第12話 オークの肉とドワーフ娘
起きて多目的ルームに行くと子供達が食事をしていた。
何を食べているのか見ると朝から肉を食べている。
エルフが朝から肉?
アネットが「マサキさんも食べますか?」
物欲しそうに見えた?
「おにぎりにするよ」と答えたが気になったので「何の肉?」
ロンが嬉しそうに「オークの肉です」と嫌な情報を教えて貰った。
昨日、オークを狩ったので、肉は持ち帰って夕食のステーキにしたそうだ。
マールも誇らしげに「良かったら沢山ありますので持ってきましょうか?」
4号室の冷蔵庫は子供達が出て行ったら捨てよう。
オークを数体倒して肉屋に売り儲かったみたいだ。
子供達のレベルは、ロンが19、マールとアネットが18になっているので少数のオークなら問題ないな。
「浩史は?」
マールが「射撃場に行くと言っていました」
その内、来るだろうと思って空いている席に座る。
「水とバナナはまだある?」
最近の子供達の昼食は屋台で買った物+バナナ。バランスが良く食べている様だ。
アネットから質問が返って来た。
「水道の水は問題があるのですか?」
「冷蔵庫に入れてある水の方が美味しくない?」
「水道の水でも十分です」
アネットの意見を尊重して「これから補充はバナナだけにするけど、水も欲しかったら遠慮せずに言って」と端末ショップでバナナを買って渡す。
「この後の予定は?」
「昨日と同じで、冒険者ギルドの依頼をこなして仲間探しをします」とマールが答える。
「チームに入れる目星は付いた?」
「攻撃魔法と回復魔法は僕とアネットが居ますので、アドバイス通りに前衛で楯を使える方を探していますが…」
勧誘は進んでいない様だ。
気分を変えて少し提案をしてみる「1日銀貨5枚で店の手伝いをして欲しいのだけど、3人でどう?」
月6回で大銀貨3枚。こずかい程度にはなる。
「「「やります!」」」声が揃った。
「3日後に営業日なので一緒にやりながら教えるよ。ロンは店の暇なときに字を覚えて」
ロンが嫌そうな顔で「わかりました」と答えた。
浩史も多目的ルームに来たので、子供達は挨拶をして出掛けた。
2人で朝食を済ませる。
浩史に子供達の食肉の正体を教えておく。
「貰わないようする!」浩史もオークは無理みたいだ。
「で、アサルトライフル決まった?」
「MDRにする。RFBより使いやすい」
これで2人ともMDRになった。マガジンも共有出来るしいい事だ。
他の武器についても話し合ってみる。
「兄貴もハンドガンをFive‐seveNにする?」
「P229がいい。ハンドガンはそのままでいいだろ」
Five‐seveNはいい銃だが好きじゃない。
「対ボス用にHTIの12.7×99mm NATO弾仕様をショートバレルにカスタマイズしようと思ってる」
「いい考えだな」俺はどうしようか?M134ミニガン?
「兄貴もHTIの12.7mm仕様にしたら?一応サイレンサーも付けれるし、ジャベリンも持って行くでしょ?」
この世界に来てからジャベリンは常に持っているので、ジャベリンは決定。
後1つは、ミニガンも捨てがたい。でも浩史がミニガンより強力なレアアイテムのレーザーガトリングガンを持っているのでミニガンは不要?
「そうだな、俺もHTIにするか」
自室に戻りHTIをカスタマイズする。
HTI 12.7mm仕様でショートバレル、サイレンサー、タクティカルバイポッド、6-24倍スコープ、小型ダットサイト、拡張マガジンにする。少し考えてフ ラッシュライトも付ける。
スペシャルアイテムは、威力1.5倍、連射速度1.5倍。
カスタマイズが終わり射撃場に行って試し撃ちをする。
浩史も来ていたのでHTIを見せる。
浩史がHTIを見ながら「スペシャルアイテムは何にした?」
「威力1.5倍と連射速度1.5倍にした、浩史は?」
「威力1.5倍と弾数1.5倍にした。フラッシュライトいる?」
アーマーにフラッシュライト、ナイトビジョン、高感度、赤外線、レーダー波、X線、心音センサーなどすべてが内蔵されているので要らないけど付けてる。
「なんとなくカッコいいから?」適当に答えて試し撃ちをする。
対物ライフルはサイレンサーで音が消せない。音を小さくするだけ。
ある程度の音はするが静かだ。素晴らしいゲーム設定!
試し撃ちをして、やはりボルトアクションには連射速度1.5倍はいらないと結論が出たのでカスタマイズ変更。
連射速度1.5倍を弾数1.5倍へ変更して装備する。
多 目的ルームでダンジョンの50階でマッピングしたマップをモニターに映し出す。
罠が赤で×、宝箱が黄で□、水場が青で○、セーフティーゾーンがあれば緑、魔物が溜まっている場所は赤で○に設定した。
俺が印の説明をして「昨日の宝箱の位置がここなんだが、似たような部屋が後2つ、隠し部屋が1つあるので確認したい」
「いいねー。これがダンジョン!宝探しは基本だ。ところでボスの印はどうするの?」テンションを上げる浩史。
「ダンジョンの最下層に1体しかいないから名前をマップに書く」
「了解」
「トイレは転送装置でホームへ、一応、寝袋も持って行くがダンジョンには泊まらない。アイテムBOXの携帯食料と水は満タンで、バックパックには2日分を入れておく、俺が弾薬ケースを2つMDRとHTIの弾薬は多く持って行く」
この位かな?この世界に来て浩史に言われたのが食料と水の賞味期限。
試しにお湯をコップに入れてアイテムBOXに収納、30分してアイテムBOXから出してみる。
お湯が冷めている。
時間の経過があるので、念の為に携帯食料と水を捨てた経験から満タンにせずに、弾薬などもアンモカンに日付を書いて管理し、携帯食と水は半年、弾薬は5年と決め交換する。
「兄貴はどこに行くつもり?」
確かに1ヵ月近くは戦える量だが「最悪を考え、歩いて地上に戻れるように選んだ」
「考えすぎじゃない?」
「転送装置じゃないと転送出来ないのが気になるので持って行く」譲る気はない。
「今日は宝箱を探しに行くだけ?」
「51階も探索したい。」
「じゃあ行こうか」
2人でダンジョンに向かう。
ダンジョンで50階に転移して、3つの部屋を順番に回る。
途中の、魔物の殆どは浩史がバニッシュを使用して奇襲で倒した。
隠し部屋に宝箱があり罠はなし、残り2つの部屋には何もなかった。
「宝箱のアイテム何だろう?」隠し部屋の宝箱にはネックレスが入っていた。
「鑑定して貰わないと分からないな」
「マジックアイテムぽいよね」
「多分そうだと思うけど、呪われたアイテムだったら嫌だろ」浩史が装備しそうなので釘を刺す。
「じゃあ昨日見つけた、階段に行こうか」
階段に向かう途中で冒険者を5人、レーダーに捉える。
魔物と戦闘中の様だ。黄点5と赤点7が入り乱れている。
「どうする?」浩史に聞いてみる。
「もう少し近づいて様子をみる」
距離200mの曲がり角で待機。レーダーを見ると黄点が4、赤点が3になっていた。
逃げている訳でもないので助けには入れない。ダンジョンにはルールがある。
助けが必要か声を掛ければいいが、魔物の数が減っている状態では無駄だろう。
冒険者が1人倒されたが敵を全滅させた様だ。
階段が冒険者達の向こうにあるので、アーマーの頭部を解除して道の端を歩いて階段に向かう。
冒険者達は反対の端に寄って休憩している。
ダンジョンですれ違う時は道の左端に寄って近づかないルールみたいだ。道の幅も5~10mあるので距離が取れる。
セーフティーゾーンでは広ければ数mの間隔を取る、狭い部屋などは先に居る人が優先で部屋の外から確認をする必要がある。黙って近づくと攻撃を仕掛けられる。
通り過ぎる時に子供が倒れていたので声を掛ける。
「そっちの子は大丈夫か?」
警戒したリーダー?が「こいつの所為で全滅する所だったから自業自得だ」
マントの下でアーマーの腕を解除して手を見せながら近づくと3人が立ち上がり武器に手を掛ける。
浩史は壁際で様子を見ている。
「子供だろ?」
「子供でも役割はある!」
「見た感じ役割は荷物持ちじゃないの?」ぼろぼろの汚れた服を着た子供の近くに大きな荷物が転がっている。かなり雑に扱われていた様だ。
浩史が通信で「早く助けた方がいいんじゃない?」と連絡が入る。
「後方の警戒をさせていたが、こいつが見逃して前後から魔物に襲われた!」と子供に蹴りを入れる。
こいつらを助ける気が全く無くなった。むしろ死ねばいいのにと思いながら「今からその子を治療するから邪魔するな」
「治療するなら俺達が先だ!!」と意味の分からない事を言ってきた。もう殺そうか?
「何で俺がお前らを治療しなきゃいけない?邪魔すると殺すぞ?浩史!こいつらが邪魔したら足を撃て、殺しても別にいい!」
浩史がアサルトライフルを構えると3人が武器を抜いた。
リーダーが「何だ!それは!」とアサルトライフルの事を聞いて来たが無視して、子供に近づきポーションを2本打つ。
しばらくすると目を覚まし、俺を見て首をかしげる。
「痛む所はない?」と立ち上がらせて傷跡もない事を確認する
自分で体を触りながら「はい、大丈夫です」と答える。ドワーフなのは知っていたが女の子?
冒険者3人は何が起きたか分からない顔をしている。
「何をした」とリーダーが聞いてくるが無視。
ドワーフの女の子に「何があったか覚えているか?」
「はい。前方からオーガが4体襲って来て、みなさんが戦っている時に後方からもオーガが3体、みなさんにも伝えたのですが戦闘に集中されていたので、確かオーガに攻撃を受けた気がしますが?」
どうやら戦いに夢中で聞き逃したのか?余裕が全くなかったのか?
子供の傷が治ったのをみて冒険者達が「俺達も治療してくれ!」と必死に頼んできた。
「子供が死にそうな時に何もしなかったお前らを何で助けるんだ?」
「こいつが見捨てると決めたんだ!俺は関係ない!」
「お前らも見殺しに賛成しただろ!」と言い合いが始まった。
「名前は?」
「デボラです。」
「これからどうしたい?」
「私も連れて行って下さい。力はありますのでお役に立てると思います」
「そういうのはいいので、やりたい事はある?」
「やりたい事ですか?」特になさそうだ。
「歳は?」
「14歳です」
子供チームに入れるか?
「51階に用事があるのだが一緒に来れる?」
「大丈夫です」
浩史に51階のマッピングだけをすると話、51階に向かう。
「待ってくれ!俺達も助けてくれ!」と叫ぶ冒険者。
無視して行こうとするとリーダーが剣で襲い掛かって来たのでハンドガンを抜こうとする前に浩史が足を撃った。
悲鳴を上げて転げ回るリーダーを見て「ついて来たらこうなる」と言って先を急ぐ。
レーダーに赤点が2つ、こちらに近づいて来るので冒険者の事は魔物に任せる。
デボラを連れて51階に行き休憩をする。
水と食料をデボラに渡すが直ぐに無くなる。聞いてみると、余り食べさせて貰ってない様で好きなだけ食べさせる。
服もぼろぼろなのでマントを着せる。
「その鎧と手に持っている物は何ですか?」
聞かれたので「俺達の国の鎧とマジックアイテム、異世界に連れて行かれた友人を探すため、異世界の事を調べて旅をしている」と設定を説明する。
他にも日本特有の装備があるので他の人には話さない様に言い聞かせる。
デボラをホームに戻そうか悩んだが浩史がレベル20まで上げた方がいいと言ったので連れて行く事にして、転送装置でゲスト登録と拾った剣、マントを浩史に持って来て貰った。
2人でアサルトライフルをAP弾に入れ替えてオーガやミノタウロスを動けない様にして止めをデボラに回す。
レベル上げと休憩を繰り返して51階のマッピングが終了した。
宝箱の部屋を5か所見つけたが明日に回して50階まで戻る。
冒険者と別れた場所には剣や鎧、荷物が落ちていたので回収した。
人も分解されるの?魔物が食べたの?どっちだろう。
魔法陣で地上に戻る時に、デボラに魔力はあるか聞いたが、無いと言われたので魔石を使用した。
デボラの冒険者ランクは俺達と同じF級。
鳳龍店に戻るまでにデボラの着替えなど必要な物を購入。
楯や鎧を買う時に、少し大きめを勧めたらこれ以上は伸びないと言われた。
長く使えるなら鍛冶屋のファビオに作って貰う事にした。
デボラに合った頑丈な皮鎧と楯と剣を頼んだら部屋の隅に飾ってある皮鎧と楯を持って来た。
「これは俺が趣味で作った最高の品だ」と言われたので飾ってあった物にする。
デボラも最初は遠慮したが死なれても困ると納得させた。
鎧のサイズ直しが明日まで掛かるので楯と剣だけ貰って行く。
ホームに帰ると子供達も戻っていたので事情を話し、デボラも子供チームに入れて欲しいと伝え、みんなを紹介した。
部屋割りを3号室が女の子部屋、4号室を男の子部屋としてアネットのベッドと荷物を移動する。
4号室は2LDKに戻した。
デボラにも端末ショップで靴、サンダル、バックパック、マントのグレー色を買って渡し、店の手伝いもOKしてもらった。
浩史が4つビーコンを持って来て使い方を説明して1人に1つ渡している。
使用武器
HTI:ブルパップ式ボルトアクションのスナイパーライフル。12.7×99mm NATO弾、10.6×83mm弾、10.4×77mm弾を使用
M134ミニガン:7.62×51mmNATO弾を使用するガトリングガン。毎分2000発で射程は1000m。装備中は移動スピードが1/4になる。
ジャベリン:携帯式多目的ミサイル。約1mのタンデム形成炸薬弾頭ミサイルを赤外線画像でロックすると形状を覚えて追尾し、サブ弾頭で装甲を破壊しメイン弾頭で内部を破壊する。装備中は移動スピードが3/4になる。
レーザーガトリングガン:レアアイテム。背負っているエネルギーセルから供給して貫通力の高いレーザーを放出する。毎分1800発で射程は1500m。装備中の移動スピードは1/4になる。
アンモカン:弾薬を入れる専用の箱缶。