ゲーム部にて 10
「遊び人……ちーちゃんらしいわね」
「おおっと、どういう意味かな?」
千春の職業を確認した千秋が、鼻で笑いながら言う。
とりあえず、魔王の城跡地ですずらんを探したがどうも見当たらず、四人は綿密な計画を立てるために休憩をしている。
「涼音、今日は魚を食べたい気分よ」
「毎日じゃないですか」
涼音のツッコミに微笑んだ涼香が、どこからともなく片手で持てる四角い匣をとりだした。なんの変哲もない、深緑の匣。面白そうだから拾っておいたのだ。
「なんですか? その匣」
「魔王を倒した時に拾ったのよ、これは面白そうなことが起きるわね」
「持たずに置いておいて下さいよ、絶対ロクなことにならない」
「それはどうかしら」
そんなやり取りをしている二人の方へ、千春と千秋もやって来た。
「また変な物持って……」
「おいおいおい、なんか面倒そうな予感がしたぜ」
「見なさい、面白そうではないの」
涼香を除いた三人は、どうせ面倒なことが起こるんだろうな、という顔をしている。
「あら」
すると案の定、涼香の手から匣が落ちた。そして地面にぶつかった瞬間、匣から紫の瘴気が吹き出した。
その瘴気はみるみるうちに広がり、景色を一変させるのだった。
「言わんこっちゃない……」
「だと思った」
「先輩、大丈夫ですか」
呆れた三人の言葉を受け、髪を払う涼香である。




