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水原家にて 6
「なんですかこれ」
家に帰ってくるなり、涼音は満足気な表情の涼香に詰め寄る。
「やっぱり本物の涼音の方が可愛いわね」
「でしょうね!」
水原家のリビングには、壁一面に涼音の写真が貼られていて、それはモザイクアートになっており、涼音が浮かび上がっている。
「この体は良いわよ。写真をどこに貼るべきなのかが分かるのよ。……、でもやっぱり肩は上がりにくかったけど」
「無敵ね、この子は」
今日一日、完全無欠の超絶美人水原涼香として女子高生生活を送った涼香の母が感心した声を出す。
「まあ、私の代わりは誰にも務まらないということね」
どこか神々しさを感じる雰囲気を醸し出して勝ち誇る涼香。別に勝負はしていないのだが、なんかイラッときた涼香の母は反撃をする。
「いつものお礼として、皆にお菓子を奢ったわ。もちろんあなたのお小遣いで」
それを聞いて、恐ろしいものを見たような表情を浮かべる涼香であった。




