家庭科室にて 16
「ということで、ゲームの世界に行っていたわ」
「なんで来るの……」
「先輩がすいません……」
「千秋ちゃん、千春ちゃんと会えたんだねー」
なぜか当たり前のように家庭科室へやって来た涼香と涼音。
ゲーム部でわちゃわちゃした後、千春は残ってゲームをしたいということで、無理やり千秋と共に残ってすずらんと遊んでいる。
「まだ作りかけみたいよ、完成すればまた誘ってくれるらしいわ」
「そうなの。ところで、なんで来たの? もういい時間よ、帰れば?」
菜々美の言葉を聞いていない涼香は、呑気に出されたお茶を飲んでいる。
「もうすぐね、ハロウィン」
「なんなの……」
そんな涼香と菜々美を他所に、ここねは涼音に話しかける。
「涼音ちゃん。一緒にお菓子作らない?」
「え、いいんですか?」
「うん! 簡単な物だけど」
「ありがとうございます」
二人がハロウィンのお菓子作りの予定を立てているのに対し――。
「菜々美、今年こそ涼音の可愛い仮装の写真を撮るわ!」
「私はここねの可愛い仮装の写真を持っているわよ!」
「なんですって……⁉」
恐ろしいものを見たような表情をする涼香に、勝ち誇った笑みを浮かべる菜々美であった。




