ゲーム部にて 14
「ゲームの世界なのに、気を失うんですね」
「なかなか鋭いではないの」
意識を失っているすずらんを、しゃがんで観察をしている涼香と涼音。起こそうともせず、ただ観察しているだけ。
「生きてるんですかね」
「生きているわよ、きっと……」
とりあえずひっぱたいて見ようかと考える。
「「うーん……」」
とりあえず、千春と千秋の方を見てみると、戦闘中だった。
二人が終わるまで待つか、先にすずらんを起こすか。
別にどっちでもいいのだが、なんとなくやる気が出なかった。
「なんか、あたし疲れました」
「お姉ちゃんが膝枕してあげようではないの」
「誰がお姉ちゃんですか」
起こせばいい。しかしやる気が出ない。気力を使い切ってしまったのだろうか。
とりあえずしゃがみっぱなしで足が痛くなってきた二人は立ち上がる。するとバランスを崩した涼香がすずらんの上へ落ちてしまった。
「あら」
「あー……」
それに反応できない涼音は、とりあえず声だけを出していた。
「ぐぅっへぇぇ⁉」
「ごめんなさい」
一気に体力が一になったすずらんが咳き込んで目を覚ました。ゲームの世界でなければ、内蔵が無事では済まなかったかもしれない。
「いってぇな‼」
腹の上に乗る涼香を転がしたすずらんがよろよろと起き上がる。
「あなた、体力が一ではないの」
「てめぇのせいだよ!」
「目を覚ましましたね、良かったです」
転んだ涼香の隣で寝そべっている涼音が平坦な声で言う。
「あら、やる気スイッチがオフになっているではないの」
涼香が涼音のやる気スイッチをオンにしてあげると、涼音は立ち上がり、涼香を立ち上がらせる。そしてポケットをゴソゴソと、緑の豆を取りだしてすずらんに渡す。
「食べてください、体力回復しますよ」
「一粒で十日分じゃねえか……」
ありがたく頂戴した回復アイテムで、全快したすずらんであった。




