なんでこの俺が追放されなきゃいけないんだ
「レックス、お前にはパーティーを抜けてもらう」
「──えっ?」
酒場にて、リーダーのシャルムから言い渡された。
え、追放? この俺が? ……なんで?
「なんでだよ……
俺たち、今までうまくやってきたじゃないか……!」
「ああ、わかってる
俺たちはお前の能力を高く評価している」
「だったら……!
追放する理由を言えよ……!」
俺は我慢できず、テーブルを叩いた。
「ん、またか……
どう言えば伝わるんだ……
……俺たちがこれから向かう洞窟には、
強化魔法を解除する能力を持つ魔物が多いんだ
だから、強化魔法しか使えないお前を連れていっても、
活躍の機会が無いと判断して『一時的に』抜けてもらおうって話だ」
「たしかに俺は強化魔法しか使えないかもしれないけど……
みんなの役に立ってきたじゃないか……!
戦士のカーンには肉体強化を、
魔法使いのエイミーには魔力強化を、
そんな風に適切な使い分けを、さりげなくやってきたじゃないか……!」
俺は我慢できず、テーブルを叩いた。
「テーブル叩くのやめろ
店に迷惑だろ……
……つうか、べつにそれはさりげなくないし、
適切な使い分けも当たり前の仕事だからな?」
「お前にだって、気づかれないようにこっそり全能力強化をかけてたんだぞ?
それなのに俺を追放するって言うのか? あとで後悔するからな!?」
「いや、気づいてたぞ……?
バランス型の俺にはそれが適切な強化だし、
魔法をかけられたら調子良くなるし……
とにかく、『今回だけは』パーティーから外れてくれ」
俺は我慢できず、テーブルを叩いた。
「くそっ……!
ここまでなのかよ……!
俺はこんなにも貢献してきたというのに……!
どうしてお前はわかってくれないんだ……!」
「いや、だから、お前がパーティーに貢献してるのはわかってるって!
次の冒険地では不利だから『今回だけは』『一時的に』抜けろって話だよ!」
「なんでこの俺が追放されなきゃいけないんだよ!?」
俺は我慢できず、テーブルを叩いた。
「ああ、もうっ!
レックス、お前にはパーティーを抜けてもらう!」
「──えっ?」