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第一章 七話 お金稼ごうと思ったらとんでもないことになりました

中央通から更に北へ。此処には各種ギルドや役所が集まっているとのこと。僕とお供のヤミナはその中の一つ、冒険者ギルドへ向けて街中を歩いていた。因みにヤミナの服はルークの粋な心使いで宿屋で着ていた服に変わっている。やはり着ているシャツが少々きつそうだ。早く新しい服を買ってやるべきだ、今すぐに。そうしないと色々とやばい気がする。主に倫理委員会だとかそんなところからクレームが来そうだ。


「・・・えっと。ここだね」

「     」


 僕の言葉に頷くヤミナ。ましろな雪のような肌にほんのりと差す朱がなんだか色っぽいと感じてしまうのはいけないことなんでしょうか?

 それは置いておいて。みたところ普通の洋風の家みたいだけどこちらにもしっかりと看板が掲げられていた。看板には天秤に掛けられた剣と盾。天秤は釣り合って動く様子は見られない。

 

 馬車が通れそうな位大きな扉をくぐると中は吹き抜けでかなりの広さを誇っていた。部屋の中央には大きなベンチが置いてあってそこで何人かの厳つい顔の男や危ない顔の女が目をぎらぎら光らせながら座っていた。

 ううむ、やはりなんというか想像してた通りの場所なんだな。受付と思わしき場所に向かいながらさりげなく人々を観察して思う。ま、前の世界でこの手の人たちとは散々やりあったからなれてるけど、ヤミナのほうは少なくともそうはいかないようだ。

 姿勢は正しく、気丈に振舞おうとしてるのだけれど隠しきれない不安からか僕のシャツの袖に手を伸ばしている。柔らかな(触ってないけど)手が僕の身体に触れるか触れないかの瀬戸際にいる。

 僕自身を落ち着かせるために彼女の手をとる。少し強引かな、と思ったけど案外大丈夫だったようでヤミナも安心した様子でこちらを見てきている。


 受付と思われる場所、カウンターのようになっていて奥のほうでは何人もの同じような服をきた人が慌ただしく動き回っている。

 その中の一人カウンターにいるそばかすと三つ編みが印象的な女性に話しかける。


「すみません。冒険者の登録をしたいのですが」

「は、はぁい!少々お待ち下さぁい」


 女性は間延びした声で返事すると一度奥に引っ込んだ。暫く待っていると両手いっぱいに書類を持って再び現れた。


「お待たせしましたぁ。登録するのは二名でよろしいですかぁ?」

「はい。そうです」

「ではぁ、当ギルドの説明をしますのでぇ耳の穴かっぽじって聞いて下さぁい」

「は、はい・・・」


 妙な言葉使いだな。丁寧何だかそうじゃないんだか。ま、こんなところなんだから少々手荒な言葉使いにも・・・ってそうかな?分からん。とりあえず今は説明だ。


「当ギルドではぁ、無駄死にを防ぐ意味でもぉランク制度というのを採用しておりますぅ。これはですねぇ、ランクがⅠからⅩまでありましてぇそれに応じた依頼内容を受けていただきますぅ」

「ランクはⅩが最高なんですか?」

「はぁい。現在ランクⅩは大陸でも三名しか居やがりませぇん。そいつらを目指してぇ頑張ってくださいねぇ」

「は、はい」


 受け付けの女性の言葉が少々個性的だが気にしたら負けだと思って話を聞き続ける。ヤミナも僕と同じらしく俯いたままで動かない。おそらく表情に出やすく相手を不快に思わせないようにわざと俯いてくれてるのだろう。僕達のそんな苦労なんて知りもしないであろう女性は淡々と説明を続ける。


「ランクⅠからⅢまでは主に採取などが主な依頼内容になりまぁす。簡単でも結構重要な薬草なんかの知識が手に入りますのでぇ、本格的な魔物退治や探索なんかはランクⅣからとなってまぁす」

「もしも、ランクⅠでランクⅤやⅥに相当する魔物に遭遇した場合はどうなるんですか?」


 ちょっとした興味で聞いてみた。僕なら苦戦する事もない気はするけど。


「倒せると自信があるなら倒してもらっても構いませぇん。上位の魔物を倒せばそれだけ早くランクも上がりますねぇ。」

「成る程。ところで、ランクはどうやって上がるんですか?」

「それはですねぇ。いまからお渡しする〈証〉が鍵を握ってまぁす」


 そう言って彼女はカウンターの上に二組の耳飾を置いた。両方とも色は黒で特に凝った装飾も無い少し大きめの宝石が付いたようなものだった。


「こちらが当ギルドに所属しているという証になりまぁす。色は黒ですがランクが上がっていくごとに色も変わりますのでぇ頑張ってくださいねぇ。ランクを上げる方法はぁ、依頼の成功報酬の内のいくらかをギルドに治める事です。一定金額以上納めてくれれば能力があると判断してぇ、ランクが上がりますぅ。支払い能力があるということは優秀という考え方なのでぇ、じゃんじゃん貢いじゃってくださいねぇ」


 渡された耳飾を手に取ってみる。うん、特にどこかに仕掛けがあるとかそういうのは無いみたいだ。


「その証は身分を証明してくれますのでぇ、くれぐれも手放さないようにしてくださいねぇ。因みに使いたいときは、対象の人物を頭に浮かべて〈示せ〉と唱えてくださいねぇ。そうすると対象の人物の頭の中に、あら不思議!あなたの個人情報が浮かんでくるって仕組みですぅ。詳しい仕組みは技術部の根暗野郎とでも話をしてくださいねぇ」

「・・・わかりました。説明ありがとうございます」

「いえいえ~。早速ですが依頼を受けていきますかぁ?」


 建物の右側の奥の方に掲示板みたいな形で紙が沢山張られている。どうやらあれが依頼のようだ。近づいてみてみる。

 何か書いてあることはわかる。分かるけどそれだけだ。それ以上はさっぱり分からない。何処の誰がどんな内容の依頼をしているのかまったく分からない。

 掲示板の前で悩んでいるとそばに居たヤミナが一枚の紙を持ってきた。


「ヤミナ・・・これ、読めるの?」

「    !」

 

 ぶんぶん、と音がする勢いで首を縦に振るヤミナ。おお、さすがヤミナ。カワイイし魔法が使える(見たところはないけれど)、おまけに文字も大丈夫と来たもんだ。異世界ではこういった人物はかなり助かる。ヤミナも読めるってことはこの世界の識字率はかなり高いってことなのかな?


「それじゃ、これにしようかな?依頼人の場所って分かる?」


 僕の問いかけに当然、と胸を張るヤミナ。


「ありがとう。文字を読めるなんて流石だな。僕は読めないから助かるよ」

「!!」


 凄い勢いで僕の後ろにまた戻ってしまった。褒めただけなのに。振り向いて顔を見ようとしても僕の後ろに回りこんで顔を見せてくれない。メリーゴーランドのように何週も回っても無駄だったのでそのままで依頼主の元へと向かう事にした。道は後ろからの指差しで指示されたとおりに道を進んでゆく。


 辿り着いたのは東の居住区。そこの一軒の家をヤミナは指差している。一見普通の木造の家に見える。さて、どんな依頼なんだろうか?




 依頼主は至って普通の商人で依頼内容は無くなった息子の遺品を捜してきて欲しいとのことだった。

 何でも少し前に魔物が大量発生したときがありギルドが総動員で殲滅作戦をしたのだが、そのときに運悪く巻き込まれてしまったらしい。商人の息子は大柄の男で、いつもシミターを愛用していたとの事なのでさっそくそのシミターを探しに行く。場所はコルキから西に行けば湖があり、その辺りにもしかしたら遺品が残されているかもしれないと話していた。


「といって来てみたものの・・・何も無いなぁ」


 あたり一面何も無い平原だった。あまり長い草は生えておらずあちこちで放し飼いにされた牛達がのんびりと草を頬張っている。更に西のほうに話に聞いていたなかなかの大きさの湖があるけどそこにも何も無いように見える。見渡してみてもどこにも魔物の襲撃された跡や遺品らしきものは転がっていない。

 仕方が無いので気になっていた事をヤミナに聞いてみることにした。


「ヤミナ・・・魔法って使える人は少ないの?」

「       !」


 僕の言葉を聞いて身振り手振りを交えて必死に説明しようとしてくれるヤミナ。どうやら僕なりに解釈すると全ての生物は魔法を使う素質はある。と言う事らしい。ただ素質があるだけで才能とかが大きく関わってくるそうだ。それにお金も沢山かかるとか。そんな事を僕に伝えたかったに違いない。


「ふうん、それじゃ魔法って使おうと思えば使えるんだ」

「   !!」


 首が千切れちゃうんじゃないかと思うくらい凄い勢いで縦に振るヤミナ。おお、もしかしたら僕も使えるんじゃないのか?ヤミナも素質は誰にでもあるって言ってたし。


「もしかして、ヤミナも使える?魔法」

「!!」


 ヤミナはそれが言いたかったんだと目をキラキラさせてこちらに訴えてくる。ま、僕はスキルで見てるから分かってた事だけど。けれどあんまりこのスキルは気持ちのいいものじゃないな。言うなれば「いつでもカンニングできる状態」だもんな。カンニングなんてしたこと無かったけどこういう気持ちなんだろうかって思う。


 そんな事を思っているうちにヤミナが意気揚々と前に出てきて目を閉じてなにやら念じ始めた。すると次の瞬間、掌ほどの火の玉が空中に突如として現れた。火の玉はヤミナが湖の方に指を向けると一直線に飛んでいき砕け散ってしまった。ヤミナは胸を張り「えっへん」とでも言いたそうな表情だ。つまりはドヤ顔だった。ちくしょう、それでもかわいい。ちょっと小鼻に皺が寄ってるところとかが。


「す、すげぇ!!どうやったんだ?ヤミナ!これが魔法か、ぜひ教えてくれ!」


 前の世界ではある一定の人生を経験していないと使うことが出来ないと噂されているあの魔法を僕は今体験している!これは紛れも無く凄い体験だ!すぐにペンと紙をもってきてこの気持ちを書き起こさなければ。


「いや、まてよ。書き起こす前に一つ実験をしなくちゃ。僕も使えるんだろうか?ヤミナ」

「  !!    !   」


 ヤミナは手を自分の胸、丁度心臓の辺りに当ててそこから指先や頭のてっぺん、足の先に向けて線を描くように指し示してゆく。あれか?魔力の流れを説明してくれてるのか?魔力は身体の中から外へ向ける、とかそんな感じか?という事は魔力は生物がそれぞれ持っているという事なんだろう。


 まぁものは試しだ。百聞は一見にしかずとも誰かが言ってた気がするしとりあえず挑戦してみよう。

 ヤミナが言っていたようにまずは目を閉じて身体の中心に意識を集中する。それを右手に持っていくようにする。イメージは火。全てを焼き尽くす地獄の業火をイメージする。体の中を何か暖かいものが巡っていくような感覚がしてきた。ひょっとしてこれが「魔力」って奴なのだろうか。

 血が巡るように体全体にいきわたるイメージをしてみる。魔力のお陰なのかどうなのか、体がなんだか軽くなったような気がする。次は魔術だな。

 イメージするのは一番イメージしやすくて強い、というイメージがある「火」。赤は主人公だし・・・。

 手を前に出してイメージしてみるも、掌の先に現れたのは先程ヤミナが作り出したものとそう変わらない大きさの火の玉。ちょっとがっくりだ。折角作ったんだしもっと大きいのが出来るのかと思ったけど。


「ま、修行も勉強もしてないしこんなもんだろう」


 火の玉は湖で鎮火するので今度は火の玉のほうに意識を集中する。火の玉と湖との間を一本の線で結ぶように、そして火の玉がその線を伝わっていく様子をイメージする。イメージどおりに火の玉は湖に一直線に飛び・・・爆発音と共に湖が蒸発した。水に火の玉が触れた瞬間に熱風と爆風が押し寄せてきた。地面は地中不覚まで抉られかなりの水深があったと思われる湖の水も一瞬の内に蒸発してしまった。かなりの威力なのか余波と思われる突風が吹きすさぶ。


「へっ?!」

「?!」


 開いた口がふさがらないとは正にこの事なんじゃないんだろうか。いや、まて。素数を!素数を数えて落ち着くんだっ!二、四、六・・・違う!これは偶数だ。鎮痛剤を!鎮痛剤を投与しないと!


 隣のヤミナも口をあけたままその場から動く事が出来ないでいた。

 暫くの間無言で立ったままの二人だったけどふと湖(元)のそこになにやら大きなものがあるのが目に付いた。そいつは巨大な、ゆうに小さな町一つ分はあろうかという巨体の持ち主だった。全身をキラキラ光る鱗で覆われていて顔の方には長い髭と大きな二本の角があった。睨んだだけで大抵の者は逃げ出すであろう鋭い目でこちらを睨みつけている。あれは御伽噺とかでよくでてくるランキングに常にランクインしているであろう有名な魔物。見たものはその姿を忘れることはないという・・・


「り・・・リヴァイアサン?!」


 おいおいおい。マジかよ。なんでこんなところにリヴァイアサンいるの?普通は海じゃないの?んで嵐の時とかに襲い掛かってくるんじゃないの?!それよりこいつってば怒ってない?そうか、そうだよね。


「っと!兎に角戦うしか・・・ってヤミナ?!」


 どうやらヤミナは続いて起こるハプニングに対処しきれなくなってパンクを起こしてしまったようだ。

 ヤバイ、リヴァイアサンが身体を起こして口を開いた。何だか分からないけどここを逃げなくちゃ。

 ヤミナの身体に手を回し頭の中で〈縮地〉と念じる。僕達が飛びのいたその場所に超高圧の水が叩きつけられ、地面が抉られる。

 リヴァイアサンが咆哮する。それだけで周りの空気や地面が震える。そしてあの咆哮はこちらに対して完全に怒っている感じだ。


 リヴァイアサンは巨大な身体を利用して舞うようにして身体ごと叩きつけてくる。その一撃一撃が地面を深く抉り地形を大きく変化させていた。よく見るとその鱗もただ光っているのではなく表面に鋭く尖った突起物が幾つもあり、それが光を反射させて光っている事が分かった。


「分かったからって言ってどうこうする訳でもないけどっ!」


 何度目かになる叩き付けをスキル〈縮地〉で回避しながら僕は考える。今は勝負よりもこの必死に僕の身体に抱きついてきているヤミナのほうが心配だ。僕だけならどうとでもなるけど彼女はそうも行かない。

 次のリヴァイアサンの攻撃をかわす時に一気に遠くまで縮地で跳ぶ。


「ふう、まぁここなら大丈夫だろ。ヤミナ、僕が来るまでこっちに来ちゃだめだからね」

「  !!」

「心配してくれるの?嬉しいけど心配要らないよ。大丈夫!大船に乗ったつもりでのんびり待っててよ」


 大船に乗ると言う言葉が通じたかどうかは分からないけどとりあえず彼女には大丈夫だと言い聞かせる。当然ヤミナは僕を引きとめようと僕のシャツの裾を掴む。


「大丈夫。僕は魔法だって使えるんだ。それに死にはしないよ。やばくなったら戻ってくるから」


 もう一度ヤミナに言い聞かせて僕は再び〈縮地〉でリヴァイアサンの前に跳ぶ。

 やつは僕を認識すると咆哮し再び口を開き超高圧の水を吐き出した。圧と回転がかかった水は空気を切り裂き僕に向かってくる。


「だけどッ!二回目は通じないぜ!」


 腰に差していた〈覇刀カラドボルグ〉を抜く。大人二人分はあろうかと言う刀身は光を浴びて輝いている。

 刀の切っ先をリヴァイアサンに向けて構える。頭の中には既にやつを倒す手順が再生されている。


「抜刀術--十六夜」


 一瞬の内に繰り出される十六回の斬撃と衝撃波がリヴァイアサンの水弾をバラバラにしリヴァイアサンを切り刻む!・・・筈だった。


「な、なんだってぇぇ!?」


 リヴァイアサンの表面を覆う光る鱗は思っているよりかなり硬いらしく斬撃程度では傷つかないみたいだ。もしくは僕の力がまだまだ制御できていない所為か。

 ともかく、奴を倒すには近づいて直接この覇刀を叩き込むしかない。でもリヴァイアサンは更に怒って見境無く暴れてる。


「近づかせさせないつもりか?だけど・・・!」


 刀を持っていない左手に意識を集中させる。イメージするのは槍。相手の硬い鱗をも貫く雷の槍をイメージする。

 名づけて「雷槍グングニル」。いや、名前が思いつかなかっただけでパクッたとかそんなんじゃないから。

 助走をつけてリヴァイアサン目掛けて雷槍を投げる。リヴァイアサンは水弾で対抗するけどそれらを打ち破り胸に深々と雷槍が突き刺さる。

 苦しみの咆哮をあげるリヴァイアサン。尻尾を振るうたび、身体を地面にたたきつけるたびに大地震かと思うほどの揺れが発生する。


「いい加減に・・・しろ!」


 〈縮地〉で距離を詰めて、リヴァイアサンの顔を蹴り上げる。巨体が一瞬空に浮く。この期を逃さず僕は刀を一度鞘に納めて柄をさかさまに握る。狙うは首元、反撃の隙を与えずに一撃でしとめる。


「抜刀術--残光」


 光をも断つ斬撃がリヴァイアサンの鱗で覆われた装甲のような体を真っ二つにする。

 頭と胴が別れたリヴァイアサンは雄たけびを上げていたがやがて動かなくなった。


「ふっ。人の恋路を邪魔する奴は・・・こうなる運命なのさ。ってあれ?」

 

 リヴァイアサンの身体が徐々に光の粒となって消えてゆく。鱗が角が跡形も無く無くなってゆく。後に残されたのは巨大な角といくつかの鱗、そして巨大な青い色の宝石と一本の剣だった。

 もしかしなくてもこれってドロップってやつか?もっと剥ぎ取りとかあるもんだと思って身構えてたけどそんな事もないんだな。ちょっと安心。生魚とか殆どつつかないし、虫とか触ったのは子どもの時だけだし。

 そしてこの剣は依頼主の息子の形見のシミターかもしれない。丁度柄の部分に何かは分からないけど花の彫刻が彫られている。こんな剣は他に見ていないし確定だろう。別に違っていてもそれはそれで見つかりませんでしたと素直に報告するしかない。因みに鑑定ではシミターとしか出なかった。こういうときは使い勝手が悪い。


「そんじゃ、ヤミナを拾って帰りますか・・・ってヤミナ?!」


 僕とリヴァイアサンが戦っていて危ないのにヤミナは心配だったのか近くまで来たみたいだ。心配要らないって念押ししたのに。


「だ、大丈夫か?!どこも怪我はしてないか?痛いところはないか?」

「   !!」


 突然泣き出してしまったヤミナ。どうして泣いてしまったのか分からないけど兎に角落ち着いてもらわないと。


「ごめん、ヤミナ。でももう魔物はいないから。ほら、僕がやっつけたし・・・って違う?」

「   」

「ごめん、ごめんよヤミナ」


 もうひたすら謝るしかなかった。どうしてヤミナが泣いてるのかも分からないままだったけど少ししたら収まったのでよしとしよう。


 おや?スキルが増えている。それになにやら数字もいつの間にか付いてるし。


名前 霧島翔(20)

状態 健康

称号 初心者冒険者(体力上昇微)

装備 覇刀カラドボルグ Tシャツ ジーンズ スニーカー

スキル 自動回復Ⅰ 状態異常無効Ⅱ 刀技能Ⅳ 抜刀術Ⅲ 格闘術 集中Ⅱ 縮地Ⅳ

    言語Ⅳ 無限収納Ⅰ 属性耐性 身体能力強化 鑑定Ⅲ 胆力Ⅲ 探知Ⅰ 隠密Ⅰ

    魔法Ⅳ(火・水・風・地・光・闇・雷・無) 詠唱破棄 


固有スキル リミッター(全能力半減)


 ちょっと見ない間に結構変わってるな。刀技能と言語、それと魔法はⅣまで熟練度があがってる。最大は何だろう、Ⅴとかかな?なんだかRPGみたいで楽しくなってくる。固有スキルのリミッターってのが気にはなるけど今のところ問題なさそうだし大丈夫だろう。

 スキルも見たことだし、町に帰って成功の報告をしないとな。




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