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第一章 一話 天国かと思ったら転生でした

「よくぞ来た、霧島翔(きりしましょう)よ」


 気がついたら周りが一面白色だった。目の前には白髪、長い髭のゆったりとしたローブを来たご老人。

僕の頭はどうにかしてしまったのか、それとも世界が如何にかなったのか。僕のそんな思考を目の前のご老人がぶった切る。


「突然このような場所に招いたことは謝らねばならない。今は凄く混乱しているだろうが私は君に頼みがある。これは誰でもなく最高神としての頼みだ。聞くだけ聞いてはくれないか?」

「・・・はぁ。・・・ってええ!?」


 神って、あの神か?!良く御伽噺(おとぎばなし)とかで出てくる。ヤバイ、僕神様なんて信じてなかったんだよね。そうか。きっとこれは天罰なんだ。でもよく考えてみれば世の中神様を信じてる人なんてほんの一握りなんじゃないのか?

 日本においては殆ど皆無ともいえるし。そんな中で一人天罰への道を引き当てるなんて、逆に幸運なんじゃない?

 そうだ、逆に考えるんだ。天罰食らっちゃって良かったって。


「・・・ってそんなわけ無いですよね!済みませんでした!地球で行われてる犯罪の罪は僕が代わりに負います!だから世界を滅ぼすなんてことは・・・」

「・・・どこからその考えが出てくるか分からんが、私はいきなり人を呼んでおいてそんなことはしないよ。さあ、顔を上げてくれ」


 なんだ?天罰じゃあないのか?だとしたら何だ。なんで僕はいきなりこんなところに立っているんだ?

 確か僕は配達のアルバイトが終わって家へ帰るところだったはず。


「どうだ?少しは落ち着いたかな?」

「・・・ええ。でも神様。なんで僕はいきなり此処に居るんですか?」

「その事なんだがな・・・これから話す事は大事な事だ。是非しっかりと、心を落ち着かせて聞いて欲しい」


 なんだ?一体どんな話を・・・。まさか、今までめげずに頑張ってバイトしてきた僕に褒美をくれるとか?そうだよな。天罰じゃなかったら逆に褒美だな。一体何をくれるんだろう。


「実は・・・君はもう地球に、というか元の世界には居られなくなった」

「・・・はい?い、今何と?」

「元の世界にはもう戻れない。そういうことだ」

「・・・・な、なんだってぇぇ!?」


 じゃあ、僕はここで一生を終えるのか?そんなのはごめんだ。まだ見てない漫画も雑誌もあるのに・・・そういえば今日は毎週買ってる週刊誌の販売日!早く帰らないと・・・って帰れないんだっけ?そもそも出口とか見えないし、帰す気無いんじゃねえの。


「まあ、落ち着け。そんな怪訝な表情をするんじゃあない。元の世界に返れないだけであってここで暮らせ、というわけではないからな」

「ほ、本当ですか?!・・・良かった」


 良かった。こんなところで一生生活って、三日で気が狂うぜ。


「君には別世界「リーン・クウェル」に行ってもらいたい。勿論ただで、とは言わない。こちらも無理を言っているのだからそれ相応の対価を用意しよう」

「その前に一つ聞いていいですか?何で僕なんでしょうか。他に候補の人なんていくらでも」

「それは君の力だ。その力で君は選ばれた、いや、選ばざるを得なかった、が正しいかな」


 言われて思い出してみれば確かに僕は昔から力が強かった。本気で殴ればコンクリの壁もぶち抜けた。だからってそれがどうした?世の中には力よりもはるかに凄いモノをもった人だって沢山居る。そのなかでわざわざ僕を。


「君の力、実はそれはほんの一部でしかない。今まで君が居た世界がその力を抑えていたのだがそれももう限界のようだ。世界のほうが君の力に耐えられなくなっている。このままでは世界が崩壊してしまう恐れがあったのでこうして急遽神の領域に呼んだ、という事だ」

「なるほど、そういうことでしたか・・・ってそんなことがあるか?!」


 いかん、訳も分からずノリ突っ込み。しかもほぼ自爆。ってそんなことはどうでもいい!それより世界が僕の力を抑えていたって?

 あれか?「まだ変身を残しています」的なあれか?!変身しちゃうのか?


「だが安心して欲しい。これから行くであろう世界では君の力を存分に発揮できる。発揮してもらいたい」

「で、でも別の世界に行っても大丈夫なんですか?正直行きたいってあまり思わないんですけど」


 僕の言葉を聞いて暫く考え込む神様。ってかさっきの話は行く前提だったよね?!あわよくばその場の流れで、みたいな!


「ふむ、そういうことなら安心して欲しい。まず君の身体能力だが、おそらくというか確実に世界「リーン・クウェル」で敵うものは居ない。敵が襲ってきても傷一つ与えられないだろう」

「そうなんですか・・・って敵が居るんですか?僕まともに戦った事ないのに」

「その点は大丈夫、「スキル」で何とでもなる。最も君の場合は「スキル」も必要ないかもしれないがな」

「「スキル」ですか?それは一体・・・」


 「スキル」ときいて思い出すのはやはりゲームのスキルだろう。仕事関連のことを思う人もいるかもだけど、日ごろからゲームに親しんでる僕からしてみればやはり最初に「スキル」と聞けばそれが出てくるのだ。


「「リーン・クウェル」では魔法や剣術の能力、才能を「スキル」と解釈しそれを日常生活や戦いの中で活用している。剣術のスキルが無くても剣は振れるがスキル持ちの人には到底敵わないがな。それとスキルには熟練度があるがそれは追々分かってもらおう」


 スキルって・・・まさにファンタジー、いやゲームの世界みたいじゃあないか!

 じゃあ、やっぱりレベルとかの概念もあるのか?


「もちろんレベルの概念もある。もっとも君の世界ではそういうことは馴染み深いかもしれないが」

「ええ、そうですね」


 そうですね、じゃねえよ!なに行く気になってるんだ?!

 でも、なんだかそういうところも悪くない気がしてきた。しかもさっきさらっと魔法とか言ってたし。

 そんなことを考えてると神様は更に営業するサラリーマンのごとく奥の手を使ってきた。


「ふむ、一度実際にスキルを試したほうが早いだろう。今、君のスキル「鑑定」をここでも使えるようにした。試しに自分に使ってみてくれ」

「はぁ。・・・こうですか?〈鑑定〉」


 口に出した瞬間目の前にゲームでよく見るウインドウが出てきた。左の方には僕の全体図と装備品一覧が乗ってる。

 あ、所持金一万円。相変わらずしょぼい我が全財産。

 更に良く見てみると身体の更に左のほう、そこにはステータスと書いてそれぞれの能力が表示されていた。


名前 霧島 翔

状態 健康

称号 平アルバイト

装備 Tシャツ、ジーンズ、スニーカー


 平って、確かに平だけども。なかなか人の痛いところをついてやがる。

 そしてふと右目のほうに意識をやると、そこにもウインドウが展開していた。


「なになに・・・スキルは鑑定、自動回復、危機察知・・・って何だこれ?」

「見てのとおり君の能力だよ。普通ならここまで詳細なステータスは見れないが特別に君は使えるようにしておいた」

「それは嬉しいですけど・・・僕の能力おかしくないですか?」

「それが今まで君が今まで居た世界が押さえ込んできた能力だ。今はどの世界とも切り離されてるから本来のステータスが見えるんだがね」


 ふうん。もはや段々驚かなくなってきたぞ。しかしこれなら神様の能力も見れるのでは?

 僕は神様を見ながら〈鑑定〉と念じた。さっきも念じるだけでよかったそうだ。うわ、恥ずかしい。因みに戦闘技能・・・所謂剣だとか魔法だとかはきちんと技名を言わないといけないらしい。

 神様曰く、技名を言わないと威力が下がるそうだ。中二まっしぐらとか思ってしまった。


名前 神(全能神/絶対神)

状態 健康

称号 神

装備 ????

 

 〈鑑定〉したが大方予想通り神様、って感じだな。でも装備が「?」って。スキルでも見れないものが・・・って神様だから当然か。

 僕がスキルを使える事を神様も確認したようで満足そうにうなずいている。


「さて、スキルの説明もしたところで、いよいよ君の旅立ちの時だ」

「もうですか?もう旅立つ事は決まってるんですか?」

「無論。神の決定だから。最後に不本意ながら世界を移動してもらうという事で何か餞別を送ろうかと思うのだが?」


 人を戦地に赴く兵隊みたいに言わないで。まだ死にたくないし。いや、死なないんだっけ?この能力なら。

 それはそうと餞別か。向こうは敵が居るって言うし、武器かな?やっぱり。剣とか振り回してみたかったんだよね。


「じゃあ、戦う事になるかもしれないので対抗できる武器を」

「そんなものでいいのか?なんなら世界征服とか更に能力を強化するとかでも良いんだが?」

「そんなのいりません」

「謙虚だな、君は」


 もはや傷つかない身体を強くしてどうしようというのかね、この神様は。

 神様が両手を前にかざす。次の瞬間、目の前には一本の刀が。


「・・・長っ!」


 刃渡りは大人二人分はある。緩やかに反っていて芸術品のような印象を与える。鍔は四角形で漆喰を塗ったかのよう。

 柄は白く布の代わりに大きな龍の意匠が施されている。


「・・・すごい。でも神様こんな凄い刀」

「気にするな。謙虚な君にはこれくらいさせてもらわないと。因みに刃は短く出来るから持ち運びに困ることはない」

「あ、ありがたく頂戴します」

「因みに名前は〈覇刀カラドボルグ〉だ。大事に使ってくれ」


 神様から大人二人分はある刀、〈覇刀カラドボルグ〉を受け取る。重さは・・・うん、丁度いい。重すぎず、軽すぎない。軽く振ってみたけど違和感もなし。次に試しに「縮め」と念じる。

 すると長かった刃も一般的に見る刀位に一気に縮んだ。なかなか便利だな。


「ならばそろそろここでの時間も終わりだな。いきなりこんな事につき合わせて悪かった。重ねて謝罪する」

「い、いえ。神様の所為ってわけじゃないですよ。それに僕だって最初は嫌でしたけど何だか楽しみになってきましたし」

「そういってくれるなら私も助かる。せいぜい死なぬように」

「そういうのはいらぬ心配なんじゃないですか?」


 僕の言葉に神様も微笑んだ。それに対して僕も微笑む。


「じゃあ、最後に僕の世界の言葉で」

「ああ」

「行って来ます」

「行ってらっしゃい」


 こうして僕--霧島翔は新たな世界へと旅立った。


閲覧ありがとうございます

稚拙な文章なんで辛口、甘口なんでも構いません。意見を募集中です。 

・・・本当は甘口の意見がいいです。甘えです、すみません。

趣味で書いてるんで更新が滞る事もあるかも知れません。

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