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異世界でのFPS攻略  作者: ムク
20/94

第19話 王都

「兄貴、王都で拠点にする店はどうするの?」

「どうするって何が?」

「名義」

「浩史にするの?」

「違う、子供達の誰かにしない?」

「何で?」

「俺達が帰る前に砂糖を大量に渡しておけば生活できるでしょ。砂糖なんて腐らないし」

「それでもいいけど。帰る気になった?」

「全くならない。数年はこっちでもいいよ」

「じゃあ、王都の店はデボラかロンにするか?」

「それでいいんじゃない。」

ニームの街に着いたらデボラとロンに店の話をして、子供達で名前を考えて貰う事にした。


 順調に進み夕方にはニームの街が見えて来た。

 カーティスにハンヴィーを隠して来るので街での護衛は必要か、尋ねると明日の朝に北門に集合でいい様だ。

 浩史を降ろして風呂付の宿屋を先に取りに行かせ、俺はハンヴィーを転送させる為に人目に付き難い場所でホームに戻す。

 宿屋で俺が部屋に残り、浩史にホームの整備場でエネルギーセルをチャージして貰う。

 戻って来たので交替で俺がホームへ行くと子供達が居たので店番の銀貨5枚を渡して王都の店の話をする。

 デボラは直ぐにOKしたがロンは最近中級魔法が使える様になって来たので出来れば魔法師ギルドに登録したいと言ったので余っている杖と登録料を渡した。

 自分で支払うと言ったが、マールとアネットの分も出しているからと受け取って貰った。

 デボラには2日後の昼からはホームに居る様に言って、王都の商業ギルドで登録する事にした。

 子供達の店なので、みんなで名前を考えて貰う。

 風呂に入って宿に戻ると、浩史が街を見て来ると出掛けた。

 俺も出掛け様と思ったが、この世界の風呂を見てみる。

 水を溜める瓶、水を溜めてマジックアイテムで加熱する鉄製の箱、1m弱の正方形の木製浴槽。

 風呂を使った形跡を残しておく。

 俺も街に出て見物をしているとレリア達と合った。

「一緒にどうだい?」

 トカゲの丸焼きと野菜のスープを食べてた。誰が喰うか!

「もう食べたから」

「どこの宿を取ったの?」

「イネスの宿」

「いい所に泊まってるのね。私達はマルセルの宿よ」

「そう」

「お酒でも呑みに行かない?」

「行かない。行ってもこっちの事は話さないよ」

「気が向いたら誘いに来て」レリアが微笑んでいる。

 どうしてもゲームのキャラクターとしか思えない。頭では現実と理解はしているが。

 レリア達と別れて街の見学を続ける。

 ボリスの武器屋に行ってみるとボリスが居たので話をする。

「本当にありがとうございました」

「もう気にしないで下さい」

「あの乗り物は何ですか?」

「俺達の国、日本の乗り物です。これ以上は話せません」

「分かりました」

「これからもグロスターに武器を仕入れに行くのですか?」

「はい、今回仕入れた武器は質も良く安かったので定期的に仕入れに行きます」

 店の閉まる時間なのでお礼を言って店を出る。

 果物を少し買って宿に戻ると浩史も帰って来てた。

 果物を食べながらボリスはこれからもグロスターで仕入れをする事を話す。


 日の出前にハンヴィーを転送する、人目に付かない場所まで街を出て向かう。その間に浩史にはホームでハンヴィーにチャージしたエネルギーセルを積み込んで貰う。

 ハンヴィーで北門まで戻ると浩史達も集まっていたので、俺達が先頭で出発する。

 途中で13体のオークの群れに襲われたが、浩史が8体倒して俺が5体ハンヴィーで引いてみたが死ななかったので結局、他の冒険者達が止めを刺した。


 ニームを出発して2日目の昼過ぎに王都が見えて来た。

 カーティスに話して浩史にハンヴィーを戻して、デボラをホームから連れて来る様に言って先に王都に入る。

 明後日の明け方に南門で集合するまでは自由時間となった。

 浩史と合流すると子供達が揃っていた。

 デボラは俺達と一緒に商業ギルドに向かい、他の3人はビーコンを作動させて見物に行った。


 マシューさんからの紹介状を用意して、商業ギルドでカルラさんを呼んでもらう。

「初めましてカルラです。よろしくお願いします」綺麗な人だったのでエルフかと思ったが耳が違う。

「正樹です。こっちが浩史とデボラです。こちらこそよろしくお願いします」

「マシューからの手紙では、王都の店舗紹介と書いてありましたが間違いありませんか?」

「はい、グロスターの店と同じ間取りで、石造りの店舗をお願いします。それとデボラの商業ギルド登録もお願いします」と登録料を支払う。

「それではデボラさんこちらで登録をお願いします。その間に、グロスターの間取りも手紙に記載がありましたので、近い間取りの物件をお持ちします」とデボラを連れて行って、木の板を数枚持って来た。

一通り見て間取りは大体同じなので、デボラが戻って来たので人通りが多い場所から案内して貰う。

1番目、人通りが多いが井戸は遠い。

2番目、人通りは1番よりは少ないが井戸は近い。

3番目、人通りは2番と同じで井戸は遠いが冒険者ギルドが近い。

4番目、人通りは少ないが井戸は近いし貴族の屋敷や高級料理店も近い+裏に馬車の駐車スペース。

 浩史、デボラと相談して少し高いが4番にした。

 1ヵ月で家賃と税で金貨2枚と大銀貨5枚+紹介料の大銀貨8枚を支払い鍵を受け取る。

 デボラが書類にサインしてデボラの店となった。名前も「デボラの店」だった。

 浩史に子供達集めと鍵を人数分作りに魔法師ギルドに行ってる間に、転送装置を組み立てホームで掃除道具を持って来て掃除を始める。

 みんな戻って来て掃除が終了したので、ソファーとテーブルを購入しに戻る。

 ソファーやテーブルを配置した所で、店の鍵を渡すと子供達はそのまま王都の見物に行ってしまった。


 ホームで久しぶりの食事にする。

「浩史、明日どうする?」

「日程の確認だけでしょ?」

「多分」

「王様に会えるなら呼んで、街の見物してるから」

「正装ってスーツでいいのかな?」

「アレクシスさんに聞かなかったの?」

「忘れてた」

「思いつくのはスーツ、袴、軍服、学生服かな?」

「スーツだな。後の3つは嫌だ」

「無難だね」

 明日は朝から王様に手紙と貢物を届けて謁見の日程を入れて貰う予定だ。


 朝からスーツ姿で注目を集めながら城まで行く。

 ヤバい!みんな馬車で来ている。俺一人が徒歩だった。

 門の衛兵に日本国からの手紙を持って来たと言って中へ入れて貰おうとしたがここで待てと言われてしまった。

 他の人は馬車から顔を出して用件を言って門を通過している。

 仕方ないので手紙と貢物を渡して門の前で待つ事にした。


 しばらく待って居ると衛兵が1人の若い貴族を連れて戻って来た。

「外交補佐官のハンク・ブリーンです。お待たせして申し訳ありません」

「こちらこそ行き成りの訪問、申し訳ありません。日本国・大公、松岡正樹です。苗字が松岡で名前が正樹です」

「大公様自ら手紙をお持ち頂いたのですか?」

「大公と言っても名ばかりの大公でして、皇帝に謁見した事もありません」

「お話は後程、早速城内にご案内致します」

「お願いします」

 城内の衛兵に武器を預ける時に、腰のハンドガンをどうしようか迷ったがホルスターごと預け、外交補佐官の後に付いて城内の一室に案内された。

「こちらでお待ち下さい。直ぐに外交大臣を呼んで参ります」

 少しして外交補佐官が外交大臣を連れて戻って来た。

「遠路遥々お越し頂きありがとうございます。ナミル王国で外交大臣をしておりますクロード・ロアンと申します」

「日本国・大公、松岡正樹です。こちらこそお時間を頂きありがとうございます」

「トクガワ皇帝陛下からの手紙は拝見させて頂きました。異世界の調査ですか、直ぐには信じられませんが」

「日本で判っているだけで2件発生しております。自分の意志で行ったのか、迷い込んだのか、連れ去られたのかは解ってはいませんが」

「異世界の有無については一先ず保留にして、我が国はどの様に協力をすれば宜しいのですか?」

「異世界の研究者が居れば紹介して下さい」

「それだけで宜しいのですか?」

「はい、十分です」

「紹介だけなら王に謁見を求めなくてもいいのでは?」

「はい、謁見の必要はないのですが、ナミル王国に報告と信用出来る方の紹介をお願いしたく参りました」

「解りました。紹介の件は後日返答致します。二ホン国について我が国には情報が全くありません。少しお聞きしたいのですが、構いませんか?」

「私で答えられる事なら」

「約1000ファルの輸送となると、どの様に補給を受けているのですか?」

「ヘリと呼ばれる空を飛ぶ物で運んでいます。次は8月1日に合わせてこちらに来る予定です。グロスターまで見学しにいらっしゃいますか?」

「何故、グロスターですか?」

「グロスターまでが輸送の限界なのでグロスターを拠点に動いています。補給品が無ければもう少し伸びますが、補給品と操縦者1名だとグロスターで引き返さないと日本に帰れません」

「空を飛ぶ…ですか、是非見学に行かせて頂きます。それと今回献上頂いた紙ですが大変素晴らしい。二ホン国ではこの紙が大量にあるのですか?」

「大量にはないです。皇帝陛下が使用する分と友好国に送る分程度です」

「我が国では、あそこまで薄くて白くは出来ません。何かコツなどありましたらお聞きしたいのですが?」

「私は軍人だったのであまり詳しくは知りませんが漂白をすると聞いた事があるぐらいです。多分これ以上は本国に聞いても…」

「分かりました。マサキ殿は軍隊出身でしたか、二ホン国も魔法は発展しているのでしょうか?」

「日本では魔法を使える者がおりません。代わりに科学が発展しています」

「科学?どの様なものでしょうか?」

「例えば、火が燃える原理を調べる事です」

「それは燃える物に火を付ければいいのでは?」

「燃える物と火などの点火源、最後に空気の中に含まれる酸素の3つが必要です。火を大きくしたい時は、空気を送り込むとよく燃えます。これは空気に含まれる酸素を送っているからよく燃える。この証明を科学と呼んでいます」

「難しいですが役に立つのですか?」

「科学を突き詰めると飛べます。ヘリも科学力で飛んでいます」

「そのヘリを1つ、我が国にお譲り頂けませんか?」

「日本には独自の法があります。原則として他国に攻め込まない。他国間の争いに介入しない。攻撃されない限り攻撃しない。と戦闘行為をほぼ禁止しています。この法では他にも他国に武器などの指定された物を渡す事は禁止されています。ヘリの譲渡は違反行為となりますので不可能です」後腐れが無いようにキッパリと断る。

「協定を結んだ国が助けを求めても何もしないと?」

「日本は島国です。船で脱出して来たのなら保護する事は可能ですが。基本何もしません。この法は皇帝陛下でも変える事は出来ません」

「署名にトクガワとしか皇帝陛下の署名がなかったのですが、フルネームは何というのですか?」

「国民の父となられたので苗字は不要です」

「皇帝陛下に即位されると苗字がなくなるのですか」何か感心している?

 余り長居すると嘘がばれてしまうので早く引き上げたい。

「紹介の件はいつ頃伺えば宜しいですか?

「宿屋に宿泊ですか?」

「今日は宿泊予定ですが、明日には帰ります。グロスターで知り合った異世界研究の方との約束があります。そちらの都合が良ければ7日後の昼過ぎに、また王都に伺いたいのですが、いかがでしょうか?」

「7日もあれば返答は出来ますので、それでお願い致します。ただ7日で王都までの往復は大丈夫でしょうか?」

「自走式の馬車を使っていますので大丈夫です。7日後に自走式馬車もお見せしましょうか?」

「是非お願いします」

「それでは7日後の26日14時にお伺いさせて頂きます。お忙しいで中、お会い頂いてありがとうございます」と早急に引き上げる。

「大変有意義な時間でした。もう少し二ホン国についてお伺いしたいのですが?」

「ロアン大臣が宜しいのでしたら、こちらは構いませんが」

「クロードとお呼び下さい」

「では、クロード大臣とお呼びさせて頂きます。私の事はマサキとお呼び下さい」

「では、マサキ卿とお呼びさせて頂きます」

 それからクロード大臣とハンク補佐官を交えて話をする事になってしまった。帰りたい。

 日本の領土、軍の規模、作物、特産物、スーツと服の事やナミル王国と貿易出来ないかなど2時間ほど話をして城を出た。


 浩史に通信で7日後の事や会話の内容を話して、しばらくは王様に会う事はないと伝える。

 王様に会わなくてもナミル王国が日本を認めれば俺の目標は達成なので問題はない。

 近くの宿屋を取って転送装置を組み立てスーツから普段着に着替える。目立ってしょうがない。

 着替えて街を見物しながら鉱石商や大きな鍛冶屋を探してみる。

 幾つかの鍛冶屋を見つけたが、アダマンタインとミスリルの販売はしてないと言われたので鉱石商の場所を聞いてみるが個人には売ってないと言われた。

 試しに鉱石商に行って話を聞くと、王国や公爵・侯爵・伯爵の紹介状があれば売って貰えるので、値段を聞いてみると、アダマンタイン1デベンはミスリル硬貨2~3枚、オリハルコン1デベンはミスリル硬貨5~6枚、ミスリル1デベンはミスリル硬貨6~7枚、ウーツ鋼1デベンは金貨3~5枚。ウーツ鋼以外はとても買えない。

 因みに1デベンは約2kgでミスリル硬貨1枚は300g、硬貨でもインゴットでも価値は余り変わらない様だ。

 後、ミスリル硬貨は思っていたよりも大きい事が解った。

 浩史に宿を取ったので今日は宿屋に泊まる事を連絡して明日の朝集合する。

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