毎日、会うものなんだ
私は、確かに流されやすい性格だと思う。
口下手で、意思も弱い。
それにしても……。
「でね! この間買った服がさ、カッコいいんだけど、めっちゃ高かったのよ!」
「……そうなんだ」
「まじでバイト代なくなってさ。ちょーキツい」
金髪に口ピアス、着崩した制服。
どう考えても、私とは人種が違う。
それなのに、この状況……。
「……えっと、高木くん、お金大丈夫?」
「ゆきちゃん優しいー。
大丈夫大丈夫。
彼女4から、お小遣いもらうしー」
「……彼女4……」
彼女4から、お小遣い。
一体、何人彼女がいるんだろう。
私も、そんな感じだったのかな。
欲しいと言われるまま与えて、
待てと言われて、待ち続けていた。
「ねぇ? ゆきちゃん聞いてる?」
「あ、はい……」
「ゆきちゃん、まじ面白すぎる」
私の顔を見て、ケタケタ笑う高木くん。
今のどこに、面白い要素があったんだろう。
「あ、来た!!」
人通りの少ない裏道で二人で話していると、
目の前に黒い車が止まった。
「ゆきちゃん、お待たせ」
車から降りてきたのは、
背が高く、目つきの鋭い男性。
「あ、はい……」
「良かったね! ゆきちゃん」
「よし、じゃあ俺も!」
「お前は歩けよ」
「えー、いいじゃん!」
「嫌に決まってるだろ」
彼は素早く私のそばに来て、手を引いた。
「分かったよ! 後で行くからね!
ゆきちゃん、またねー!」
「……えっと、またね」
車の窓から、高木くんに手を振る。
彼は置いていかれることを気にした様子もなく、
ニコニコ笑っている。
「……来てくれて、ありがとうございます」
「全然大丈夫だよ」
「ゆきちゃん、家教えても全然来てくれないんだもん」
前を向いて運転する彼の横顔を、
つい、じっと見てしまう。
悪戯そうに笑う口元。
片耳のピアス。
カッコいい、と思ってしまった。
「……あ、えっと……」
家に行かないも何も……。
「毎日、会ってます……」
「うん。毎日、会うもんだよ」
「……えっ……毎日会うものなんですか?」
「付き合ってるからね。
なのに、ゆきちゃん全然会いたいって言ってくれないからさ」
私が誘うより、あなたが誘うほうが早いから。
いや、そもそも——
付き合ったら、毎日会うものなんだ。
知らなかった。
今までは、呼び出されたときしか行かなかったし、
こっちから誘っても、拒否されるばかりだったから。
「……頑張ります」
「楽しみにしてる」
なんで、彼みたいな人が
私なんかと付き合ってるんだろう。
それでも、
彼が笑いかけてくるだけで、
胸のドキドキが止まらない。
私は、彼の片耳のピアスが揺れるのを、
いつまでも見つめていた。
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