と伯爵が声を掛けるとドアの向こうで立って居た兵士が入って来る。

「事情が判明するまではここに居て貰う!こいつを絶対にここから出すな!!」と慌てて出て行く。

 俺も浩史に通信して伯爵の屋敷で軟禁にあっているので、子供達を連れてナミル王国を出る準備を進める事や子供達がホームに戻って来たら屋敷から強引にでも脱出してホームに向かう事を打ち合わせる。

 子供達がホームに帰るのが夕方から夕暮れなので、それまで暇なのでドアの前の兵士と話してみるが無視される。

 昼になっても食事も出ない。


 浩史に無線連絡で「もう出たい。子供達探せない?」

「無理だね。ファビオさんとアレクシスさんには挨拶に行って、今は鳳龍店を片付けてる所」

「子供達が戻ったら直ぐに知らせて、転送してホームに戻るから」

「ダンジョンクリアーしたかった」

「カーマン帝国に手を貸してナミル王国を潰す?」

「出来るの?」

「カーマン帝国の進軍と同時に砦を爆破させれば、後はカーマン帝国がやってくれるでしょ」

「街の人達はどうするの?」

「それはナミル王国が考える事、知り合いは逃がすけど」

「俺は片付けに戻るよ。帰って来たら直ぐに連絡するから」

 通信が切れて、また暇になる。

 ファンドラ国に移ったらホームも移すか考える。一番の問題はあそこに召喚された事だ。あの場所が特別なのか、たまたま、あの場所に現れたのか。しばらくはホームを移さないが今後はどうしよう。

 既に4時間以上はここに居る、お腹も空いたし直ぐに帰ろうと思えば帰れる。

 ベルトも装備しているのでコンバットアーマーは一瞬で展開出来るし腰にはハンドガンもある。

 ドアの兵士は2人ともレベル26なので問題にもならない。

 こんな事になるなら各国に拠点を設けておけば良かった。この件が片付いたら実行しよう。

 そんな事を考えていると屋敷が慌ただしくなった?

 誰かが屋敷を訪ねて来た?しかも大勢で。追い詰め過ぎた口封じかな?


 ドアから一番離れた椅子に座りいつでもアーマーを展開出来る様に体制を整える。

 ドアが勢い良く開き数人の兵士が入って来た。

「全員動くな!」と兵士ではない貴族風の男が声を張り上げる。

 俺を見張っていた兵士も剣を抜いたまま動かない。

 俺はいつでも反撃出来る様にホルスターからハンドガンを少し抜いて様子を見る。

「私は領主代理のイレール・ベルレアです。マサキ・マツオカ大公殿ですか?」

「そうです。何か御用ですか?」

「こちらにいらっしゃいます!」と誰かに声をかけるとアレクシスさんがやって来た。

「ご無事ですか?」

「ええ、大丈夫です。どうなっているのですか?」

「ヒロシさんからお聞きしてベルレア様にお話しをしたのです」

「私も領主様とクロード卿から知らせが届きまして、マツオカ大公殿から要望があれば出来る限り力を貸す様に言われております」

「そうでしたか」

「この度の失態。誠に申し訳ありません。グランは既に捕縛してあります。連れて来い!」

 兵士が捕らえられたグラン・ノルベールを連行して来た。

「イレール卿!誤解です!」

「マツオカ大公殿、グランはこの様に申していますが?」

 グラン伯爵が縋る様な目で見ている。

「1つお聞きしたいのですが、どうして私を脅迫したのですか?」

「バイロンに騙されたのだ!冒険者が在らぬ噂を広め様としていると!」

「バイロンからの指示ですか」

 領主代理から兵士にバイロン捕縛の指示が出る。

「私は被害者だ!」

「あなたが被害者なら、あなたに脅迫されて、監禁された私はどうなる?」

「グラン!他国の使者に対して恥を知れ!連れて行け!!」

「マツオカ大公殿、重ねてお詫び致します」

「マサキとお呼び下さい」

「では、マサキ卿とお呼びさせて頂きます。私の事はイレールとお呼び下さい」

「イレール卿とお呼びさせて頂きます」

「私の屋敷でこの度の件をお伺いしたいのですが、宜しいですか?」

「構いません。アレクシスさんありがとうございました」

「私は何もしていません。ご無事で良かったです」

「ではアレクシス殿もご一緒に屋敷までお越し下さい」

 外に停めてある馬車に乗ってイレーヌ卿の屋敷へ向かう。


 浩史に通信で無事に済んだ事と、領主代理の屋敷で今回の話をする事を伝えファンドラ国に移る事は保留にした。

 屋敷で昼食を勧められたが何が出るか分からないので食欲が無いと断り水だけを頼んだ。

 イレーヌ卿に日本国から異世界に付いて調べ旅をしている件、アレクシスさんに協力を頼んだ事、クロード外交大臣に協力を要請した件、情報収集と活動資金を稼ぐ為に店と冒険者をしている事を話す。

 護衛の依頼で自走式馬車を狙われ、それにバイロン商店の雇い人が関わっていた事、その雇い人が他の強盗にも手を貸していた事を説明して今朝からの話をした。

「自走式の馬車ですか?今までそのような乗り物を見た事がないのですが、日本国では普通なのですか?」

「皇帝陛下と軍隊は持っています。明日王都へ行きますが一緒に行かれますか?」

「申し訳ないのですが領主代理としての仕事があります。何日も留守にする訳には行きません」

「2日で往復出来ます」

「1日で王都まで行けるのですか?」

「5~6時間で王都に到着します。明日の14時からクロード外交大臣と会見の予定ですので余裕をみて6時にグロスターを出ます」

「すると1日でグロスターに戻る事も出来るのですか?」

「会見がありますので、その日に戻る事はお約束出来ません」

「ええ、分かっております。2日程でしたらグロスターを留守にしても問題ないので私も同行してもよろしいでしょうか?」

「では明日の6時迎えに行きます。馬車には6人乗れますので5人までならお連れする事は出来ますので宜しかったらお連れ下さい」

「ではもう2人同行させて宜しいでしょうか」

「はい、大丈夫です。馬車は外に停めてあるので門兵に通行の許可をお願い致します」

「伝えておきます。では明日、6時に宜しくお願いします」


 明日の約束をして馬車でアレクシスさんの家と鳳龍店に送って貰った。

「もう済んだ?」

「明日、領主代理と一緒に王都に行く事になった」

「今日はもういいの?」

「もう用事はないよ」

「ギルド行って依頼達成の精算をしよう」

 夕方になって段々と込み合う時間になるので急いで冒険者ギルドに向かいギルドカードの更新をする。達成数は約束の35に変更済みだった。

 ホームでデボラとアネットに端末でデニムや絹などの生地を見せて店で売り出す品を選んだ。

 デボラの店で売る品は砂糖と生地数種類に決まり値段を他の店と比較して高く設定する様にして貰う。

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