まるで同棲‼
勉強道具を片付けて夕食の準備。紗里は自分の作った料理を若菜に食べてもらえるという緊張で頭が真っ白になっていた。
それでも若菜から見れば、いつも通りの冷静で超絶美人な紗里に見えている。
「美味しそう……!」
「そうね、お腹が空いてきたわ」
炊きたてのご飯を茶碗に盛り、味噌汁をお椀に。紗里が入れて若菜が運ぶ。
(あっ、駄目。向かい合わせでご飯が並んでいる。これは同棲ね)
逆に冷静になってしまった紗里、なんかもう感情が忙しすぎる。
「トンテキのソースってなんなの?」
「ウスターとケチャップとか。その他諸々ね」
「そうなんだ。めっちゃいい匂いなんだけど」
「丼にしてもよかったわね。合うわよ、ご飯と。いただきます」
「いただきます」
紗里はご飯を食べながら、チラチラと若菜の様子を確認する。味は普通に美味しい。別に絶品ではないが、美味しい。でもそれは自分の舌での感想だ。若菜の舌に合うかどうかは分からない。
「美味しい‼」
その瞬間、テーブルに額を打ち付ける紗里であった。
「えっ! どうしたの⁉ 大丈夫⁉」




