表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

毎日、会うものなんだ

作者: Koro
掲載日:2025/12/23


私は、確かに流されやすい性格だと思う。

口下手で、意思も弱い。


それにしても……。


「でね! この間買った服がさ、カッコいいんだけど、めっちゃ高かったのよ!」


「……そうなんだ」


「まじでバイト代なくなってさ。ちょーキツい」


金髪に口ピアス、着崩した制服。

どう考えても、私とは人種が違う。


それなのに、この状況……。


「……えっと、高木くん、お金大丈夫?」


「ゆきちゃん優しいー。

大丈夫大丈夫。

彼女4から、お小遣いもらうしー」


「……彼女4……」


彼女4から、お小遣い。

一体、何人彼女がいるんだろう。


私も、そんな感じだったのかな。

欲しいと言われるまま与えて、

待てと言われて、待ち続けていた。


「ねぇ? ゆきちゃん聞いてる?」


「あ、はい……」


「ゆきちゃん、まじ面白すぎる」


私の顔を見て、ケタケタ笑う高木くん。

今のどこに、面白い要素があったんだろう。


「あ、来た!!」


人通りの少ない裏道で二人で話していると、

目の前に黒い車が止まった。


「ゆきちゃん、お待たせ」


車から降りてきたのは、

背が高く、目つきの鋭い男性。


「あ、はい……」


「良かったね! ゆきちゃん」


「よし、じゃあ俺も!」


「お前は歩けよ」


「えー、いいじゃん!」


「嫌に決まってるだろ」


彼は素早く私のそばに来て、手を引いた。


「分かったよ! 後で行くからね!

ゆきちゃん、またねー!」


「……えっと、またね」


車の窓から、高木くんに手を振る。

彼は置いていかれることを気にした様子もなく、

ニコニコ笑っている。


「……来てくれて、ありがとうございます」


「全然大丈夫だよ」


「ゆきちゃん、家教えても全然来てくれないんだもん」


前を向いて運転する彼の横顔を、

つい、じっと見てしまう。


悪戯そうに笑う口元。

片耳のピアス。

カッコいい、と思ってしまった。


「……あ、えっと……」


家に行かないも何も……。


「毎日、会ってます……」


「うん。毎日、会うもんだよ」


「……えっ……毎日会うものなんですか?」


「付き合ってるからね。

 なのに、ゆきちゃん全然会いたいって言ってくれないからさ」


私が誘うより、あなたが誘うほうが早いから。

いや、そもそも——

付き合ったら、毎日会うものなんだ。


知らなかった。


今までは、呼び出されたときしか行かなかったし、

こっちから誘っても、拒否されるばかりだったから。


「……頑張ります」


「楽しみにしてる」


なんで、彼みたいな人が

私なんかと付き合ってるんだろう。


それでも、

彼が笑いかけてくるだけで、

胸のドキドキが止まらない。


私は、彼の片耳のピアスが揺れるのを、

いつまでも見つめていた。

______

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ