第16話 模擬戦
浩史もスキルをリセットしてレーダー範囲を600mまで広げて全員で狩りに出掛ける。
俺、マール、ロンと浩史、デボラ、アネットのチームに別れて効率良く狩りをする事になった。
俺と浩史が魔物の足を撃って止めを子供達が刺す。
しばらく順調に狩りをしていたがレーダーに20体程の集団が反応した。
100mから確認するとコボルトの集団だったのでマールとロンに聞いてみる。
「コボルトが20体程居るけど、どうする?」
「僕とロンで4~5体は倒せます」ロンもやる気でいる。
「俺が突入して動けなくするから逃げた敵から倒して」
「「はい」」
もう少し近づいた所でスロウを発動して突入。
出来るだけ死なない様に足を蹴って骨を折る。
マール達の方に3体逃げていくがそのままにして、他の方向に逃げた敵の足を撃つ。
全てのコボルトが身動き出来なくしてマール達を見ると順調に倒している。
オークを数体倒した所で時間が来たので浩史チームと合流した。
子供達はそのまま狩りを続け、俺達は冒険者ギルドに向かう。
ギルドに到着して護衛依頼の件をカウンターで聞き会議室に通して貰った。
会議室には依頼人2名と冒険者6名が既に待って居た。俺達が最後?
依頼人から自己紹介をして行く。
「バイロン商店のカーティスとダレンです。王都までの往復で荷馬車3台の配送となります。王都では積荷の積み下ろしなどで1日程の空き時間が出来ますので往復で11日を予定していますので宜しくお願いします」とダレンが説明した。カーティスは気難しい感じだ。
「ブランドン、C級だ」人狼で三十代の男。
「ギリアン、D級だ」人虎で三十代の男。
「エルバート、E級だ」人間で二十代の男
「正樹、こっちが弟の浩史、2人ともF級だ」
「私はレリア、右からカリーヌ、エルザ、3人ともE級だよ」レリアが人間の二十代で後の2人は猫人の十代
全員の挨拶が終わり、ブランドンが依頼主を見て「護衛の依頼は通常E級以上だが?」
「今回は急遽、王都への配送が決まったので人数を集める為にF級からとしました。マサキさんとヒロシさんは大丈夫ですか?」と俺達に振って来た。
「戦闘に関しては問題ない。それ以外の事はやった事がない。ダメなら引き上げるけど?」
「見張りと、襲われた時に荷物と私達を守って頂ければ問題ありません」
「例えば50人の盗賊に襲われたら優先順位は?荷物?人?」
他の冒険者が笑い出した。何か可笑しなこと言ったかな?
カーティスが「お前達は50人の盗賊から荷物を守る自信があるのか?」
「荷物は守れないけど2人なら守れる」
「俺達を連れて逃げるのか?」
「浩史が2人の安全を確保したら盗賊は殺す」
「それなら荷物も守れるだろ」
「半分も殺されたら逃げるでしょ?荷物を奪って逃げるかも?」
「2人で50人を倒せると?」
「50人なら大丈夫」
ギリアンが「F級でその話は信じれない」
「では別に信じて貰う必要はない。F級として扱って貰えれば十分。戦いが始まった4体を最初に倒して後は任せる。F級なら2体も倒せば十分でしょ」
「協力する気はないのかい」とレリアが聞いてきた。
「5体でも4体は俺達で仕留めるのに?C級が5体、D級が4体、E級が3体で21体+4体で25体。何か問題があるか?これ以上は協力じゃなくて依存になるぞ」
ブランドンが怒りながら「そんな分け方聞いた事がない!」
「F級の報酬がD級の半分なのでその位だろ?」
「一度、模擬戦でもしてみては?」とダレンが面倒な事を言って来た。F級でいいと依頼を出したのは何処のどいつだ?何かあったら1番にこいつを見捨てよう。
頭の中でダレンを見捨てる事は決定するが、もう引けないので「それでいい。対戦相手はどうする?俺1人対みんなでどう?」早く終わらせたい。
冒険者達に睨まれたが話を進める。
「回復魔法が使える人は?」レリアが手を上げる。
「レリア以外の全員と俺で模擬戦。武器も魔法も使っていいよ。俺は手加減の為に素手で相手してあげる」と手加減を強調してダメ押しする。
冒険者ギルドの横にある訓練場で模擬戦をする事になった。
冒険者5人と少し離れてアーマーを展開する。
「変わった鎧?ですね」
「日本の鎧です」
「日本とは?」
「俺達の国の名前です」
ダレンと浩史が話している。
冒険者達もアーマーを見て警戒している。
「そろそろ始めてもいいですか?」
カーティスが合図を出す「始め!」
合図と同時に炎の矢と風の刃が飛んできたが腕でガードした。風の刃は見え難いので肩に衝撃が来たがダメージは殆どない。猫人2人が驚いている。その隙に距離を詰め、掛かって来たブランドンを他の冒険者の方へ蹴り飛ばすと同時にスロウを発動してギリアンとエルバートも蹴り飛ばす。
スロウを解除して、猫人2人の前で「どうする?」と聞いてみる。
杖を捨てて手を上げたので終了にして、レリアが3人を治療して会議室に戻る。
「戦闘力は問題ないと解って貰えたと思うけど依頼は断る」
ダレンが驚いて「何故です!?」
「模擬戦なんて護衛とは関係ない。浩史帰るぞ」
「待ってくれ」カーティスが止めに入る。
「何?」と思いっきり不機嫌そうに言ってやる。
「B級に相応する依頼料を支払う」
「金は困ってない」
「依頼達成数を20にする。どうです?」敬語になった?
「達成数を50でどう?戦闘能力だったらA級より上だよ。安いでしょ」
「バイロンさんに確認して明日返事をします。明日14時に店に来てもらえますか?」
了解して店の場所を聞いて今日は解散となった。
ギルドを出るとレリア達が話し掛けて来た。
「どうやって魔法を防いだの?」
「防いでない。耐えただけ」
「変な鎧のおかげ?」
「そう」
「あたし達とチームを組まない?」
「組まない」
「まあ、そうだろうね。何かあったら声を掛けて」
レリア達が行くと今度はエルバートが同じ内容で話し掛けて来たので断る。
「兄貴、達成数20でも良かったんじゃない?」
「どうだろう?実力なら30以上は貰えるだろ」
「C~F級までは達成数100で階級が上がるから30は大きいよ?上がる?」
「50で確認すると言ってるから最低でも30はいけるんじゃない?」
「明日は俺も行くの?」
「浩史のいい方でいいよ。俺1人でも問題ないし」
「じゃあ兄貴だけで。後、乗り物についても聞いてきてよ」
「分かった。これからどうする?」
「子供達と合流出来ないかな?」
「別れた場所まで行ってみるか?」
結局子供達とは会えなかったがトレントを数体倒したので討伐部位を取って子供達にあげる事にした。