秋の勉強会にて 菜々美とここね 2
「うんしょっと……」
眠った菜々美を、なんとか自分のベッドに上げたここねは、すかさずそんな菜々美の隣に寝そべる。
そして腕に抱きつき、そんな姿を隠すように布団を被る。
「えへへ……」
起きているのなら、ここねのベッドに菜々美は入ろうとしないし、入ったら入ったで爆発してしまう。一応、対爆使用になっているから被害は出ないけれど。
もう付き合って一年半は経つ。それでもまだ、二人はこうして同じベッドに寝たことが無い。基本的には周りを気にしないが、涼香と涼音の話を常々聞いていて羨ましく思ってしまったのだ。
自分達は自分達の速度で共に歩めばいいのだが、なんかこう、強引にしなければ何十年と待つ羽目になりそうだったのだ。
「菜々美ちゃんが悪いんだよ……?」
そう囁いて、軽く頬に唇を触れさせる。
「どぅうぇっへっへ……」
そんな残念な笑みを浮かべる菜々美を、ここねは穏やかに見る。起きているのなら起きているで、それでも別にいい。夢なら夢で――。
「なにをされてるの?」
それは許せない。真っ黒な瞳を菜々美に向ける。
恐らく夢の中の自分だろうが、なぜ自分を差し置いて菜々美と楽しそうなのか。いつもなら特に気にしないことだが、今のこの状況では看過できない。
こうなれば、直接菜々美の夢に乗り込むしかない。やったことは無いが、なんとかなりそうなのが今日のここねだ。
とりあえず、いつもはできない菜々美に全身密着をして眠り始めるのだった。




