驚き
「何であんたがここにいるのよ!!!!!」
「あれ?お前さっきの?」
やっぱりさっきの奴だ!
「さっきの?じゃない!!なんであんたがここにいるのかって聞いてるの!!」
「なんでってそりゃあ俺がここの学校の生徒でここのクラスメイトだからだよ」
「はぁ?」
訳がわかんない
こいつはさっき会ったばっかりなんだからクラスメイトのはずない!!
私は男のところまで行き、服を引っ張って廊下に出ようとした
「おい!天使、どこ行くつもりだ」
「学校に不法侵入した奴を追い出してきます」
「なに言ってる!そいつはこのクラスの一人だろうが」
「先生までなに言ってるんですか」
こいつがクラスの一人?そんなわけないじゃん
「どうしたの蓮華?」
「桃香もこんな奴知らないでしょ?」
「知ってるよ!蓮華も知ってるでしょ?」
桃香まで・・・・・どうなってるの?
「とにかく二人とも座りなさい」
「先生」
「どうしたんだ津口?」
「しんどくなってきたんで保健室行ってきます」
「おいおいサボりか?」
「お前、サボってばっかじゃん」
クラスのあちこちから茶化す声が上がる。
もしかして、この教室の中でこいつ知らないのって私だけ?
「うっせえよ」
「先生!」
「ん?今度はどうした天使?」
「私も体調悪いんで保健室行ってきます」
「お前もか?・・・・まあ、お前は真面目だから嘘じゃないと思うが」
「そういうことなんで行ってきま~す」
私たちは保健室には向かわず屋上にいた
「ねぇ」
「ん?何?」
「津口だっけ?何でみんなあんたのこと知ってんの?」
「だから俺がクラスメイトだからだって」
そんなわけがない
だって私は今まで一回も学校休んだことないんだから
「嘘はいいから」
「・・・・・・・お前もしかして俺のこと知らない?」
「当たり前じゃない!!」
さっき会ったばかりなのに知ってるみんながおかしいのよ
「こいつ、記憶操作が効いてないのか?」
「キオクソウサ?」
なに言ってるんだろう?
「それよりあんた何者?」
「だからここの生徒」
「嘘はいいから」
「・・・・・・・・・・神」
「カミ?伸びたら切る?」
「それは髪」
「じゃあ白くて絵を描いたりする?」
「それは紙!」
「じゃあ何?」
「だから神だって」
「・・・・・もしかして神様のこと?」
「そうだ」
「・・・・・・・・・・もっとマシな嘘つこうよ」
「嘘じゃないって!!」
こいつが神様?
冗談にもほどがあるでしょ
「じゃあ、神様らしいこととかやってみてよ」
「・・・・・・・・・無理」
「やっぱり嘘じゃん」
「嘘じゃねぇ!!・・・・・けど今は無理なんだ」
「・・・・・百歩譲ってあんたが神様だとして・・・・・なんで?」
「神が人間界で力を使うには人と契約が必要で」
契約?嘘くさ
「お前、今、嘘くさとか思っただろ」
「べ、別に」
意外と鋭いのね
「はぁ~契約したら力とか見せられるんだけどな」
「じゃあ、あたしがしてあげようか」
「いいのか!?」
「別にいいよ」
どうせ嘘だろうしね
ん?顔赤くなってない?
「・・・・・・やっぱいい」
「はぁ?」
何で恥ずかしがるようなことがあるの?
「契約しないの?」
「・・・・・・・契約の内容とか聞きたい?」
「教えてくれるなら」
「じゃあ・・・・・耳かせ」
津口が話してくれた契約の内容は想像とはまったく違っていた。
「・・・・・・契約する?」
「・・・・・・・・しない」
「だろうな」
「だ、だって契約の内容が・・・・・・」
聞いた後だからわかる
津口が顔を赤くしたのも無理はない
だって・・・だって・・・・嘘とはいえ契約の内容がまさか・・・・パートナーとの
ドンッ!!
突然、給水タンクが破裂した
当然、近くにいた私たちに大量の水がかかる
「きゃあ!!」
思わず目をつぶり水がかかるのを待つ・・・・・・・・・・ってあれ?濡れてない?
目を開けるとそこには私の代わりに水をかぶってびしょ濡れになった津口がいた。
「大丈夫か?」
「え?う、うん」
「ならいい」
もしかして私をかばってくれたの?
何で?
「天使!」
「どうしたの?」
「俺が何とかするから逃げろ」
逃げる?
「何で?」
「俺のお仲間が来たからだよ」
「え?」
見ると破裂した給水タンクの奥に二人の人がいるのがわかる
一人は細身で弱そうでもう一人はデブでいじめっ子って感じ
「え?お仲間ってことは?」
「ああ、神だ」
「・・・・・・・あんたの話本当だったんだ」
「信じてなかったのかよ!!」
「うん、少しも」
「・・・・・・・まあいい、とにかく逃げろ・・・・巻き込まれるぞ」
「う、うん」
とにかく、この場を離れたほうがよさそうね
「おい、そこの赤毛と白髪」
「何だよ」
「白髪って言わないでよ」
染めたいのに染まらなくて困ってるんだから
「お前等のどっちかも神なんだろ?」
そういったのはデブのほう
たぶんデブのほうが神なのだろう
「ああ、俺が神だ」
「お前が神?弱そうだな」
「お前ほどじゃねぇよ」
「あ?何だと!!」
デブが声を荒げると近くにあるほかの給水タンクが次々と破裂する。
「え?嘘!?」
こんなことがあるはずがない
こんなアニメや漫画みたいなことがあるわけない
「クッ!!」
「津口!!」
「どうした?お前も神なら力を使えばいいだろうが」
「笑わせるな、お前なんかに力は要らないんだよ!!」
違う、津口は力を使わないんじゃなくて使えないんだ
「・・・・・そうか、お前契約してないんだろ?」
「ッ!!」
ヤバイばれた!!
「フン!ならさっさと俺に倒されろ!!」
そういってデブが投げてきたのは大量の石
石なんて投げてどういうつもり?
バァン!!
突然、デブの投げた石が膨らみ破裂した。
破裂した石のかけらが津口に向かっていく
「こんなの食らうかよ」
津口はそれを何とか避けきるが
「なら、これでどうだ!!」
デブがまた大量の石を投げる
しかし、その石は張れつせず地面に落ちる
「ふ、不発?」
「違うな」
「え?」
「そのとおり、これでお前に逃げ場はなくなった」
そうか!石は津口を囲むようにして落ちている
これじゃあ避けようがない
「食らえ!」
落ちている石が全てさっきのように破裂する。
粒が小さくとも破裂した勢いでかなりの速さだ当たればただではすまない
「津口!!」
「どっちに避けても駄目なら・・・・・上しかないだろ!!」
そういうと津口は跳んだ
常識では考えられないほど高く
「何!?」
石のつぶては当たらず飛び散るだけに終わる
「・・・・・すご過ぎない?」
「神は人間じゃないんだからこのくらいできて当たり前だ」
津口はデブのほうを向いて続ける
「もっとも、お前みたいなデブには無理だろうがな」
「クソッ!言わせておけば!!」
「本当のこといわれて怒ってるのか?」
「・・・・・フン!まあいいさ、お前が駄目なら先にそっちの女のほうから殺っちまうだけだ!!」
「なッ!!」
「え?私?」
デブは再び大量の石を今度は私に向かって投げる
「人間が神の戦う場にいた罰だ!!」
石が空中で破裂し、かけらが私に向かってくる
あ、私ここで死ぬかも
なぜかそのとき私は冷静に考えていた
「ぐっ!!」
石のつぶてが体に刺さり倒れたのは・・・・・・津口だった。
「馬鹿が!人間なんぞをかばって食らいやがった」
「・・・・・逃げろって・・・・言っただろうが・・・」
「え?なんで・・・・私をかばって?」
津口は体のあちこちに石が刺さり血が出ていた
「もう・・・・誰かが目の前で・・・・・・傷つくのを見るのは嫌なんだよ」
そういう彼は悲しそうに見えた。
「そんな体じゃ避けることもできないだろ?まあ、念のために」
デブはどこから持ってきたのか大きな岩を持ち上げていた。
あれがさっきみたいに破裂したら避けきれない!
「これで・・・本当に終わりだ!!」
どうしよう、津口は私をかばって傷ついた
なのに私は何もできない・・・・・
ありえないって逃げちゃ駄目だ!
これは現実、本当に起こってる
今、私にできることそれは逃げることじゃなくて
「津口、私と契約して!」
「・・・・・本気か?」
「うん、だって今、私にできることはそのくらいだから」
「・・・・・・・わかった・・・・ただし」
「ただし?」
「俺を津口って呼ぶな、俺は火乃華、津口火乃華だ」
「わかった!じゃあ私のことも天使じゃなくて蓮華って呼んで」
「ああ」
そういうと火乃華は目をつぶり私に顔を近づけてきた
うわ~自分で言っといてなんだけどやっぱり恥ずかしいな
津口が話してくれた契約の内容
それは、契約者とパートナーとの・・・・・・キスだった。
どんどん火乃華の顔が近づいてくる
そして、私と火乃華の唇が・・・・・・・・・・・重なった。
ボウゥッ!!
その瞬間、私達の周りが炎に包まれた