ゲーム部にて 6
馬車に乗れと言われても、実際に乗った訳ではない。場面転換のように、暗転すれば場所が変わっている。
涼香、涼音、千春の三人は無事に城へやってきた。
「無事に三人で来れたな」
「ひとまず安心ですね」
「ドレス姿の涼音が見られるのではなかしら」
ようやく物語が動きそうだ。兵士に連れられ、三人は城の中を歩く。王様に会いに行くらしい。
一応会話の流れは涼音に言っているみたいだったが、恐らく涼香と千春は仲間という扱いで問題無いのだろう。災厄を城へ入っているのに呑気なものである。
「そもそも、このゲームって最後までやらないとダメなんですか?」
三人の会話は、別にゲームの進行に関係無いらしい。ゲームの進行上現れる選択肢を選べばいいみたいだ。
「すーちゃんがどこにいるかって話だしなあ」
「すずらんは取り込まれた――それはつまり、この世界のどこかにいるということよ!」
「ラスボス倒しても見つからないって可能性もあるんですよね」
「無視しないで」
「なんなんですか」
三人は足を止める。本当の世界なら、こんな城の大きな廊下で止まったりできない。しかしこれはゲームの世界。進もうがその場に留まろうが関係無い。
「話を整理しようではないの」
「試験前ですか」
「聞きなさい。元々、私達はすずらんを……千春、言いなさい」
「えぇ……。えーっと、すーちゃんが不慮の事故でゲームの世界に取り込まれてしまった。それの救出」
涼香からのキラーパスを捌いた千春は、ゲームの世界へやってきた目的を改めて言う。
それを聞いた涼音は、少し気になることができた。別に急かせれていないから、聞いてもいいだろうと手を挙げる。
「それって誰情報なんですか?」
「あら涼音、鋭いではないの。千春」
「おうおうおう、どうしたんだい涼音ちゃん。急に切り込んでくるじゃあないか」
とりあえず面倒臭い二人に冷たい目を向ける。
涼音の疑問は単純なもので、千春は誰から、すずらんが不慮の事故でゲーム世界に取り込まれたと聞いたのか。そして反応を見るに、なにか知っているはずだ。
「……確かに、言われると不思議ね」
涼香と涼音、二人の視線を受け、千春はふざけることなく、至って真面目な顔で答える。
「連絡自体はすーちゃんから。こういう時、連絡できるようにしてたみたい。どこにいるかも分かってるっちゃ分かってるけど、とりあえずプレイしてほしいんだってさ」
答えはシンプルなものだった。あまりにもシンプルな理由に、なにか物足りない気もする涼音であった。




