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学校にて 12
「涼音の構成成分を知っているかしら?」
「可愛い」
「そうよ‼」
「なんなの……?」
ある日のこと。廊下を歩いていた菜々美は、同じく廊下を歩いていた涼香に引き止められた。
「可愛いのよ!」
「なんなの……?」
「と、いうことで……涼音は可愛い!」
「なんなの……?」
涼音が可愛いことには全面的に同意だが、菜々美的には一番はここねである。
「でもここねが一番よ」
「それでも涼音よ」
「分かっているわ。でもここねが一番なの」
「それを踏まえた上で、涼音が一番なのよ」
「「…………」」
固い握手を交わした二人であった。
「最近、疲れてるんですかね?」
「うーん……そうかも」
そんな二人を、なんともいえない表情で眺めている涼音とここねであった。




