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004 小屋

 食事を終えた俺は、ちょっとお眠になってきていた。

 しかし、どんな危険が潜んでいるか知れない森の中で、易々と眠るわけにはいかない。

 先ずは夜寝ていても襲われないように、どこか宿になる場所を探さないとな。

 最悪木の上で寝る事も考えないといけないかも知れない。

 煽てられてる訳でも無いのに木に上る豚とは、これいかに。


 歩いている中で何度か獣と遭遇したが、御者のおっさんが言ってたとおり魔物は居なかった。

 熊や虎といった驚異となる獣は居らず、大型でも鹿程度。

 殆どは鼠ぐらいの小動物ばかりだった。

 もちろん、遭遇した獣達は美味しくいただきました。

 残念ながら普通の獣からはスキルを得られなかった。

 たぶん魔物の中の、あのガリっとした堅い何かを食べないとダメなのだろう。

 でも魔物は強いから、魔力が少ない状態で出くわしたく無いんだよなぁ……。

 蠅でも経験値が入ったのだから、暫くは普通の獣を狩って経験値を貯める事にしよう。


 そして森の中を進む事、数時間。

 白く輝いていた太陽は、もう夕日の橙へと変わり始めている。

 太陽は前世と同じように見えるが、地動か天動かまでは解らないな。

 などとくだらない事を考えていると、木々の影から小さな小屋が見えて来た。


「おおっ!ラッキー!」


 俺は小躍りしながら小屋へと向かって行く。

 明らかに人の手で建てられた小屋だが、薄暗くなって来たにも拘わらず、明かりが付く気配は無かった。

 周囲を確認した限りでは生活している様子も無かったので、恐らくマタギのような人が狩猟する時にだけ使っている小屋なのかも知れない。

 一応ノックはしてみる。

 コンコンという音に応答は無かった。


「ドアをぶち破って入ると、俺を襲う獣から身を守れなくなるよな」


 ブヒブヒと呟きながら、入り口になりそうな場所を探す。

 縁の下をごそごそ嗅ぎ回っていたら、床板が腐っている所を見つけた。

 そこを頭突きでぶち破って中に侵入する。

 穴が空いてしまったけど、下から空いてる分には埋められる。


「『土豚の術』っ!」


 レベルが上がった御陰で、地面から床板まで土を盛り上げて穴を塞ぐ事が出来た。

 薄暗い中を見回すと室内は埃まみれで、長い間使われて居ないようだった。


「豚舎ってけっこう綺麗だったし、俺って結構綺麗好きなんだよな。まぁ、我慢するしか無いか……。危険な獣に襲われる心配が無くなる事には変えられない」


 ブヒっと鼻息で寝る場所だけ掃除して、一先ず疲れた体を休める事にした。


 その後暫くの間、俺はその小屋を拠点に活動していた。

 幸か不幸か魔物に出会す事は無く、悪食でスキルを取得する事も適わなかった。

 しかし獣は数多おり、前世でも直接見た事が無いような奇妙な獣までいた。

 鹿や野犬は敵では無いので簡単に倒せるが、熊等の大きな獣にはとても勝てなかった。

 一番驚いたのはキリンが居た事。

 どんな生態系なんだ、この森は?

 とりあえず食料には困らないし、住処もあるので生きていくのに不自由はしなかった。


 そんな日々を過ごして、10日程経った頃。

 俺の平穏を乱す来訪者が現れた。

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