ゲーム部にて 11
地面が揺れる。その揺れは一定間隔で起き、揺れる度涼香達の足は浮く。
「トランポリンみたいではないの」
「呑気なこと言ってる場合ですか」
なんか揺れるのが気持ち悪いため、空中に浮いている涼音が涼香を持ち上げようとする。
「受け身の練習にピッタリじゃあないか!」
「埋まればいいのに……」
着地する度に受身を取る千春に辛辣な言葉を浴びせる千秋。
そんな呑気なことを言っていると、不意に影ができて四人を覆いかぶさった。でかい雲でもできたのかと、地面の揺れが無くなっていたことに気づいたのと、空を見上げるのは同時だった。
「なるほど、そういうことね」
「どっち見ればいいんですかね?」
「おいおいおい、よく被さったな」
「石でも投げてやろうかしら」
四人の見上げる先には、見上げる程の大きな全身真っ黒な巨人、そしてその上の空間から、普通の人間の首から下が垂れ下がっていた。
「涼音、引っ張れる?」
「いやあ、邪魔されるんじゃないんですか?」
「あの巨人に取ってもらえば?」
「力加減の関係で潰れるわよ。知らないけど」
「「「「うーん……」」」」
四人を見下ろす巨人から目を逸らしながら、ぶら下がる人観察する。
「というかあれ、すずらんではないの?」
「だと思うぜ、一応装備聞いていたし」
「なるほど、いいことを思いついたわ」
涼音に抱きかかえられながら涼香が綺麗なウインクをする。
またロクでもないことを言い出すのだろうと誰もが考えた時――空から拳が襲いかかる。
「あっぶなぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
その拳は涼香と涼音を避け、千春と千秋に振り下ろされた。
「囮になりなさい‼ その間に私はすずらんを助けるわ! さあ涼音! 上がりなさい‼」
「はーい」
巨人の攻撃が千春と千秋に向かっている隙に、涼香を抱えた涼音が上昇を始める。邪魔されること無くぶら下がっているすずらんの下へ辿り着く。
「すずらん、聞こえたら返事しなさい!」
そう言いながらすずらんの足を持って、下に引っ張る涼香であった。




