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天然娘 “エミ”  作者: 百済 夜斗
第6章
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本来の姿へ

 「このマウス、ケーブルが無いですね」エミは不思議そうに言った。

「そーだよ。Bluetoothといった通信でパソコンと繋がるんだ」月野先輩は取扱い説明書をエミに渡すと、鞄を抱えフロアから出て行った。


 おかしいなぁ、取扱い説明書通りにやっているのになぁ

 一向にマウスのカーソルが画面に表れない。かれこれ新しいマウスを受け取ってから2時間が経過している。エミは必死にマウスのボタンを押したり、パソコンの画面を切り替えたりしている。

 わーこのままじゃ、今日は全然仕事しないまま終わっちゃうな と思っていた矢先に外出から月野が帰ってきた。

「さっき送ったメール、まだ返事きてないぞ」とエミに催促を促してきた。

「えっ、私、マウスに必死でメールをチェックしてなかったぁ」頭をかきながらエミはメールを開いた。

「マウスって、今日の午前に渡したマウスのことか?」

「はい、ずっと手こずっているのです」泣きそうな顔のエミ。

「どれどれ」マウスを掴みながら、熊野が首を傾げている。

「おい、電池は入れてるよな?」

「はい、付属の電池2本を入れました」エミは答えた。

「そーだよな。重さ的にも入っているよな」と言いながら、マウスの裏蓋を開く。

「これだ」と言いながら、電池を引き抜き、入れ直した。

「ほら、ランプがついたろ」熊野はマウスをエミに手渡した。

「キャーー、もしかして電池が反対向きに入っていたのね」エミは情けなくなった。

「パソコン画面にもカーソルが表示されました。これで完璧です」エミは熊野を見つめながら感謝を込め言った。

「おいおい、そんなに感謝されることじゃないよ」、「それにしても、今日一日これをやっていたのか?」

「はい、そーでーす。やっと、すっきりしました」エミは肩の荷が下りた感じである。

「そかそか、本来の山田さんに戻ったんだね」、「嬉しいような悲しいような気分だよ」と熊野はパソコンを開きながら穏やかな顔で言った。


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