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百合の一幕 涼香と涼音の緩い日常  作者: 坂餅


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ゲーム部にて 7

 とりあえず王様に会い、魔王を倒せ云々を言われたのち開放された涼香(りょうか)涼音(すずね)千春(ちはる)の三人は、王様の言葉を無視して城の中を探索していた。


「どこにいるのか聞いていないの?」


 通り過ぎたそばからツボを破壊していく、災厄の名に恥じぬ働きをする涼香が、城の壁を叩きながら歩いている千春に聞く。


「それが教えてくれないんだよなあ」


 すずらんは連絡を取れるようにしてはいるらしい。それでも、どこにいるのかは教えてくれない。


 遊んでほしいのなら、こんな回りくどい方法でなくとも、直接言えばいいのではないかと、壁にかけられた絵画を見ながら涼音は思っていた。


「ねえ涼音」


 一通りこの場を探して、すずらんがいないことを確認すると、涼香が涼音に声をかけた。


「なんですか?」

「気を探れないの?」

「無理に決まってるじゃないですか」


 即答する涼音に、涼香はふっと笑って言う。


「自分のステータスをもう一度よく見なさい。『特技・特性』欄があるのよ」

「はあ……」


 一応ステータス画面を開いてみる。


「ほら、次のページにいけるのよ」


 最初見た、レベルと各種ステータスの画面を横にスワイプすると、次のページを見られるようになっていた。


 言われた通り『特技・特性』欄を見てみる。


「……これってアウトにならないんですかね、著作権的に」

「ぼかしてるから大丈夫よ」

「どれどれ。……おいおいおい『最後の光』ってそのまんまじゃあないか」

「ほら『気の探知』があるわよ」

「『宇宙大爆発攻撃』ってダッサ……」

「ギャリックは――上手い訳が思いつかなかったな、これ……」

「涼音涼音、あっちに重力室があるわよ」

「色々アウトですよ‼」

「個人で作って使う物だがらいいんじゃあないか?」

「でも特性は涼音よ。ほら『可愛い』って書いているではないの」

「『災厄の抑止者』ってクソかっこいいじゃあないか!」

「なんであたしのステータスでこんなに盛り上がるんですか⁉ 先輩のはどうなんですか!」


 大盛り上がりの三人である。そんな三人の様子を、空中ディスプレイで見ている者がいた。


「グダってんなおい! さっさと進めろよ! んであたしを見つけろっ‼」


 ゲーム部の高野(こうや)すずらんは、地面に埋まりながら悪態を突いていた。


「ああもう、トイレ‼」

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