表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/809

涼香の部屋にて

 ある土曜日。


 窓で大きくなっては流れていく雨粒を見ながら涼香(りょうか)は深いため息をつく。


「随分とお疲れですね、先輩」


 そんな涼香の背中に言葉を投げかけながら、涼音(すずね)は丸いローテーブルにケーキを並べていた。


「だって休日に雨よ、気分だって下がるわよ」


 ベッドの上に座っていた涼香はその場で寝そべる。


「まー分かんなくもないですけどね。用意できましたよー」


 起きてくださいよー、とベッドでただの屍のようになっている涼香を軽く叩く。唸りながら涼香は身体を起こし、ローテーブルの上に用意されているケーキに目を向ける。


「朝から贅沢ね」


 中学時代の体操服を着た涼香が寝ぐせの付いた髪を手で梳きながらローテーブルの前に座る。


 ローテーブルの上にはイチゴが一つ乗ったショートケーキやガトーショコラ、チーズケーキなど、

種類の異なるケーキが全部で六種類あった。


「もう昼ですよ」


「まだ土曜日でしょう、時間は贅沢に使わないと」


「……あたし帰っていいですか?」


 立ち上がろうとする涼音をがっしりと掴んだ涼香はフッと笑う。


「ダメよ。昼前に起きて涼音と一緒にケーキを食べる。休日の私の楽しみの一つよ」


「そう言ってもらえるならあたしも早起きして作った甲斐がありますけど……」


 口を尖らせた涼音はケーキをフォークで切り取っていた、するとそこへ涼香がイチゴを刺したフォークを差し出す。


「涼音、いつもありがとう」


 不服そうな目を涼香に向けながら涼音は差し出されたイチゴを食べる。


 みずみずしいイチゴは甘酸っぱかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ