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秋の勉強会にて 涼香と涼音
休日のこと、涼香はテーブルを挟んで母と向かい合っていた。
テーブルの上にはテキストや教科書など、とりあえず全教科用意されている。
「あなた、来月が入試だって覚えているわよね?」
「私に死角は無いわ!」
「ならよかった。とりあえず、まだ学力残量が残っているのかの確認よ」
一応、夏休みの詰め込みにより学力を一時的につけた涼香。計算上志望大学合格ラインまで残るようにはしているが、相手はあの涼香だ。いくら未来予知が可能な程の頭脳を持つ涼香の母でも、不安になるレベル。
涼香は母から特別問題を受け取り解き始める。
そのスムーズな動きに安心したのもつかの間――。
「涼音が玄関にいるわ」
そう言って席を立ち、玄関へと向かう。しかしそこに涼音はいない。涼音がいるのは水原家の玄関ではない。
玄関に辿り着くや否や、涼香がドアを開ける。水原家の斜向かい、檜山家のドアが開いて、そこから涼音が現れるのだった。
「待っていたわ!」
「なら大人しく待ってて下さいよ」




