紹介
わたしの家の玄関の前でわたしと火乃華は話し合っていた
「入ったらすぐに蘭兄に紹介するんだけど・・・・どう言えばいい?」
「さあ・・・彼氏?」
「いや、それはないから」
あくまで火乃華を家に泊めるのは助けてもらったお礼
別にそれ以外に理由なんかないんだからねッ!
あれ?なんでわたしツンデレになってるんだろ?
「じゃあ・・・・・」
「拾ったってことで」
「俺は犬か!」
いや、状況的にはあってると思うんですけど?
「だったら他に案ないの?」
「・・・・・ねえな」
「じゃあ、それでいいでしょ?」
「・・・・・それ以外にないのか?」
「ない!」
わたしの言葉に火乃華は深くため息をつく
そしてブツブツ文句を言いながらも「それでいい」と不満そうに答える
これが犬だったら柴犬かな?
かわいげはなさそうだけど・・・・
「それじゃあ・・・・・開けるよ」
玄関のドアノブを握って火乃華の方を見ながら言う
火乃華は返答の変わりに無言でうなずく
ドアを開け、中に入ろうとしたその時!
わたしが開けるよりも早くドアが開いた。
「なに玄関の前で話してるんだ?早く入って来いよ」
中から出てきたのは当然、蘭兄
しかも、今の話しも聞こえていたらしい
蘭兄は無言で火乃華に目を向ける
「いや、あのね、こいつは・・・」
「え、えっと俺、妹さんのクラスメイトで・・・」
「火乃華だろ?」
「「え?」」
あれ?今、蘭兄、火乃華の名前言った?本人が言う前に?何で知ってんの?
名前を呼ばれた火乃華もいきなりのこと過ぎて混乱しているようだった
それでも、気になったのか当然の質問をする
「な、なんで俺の名前を?」
そして、蘭兄も当然のようにそれに答える
「なんでって・・・・なんででしょうか?」
「は?」
「俺がなんでお前の名前わかったのか当ててみな」
「・・・・・」
火乃華がこっちに顔を向けて何か言いたそうにしている
ごめん、火乃華、それには慣れるしかないんだ
「え、エスパーとか・・・・」
「んなわけないじゃん!俺のどこら辺がエスパー?ていうかエスパー伊〇?」
う、うざい
しかもエスパー伊〇って・・・・
「は、ははっ」
「あれ?今のに笑うとこなかったんだけど?」
「・・・・・・」
火乃華・・・・ホントごめん
「まあいっか、お前、うちに泊まるんだろ?」
「え、ああ、はい・・・・」
「いいの?」
思わず蘭兄に聞き返す
「いいけど・・・・お前の部屋に泊めろよ?」
「「え?」」
ええええっっっ!!!!!
「な、なんでわたしの部屋に!?」
「そ、そうですよ!」
「うるさいなぁ別にいいだろうが・・・・パートナーなんだから」
え?今、パートナーって・・・
・・・・蘭兄、なんで知ってるの?
疑いのまなざしを向けるわたし達を無視して蘭兄はわたし達を家に招く
「まあ、細かいことは家に入ってから説明するから・・・・入れ」
そのときのわたしは蘭兄がかすかに笑ったその意味を知ることはできなかった。
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