ゲーム部にて 12
一方その頃――。
「痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い‼」
地面に埋まっているすずらんは白目をむいていた。
なぜか首から下の圧迫感が無くなったかと思えば、ものすごい力で引っ張られた。頭が取れそうでめちゃくちゃ痛い。
心做しか顎ぐらいまで地面に埋まった気がする、なにがなんだが分からないし、めちゃくちゃ怖い。
「ダメね、つっかえているわ。頭を踏むしかないではないの」
「その頭の場所が分からないんですよねえ」
引っ張っても抜けないすずらんをどうしようかと頭を使う涼香と涼音。下では千春と千秋が囮になっている。早めに終わらせた方がいいだろう。
「……本気を出して引っ張るしかないようね」
「つまり?」
「ぶら下がるのよ」
「さすが先輩!」
さっきまでは宙に浮いている涼音に抱えられながらすずらんを引っ張っていた。それを涼音に抱えられながらではなく、すずらんにぶら下がれば、全体重を使ってすずらんを引っ張ることができる。
「私がこっちにぶら下がるから、涼音はこっちにぶら下がりなさい」
「はーい」
涼香に足を掴ませ、そして涼香を離した涼音は、反対の足に掴む。そして二人は落下――することなく、すずらんの足を引っ張っている状態になる。
「痛い痛い痛い痛い――うごぉ……ぼぉごぉぼぼ――」
凄まじい力で引っ張られているすずらんの頭が徐々に地面に埋まりだし、声すら出せない状況になる。
やがて、スポンっという心地の良い音を立て、すずらんの頭が地面を貫通した。
「涼音!」
「うおっもったあ!」
抜けたすずらんと涼香、二人を持った涼音がゆっくりと高度を下げる。そして地面に降り立ち、白目をむいているすずらんを横たわらせる。
「無事に抜けましたね」
「脚が伸びたのではないの?」
白目をむいてぴくぴくしているすずらんを観察する二人である。




