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第1話 『転生』

ある世界……その世界にはひとり、全能の神がいた。

その神は自らが生み出した生命を尊び、その優しき心で全てを許し、そして愛したという……


しかし……その神は自らが創造した世界の影響で暴走する事となる。

神自らが生み出した生命はやがて大きな邪心を生み出し、創造主たる神の心すら侵食したのだ……


その結果……全能の神でさえ心を悪しき邪心に飲み込まれ、全ての存在を消そうと暴走。

誰よりも優しかった尊き神の姿は……もうそこには存在していなかった。


だがそんな中、世界の終末に抗う英雄達もまた現れる。

その英雄達は、いくつもの絶望を突き付けられながらも決して諦めず、そして最後に神の邪心を浄化する事に成功したのだ。


その後、優しき心へと戻った神は再び世界を再構築。

世界は再び平穏を取り戻した。

しかし運命とはあまりにも残酷その物……

全能であったはずの優しき神は、もはや神としての力の大半を失ってしまい、世界の形たる器を維持する事すら困難になっていたのだ。


更に追い討ちをかける様に、異世界から別の神が現れる。

ほぼ同列の同じ力を有したその全能神は、もはや風前の灯と化していた優しき神を容赦無く消し去った。

そうして短き平穏は終わり、優しき神の造りし尊き世界に、かつてない混沌が溢れ様としていたのだった……











………とまぁ、堅苦しい話はここまで!!

そんな優しき神様ですが、ひょんな事から異世界に転生してしまいましたとさ!?






………………………






「………………」



気が付けば、われは何処かで倒れていた。

そして瞬時に状況を把握し、我は体を起こす。

その瞬間、我がまなこに映った自らの身体を確認し、一瞬戸惑いを覚えたのだった……

何故ならば……あの我が人の子になっているのだから。

一体何があったかは定かではないが、少なくとも本来の我の姿でないのは確実だ。



(やれやれ……よもやこれが俗に言う『異世界転生』とやらか?)



それは人の子の嗜好品で、確かそういう読み物のジャンルがあったはず。

らのべ……とかいう読み物だったか?

まぁ、それはよい。

それよりも、何故消滅したはずの我がここにいるかだ。



(髪は長く白い、胸も膨らんでいる……女性の身体なのは確かか)



しかし、身体からは殆ど力を感じない。

元々、消える前に殆どの能力を失っていたからな……

当然だが、本来備えているであろう『創造』の力はおよそ扱えそうにない。

さて、それではこれからどうしたものか……?


我は近くに人の子の気配を感じ取り、首だけを向けて横目に対象を確認する。

そこにいたのはひとりの少年(青年かも?)だった。

その少年は私に見られてか、かなり驚いている様子だ。




「えっと……何でそんな所で座ってるの?」



少年はおよそ18歳前後と思われる位の風貌で、赤く刺々しい髪に同じ色の瞳を有していた。

体にはいわゆる鎧を着込んでおり、西洋風の戦士と言った感じの装備だな。

我はここで成る程……と感心する。

つまりこの世界は、そういう設定の世界観なのだろう。

ならば、これは我にとって新たな生活を楽しめという運命さだめなのだろうか……?

我は今の状況をそう理解し、それならばと潔く受け入れる事にした。




(我が子達が心配ではあるが、きっとあの子達ならば自らの力で乗り切れよう……)


「あ、あの~?」



我がそう考えていると、少年がこちらの反応を待っているようだった。

我は軽く首を振り、改めて少年に説明をする事にする。

やれやれ……わざわざ口で言わねば伝わらぬとは、少々もどかしいな。



「……すまぬ。我はたった今、この世界に召喚されたばかりなのだ」



我がそう言うと、我は自分の足で大地に立つ。

体を動かす際の違和感は不思議と無い、これも転生後の『さーびす』というやつだろうか?


そして我は改めて自らの姿を確認する。

服は何故か現代風の白いカッターシャツに、ストライプ模様のミニスカート……だと?

これはまさか……世に伝わる伝説の『じぇ~け~』かっ!?

齢ウン十億年以上を生きた我がそんな肉体を手にするとはな……(汗)




「召喚……って、まさかアンタも転生組か!?」


「……? アンタも、とは……では、そなたも?」



我の問いに対し、少年は「ああっ」と笑って頷く。

成る程、それは幸先が良いな。それならば解る事も多かろう。

我はとりあえずJKっぽいであろう動作として、胸の下部で両腕を組んで持ち上げる。

むぅ……およそ92cmはあるか? 少々重いな、この肉体の膂力りょりょくはそこまで低くも無いとは思うのだが。

そんな我の胸を見てか、少年は顔をあからさまに赤面させていた。

ふむ……どうやら我の新たな肉体は、健全な青少年を魅了する程度の魅力はあるらしい。



「しっかし、そっちはえらく現代的な装備してるな?」

職業ジョブは何だ……?」



じょぶ……? ああ、確か人の子のゲームなどで聞いた事があったな。

まぁ、我にソレがあるとすればまさに『神』なのだろうが…

あ、いや待て……流石にそんな職業は無いだろうし、そもそも職業と言ってよいのか?

我は少し戸惑いながらも、正直にこう答える……



「……残念ながら解らないのだ、それを知る方法はあるのか?」


「えっと、それならとりあえず……って!? ぬおあっ!?」



突然少年が大声をあげて驚く。

我はその声に?を浮かべるも、少年の顔は何故か青ざめていた。



「一体どうしたのだ少年よ……何をそんなに恐れている?」



「あ、い、いや!! あの、その! 俺……特殊な技能スキル持ちなんすけど、その!!」



何やら急に卑屈になっておるな…?

さっきまでフレンドリー的な感じだったはずだが……

いや、それよりも気になる事を言っていたな……特殊な、すきる?

それはアレか、異世界転生に付き物の神からの授かり物!

確か『ぎふと』とかそんな感じの名称だっただろうか?

そもそも我自身が異世界の神とも言えるのだが、特に問題は無いのだろうか?

少なくとも、本来ある自らの力は行使出来ないのが既に明白ではあるが……



「とりあえず落ち着け少年よ……そしてその技能の事を説明するがよい」



我は出来る限り優しくそう言う。

もっとも慣れていないだけに、人の子の表情とかがちゃんと表現出来ているかはあまりに自身が無いが。



「あ……お、俺の特殊技能ギブンスキルは『能力調査リサーチ』って奴なんす」

「それで、アンタの能力を早速見てみたんすけど……」


「ほう? それは興味の有る能力だ……是非我にも詳細を教えてほしい」



我が微笑してそう言うも、少年は複雑そうな顔をして顔を押さえる。

むぅ……一体どんな能力だと言うのだ?

まさか、あまりの弱さに伝えるのを躊躇っている、とでも?



(うわーLvタ5とか、これバグかな?)

(この世界のレベルキャップは99のはずだが、カタカナ入ってるLvって何Lvなんだ? つーかどう考えてもおかしい!)

(しかも次のLvまでの必要経験値が表示されてる!? カンストですらねーのかよ!!)

(でも職業はただの『駆け出し(ノービス)』か……)

(後HPMP以外の全ステータスが同じ値に綺麗に揃ってるとこは実に美しいな……数字の桁がおかしいのは置いといて)



「おい、少年?」



我が直接少年の体を揺すってそう言うと、少年はかなり驚いて後ずさる。

むぅ……自分の中で完結せず我にも教えよというのに。

我はやや目を細め、わざと頬を膨らませてみた。

すると少年は空笑いをし、少し赤面する。

そして後頭部を掻きながら少年はこう提案してきた。



「とりあえず、1度街に戻ってギルドに行きません?」

「そこなら俺より詳細にステータス確認出来る人がいるし、何よりギルド登録しとけば今後の役に立ちますよ!」



気が付いたら敬語になっているな……そのスキルで一体何を見た?

我には一切理解出来ないが、とりあえずその提案事態は悪くない。

ぎるど、か……確か人の子の『こみゅにてぃ』とかいう集まりだったかな……?

中でも『こみゅしょう』とかいう属性に毛嫌いされている言葉と聞き及んでいるが……?



(しかしこの元全知全能の神にとって、その様な『こみゅにてぃ』はむしろ歓迎、うぇるかむだ!!)



何せ、人の子の身体を得て人の子と『こみゅにてぃ』とやらを築けるのだ。

ならば全力でその流れに乗るのが正しい人の子の姿であろう!

我はそう思うと胸が高鳴るのに気付く。

そうか……我は楽しんでいるのだな。

人の子の身を得た、新たなる生を!




「そ、それじゃあ行きましょうか! あ、俺の名前は『タロウ』……『タロウ・スズキ』って言います!」

「えっと、そちら様のお名前は……?」


「む……? そ、そうか……名前、か」



我は途端に悩んでしまう。

流石に名無しの神を名乗る訳にもいかんし……な。

とはいえ、ここはあくまで異世界……ならばあえて自らに命名するのも構わんであろう!



「我は……アル、『アル・クリエティス』だ」



やや無理矢理感のある名だろうか?

まぁ神といえど、わざわざ名を考えるのはあまりせぬからな。



「『アル・クリエティス』さんか~、じゃあアルさんって呼んで良いっすか!?」



「あ、ああ……そ、そうだな。か、構わない……アルで」



何故か我は気恥ずかしくなってしまった。

その挙動を見てか、タロウ少年もまた赤面してしまう。

むぅ……何か間違った事を言ってしまっただろうか?



「ああ! いややっぱりアルさんで!! 初対面でこんな美人呼び捨てにする勇気は俺にはありません!!」


「……そ、そうか」



どうやら、そういう解釈で受け止められたらしい。

我としては別にどっちでも構わんのだが、タロウ少年には凄まじく勇気のいる行動なのだな。

我はわざとらしく咳払いをし、改めて次の目標を見定める事にした。

そして声に出し、我は手を前にかざしてこう言う。



「ならば、早速街へ行こう!」

「そして転生した者同士、お互いに情報を共有するとしよう」



我等はそんな感じで頷き合い、移動を開始する。

その間、我はタロウ少年に対して話をしてみる事にした。

一時的かもしれないとはいえ、行動を共にするなら知っておいた方が言いと思ったのだ。



「……タロウ少年も転移者との事だが、どういった経緯でこの世界に?」


「え? 俺っすか……まぁ、ちょっとした不注意っすよ」



不注意……か。

一体どんな不注意だったのかはわからぬが、本人はあまり話したくない件のようだ。

ならば別の話題に切り替えるとしよう!



「では、この世界に来てからは長いのか?」


「どの位だったかな~? 多分1年位だったと思いますけど」



1年……とはいうものの、この世界に地球の太陽暦を適用してもよいものなのだろうか?

空を見上げ、太陽の動きを見てみるも、確かに我が創った世界と似たような感じはする。



「ちなみに、この世界の時間とか季節感も日本と同じ位みたいっすよ?」



成る程、それならわかりやすい。

要は我が創った事のある世界と同じという訳だ。

よし! これで疑問がひとつ消えたな。



(とはいえ、これから先……一体どんな障害が待ち受けるかは解らぬ)



少なくとも順風満帆とはまずいかぬだろう。

とにもかくにも、我はこの世界の事をまず知ってゆかねば……

今の我は……この世界においてはただの『駆け出し』なのだから。










『優しい神様の異世界転生』



第1話 『転生』




…To be continued

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